珍奇植物は難しい?
こんにちは、TOKYです!
珍奇植物、ビザールプランツ。
多肉植物、蘭、シダ、食虫植物などなど...
そう呼ばれる植物は多いですがどれも奇妙奇天烈な造形をしています。
なんでこんな形になったんだろう?という疑問には必ず理由があるものです。
珍奇の定義は曖昧で捉え方は人それぞれですが僕個人としては「珍奇であればあるほど生育は難しいモノが多い」と思ってます。
「なぜこんなボコボコが?
「なんでこんな透き通っている?」
そんな形状に進化したのには全て理由があります。
そうしないと生き残れない環境だったということでしょう。
多肉植物にフォーカスして今TOKYが気に入っている(全部気に入っていますが)一般的にいわゆる「難しい、クセがある」と言われる人達をご紹介します。
パキコルムス・ディスカラー
“象の木”という和名の付いたボトルツリーのようなウルシ科の植物です。
メキシコ、バハカリフォルニア周辺に自生しておりGoogleなどで検索すると象の木という和名の理由がなんとなく分かります。
常に強風が吹き荒れ降雨量が極端に少ない土地なので雨が降った際に究極まで体内に水分をため込むんでしょうね。
大変人気がありTOKYでも販売を何度も行っていますが少しばかり変わった特性があります。
いわゆる冬型の植物で冬イキイキとしていて初夏には休眠...したと思いきやすぐに活動を再開し葉を茂らせたりすると思えば本当に真冬以外は休眠してしまい「死んでしまったのかな??」と不安になることもしばしば。
見た目に反してそれほど根張りも強く無く葉が茂ったと思ったらすぐに枯れ混んでしまったりするよく分からない植物です。
もちろん成長は極度に遅いので変化も乏しいですしなんで人気あるんだろう?と不思議になります 笑。
(植木鉢/Scratch Dinosaur Square Pot M)
モナンテス・ポリフィラ
カランコエなどと同じベンケイソウ科の多肉植物です。
カナリア諸島の付近の島にのみ分布しており原産地では湿り気のある日陰の崖や岩の上に自生しています。
ようするに多肉植物だからといって真夏に直射日光を当てたりするとすぐに傷んだり弱ったり死んだりしてしまいます。
松ぼっくりのように密集した透明感のあるロゼットは少ない日光を効果的に集約できるレンズのような効果があるのかな?と勝手に考えています。
非常に鑑賞価値が高く値段も手頃なのですが上手に育てている人はなかなかいません。
(植木鉢/Innocence Basic Pot S (Gray))
アガベ・ユタエンシス・エボリスピナ
テキーラの原料となることで有名なアガベ(リュウゼツラン)の人気種、通称エボリスピナで"青磁炉"という滋味深い和名がついています。
カリフォルニアのノパ山脈の標高の高いところに自生しています。
エボリスピナに限りませんが標高の高いところにある植物は少々気むずかしいところがあると思っています。
農家さんで実生された(種から作ること)ユタエンシス系のアガベをTOKYの管理場に移動すると見計らったように下葉が枯れ混んだりします(僕の管理が下手だったらすいません)。
なので枯れ混んだ葉がある程度新調されるまで管理を行い販売しているので「これは商売にならないな...」といつも困っています。
特徴的な鋭いアイボリーの長いトゲが男らしく非常に人気が高いですが高山性の植物のため国内で上手に管理するのは少し難しい種です。
アエオランサス・リネアリス
シソ科の植物でモザンビーク周辺の山...これまたさきほどのエボリスピナと同様に高山性の植物で標高の高い所に自生しています。
回りで栽培している人に話しを聞いても「難しい!!」と口を揃えて言いますが他でも無い僕もかなりの数を昇天させてきました。
コツが分かればどうってことないのですがとにかく日本の蒸し暑さにはかなり弱く気づいたら株がベコベコに凹んで死んでしまう...なんてことを何度も経験しました。
全体に入ったシワが芋虫のようにも見え異様ともとれますし愛嬌があるともとれる不思議な出で立ちですが栽培難易度が高いのであまり所有している人も見たことが無いおかしな植物です。
(植木鉢/Monsters Pot 0019)
パキポディウム・ウィンゾリー
特に人気の高いキョウチクトウ科のパキポディウム・ウィンゾリーです。
マダガスカル北部の比較的高い場所(また高い)に自生しており現在は環境破壊と乱獲が進みワシントン条約のレッドリスト1類に属しており山取の株(現地で採取した株)は大変に貴重です。
ただ近年は国内で受粉、結実したモノが多く流通していることもあり実生苗はかなりの数が存在しています。
強健なパキポディウムが多い中最弱とも言えるほど寒さに弱く、特に山取株や輸入されたものは日本の寒さにはとても弱いです。TOKYで冬期管理していた際に15度あったにも関わらず寒さで枝が腐ってしまったりもしました。
寒さに当てて枯らしてしまったという話しは本当に後を絶ちませんのでせっかく良い金額を出して購入するのであれば冬期の管理は特に気をつけてみて下さい。
(植木鉢/Scratch Exclusive "Barell" Cylinder S)
アズテキウム・リッテリ
最後は多肉植物の難物と言えば...やはりサボテンです。
“花籠”という可愛い和名をもつこのサボテンはサボテンの一大自生地であるメキシコのこれまた標高の比較的高い所に自生しています。
近年に発見された種ということと数あるサボテンの中で“最も成長が遅い”と言われており何故か現在非常に人気があります(大きくならない!となるとなんとか大きくしたいマニアックなファンがいるのでしょう)。
肋骨が重なったような造形とそれに見合わないピンクの可憐な花が皆を虜にしますがこれまた日本の蒸し暑さには弱く強い日光を当てると一気に日焼けして傷が残ったりするため管理場所や水やりなどはとても繊細です。
ただ、サボテンの難物などと言い出したらきりがないほど多いと思いますので現在人気があるものとして花籠をピックアップさせてもらいました。
まとめ(まとまりませんが)
とりあえず挙げ始めたらきりがないので5つくらいにしてみました。
実は最近ようやくクセやコツが分かってきたものが多いです、未だに苦手なままだったらちょっとBlogに書くのははばかれるので...
「難しい、クセがある」
人によって全然その感覚が違うのも植物を栽培するうえで楽しいところです。
TOKYのように高山性の植物で痛い目にあっている人もいればそれらを全然苦にしない人もたくさんいます。
不必要に構える必要はありませんが異様な造形の植物ほど極地に自生していることが多いと思っていますしそういう植物は良いお値段のものも多いです。
まずは販売店などで興味をもったら栽培難度を聞いてみることをオススメします。
その際のコツは自分の栽培レベルを自己判断でも良いのでお店の人に言ってから聞いて見るといいかもしれません。
漠然と「これは育てるの難しいですか?」と聞いてもお店の人は質問者のレベルが全く分からないのでアドバイスに困ると思いますので。
TOKYにも勿論そのような植物を取り扱っていますのでたまにしか植物はアップしませんが気になったらWebストアをチェック、もしくはお店のほうまでどうぞ!(←月に2日間くらいしかやってないのに宣伝)
編集部註:
TOKYさんのお店に行ってみた!取材記事はこちら
→ ユニークな多肉植物を買いにいこう [東京]
書いた人
藤原連太郎
新しい価値を提供する園芸用品と植物のショップTOKYの代表兼ディレクター。
商品企画・開発、仕入れなどを主に行う。
趣味は受粉。
http://toky.jp/blog
https://www.instagram.com/rentarof/
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この記事のライター
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趣味は受粉。