梅木 あゆみ 梅木 あゆみ 2017/10/20

北国のコテージガーデンから[3]



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10月|10月は忙しい

こんにちは。梅木あゆみでございます。
 


もはや、雪虫の季節

すっかり日が短くなりました。
だから、という事もあるのですが、
10月は春とは違った意味で気忙しいのです。

朝晩が冷え込むこの時期、
我慢できずストーブを点けたか、
まだストーブなしで頑張っているかが話題になります。

もうもうと舞う雪虫が、
越冬準備を促すかのごとく初雪の到来を予告するころには、
生産したパンジーとビオラがめっきりといい株になり、
初冬の訪れを感じさせます。


△ ハウスの中で、よい感じに育つパンジーたち。
 


雪の前の大仕事

朝3時から夕方8時ころまで、外仕事可能だった6月とは打って変わって、
この時期は、朝は5時を過ぎてからようやく白々となり、
夕方の5時はもう暗い。
だから、灯りのない外売り場は4時が限界で、
庭の現場も早めに切り上げます。

2週間後には初雪がやってきて、
もしかして11月に入るや否や、根雪になるかもしれないのです。

だから、暖かい日は貴重です。
まず、やるべきことは畑の整理、
ハウスの片づけ、不用品の整理とゴミ捨て。

なにせ、外のものはいったん全部屋内へ入れなければ、
雪の重みで壊れるものばかり。
昨年は雪が少なくても今年は大雪かもしれないのです。

「・・・だろう」と楽観的予測では
雪にやられてしまうことが多々あり。
なのでスタッフには「・・・かもしれない」と、
最悪を予告して物事を進めていかなければなりません。


△ 畑を片づける前に、インゲンの収穫。急げ〜!


△ 収穫が終わり、株を片付け、まっさらになったハウス。雪が降って重みでハウスが壊れてしまうのに備えます。


ハウスの中だって、おちおちしてはいられません。
無加温ハウスであれば、ガッチリ霜が来たならば、
ヤワなものは寒さでやられてしまいます。

去年は大株に育ったコーヒーの木を寒さで失いました。
ウンベラータもいったん上部を失い、一からやり直しました。
大好きなシダも暖かいところへ、移動しなくてはなりません。
ハウスの最低温度は3度くらいなので、観葉植物には耐えられません。


△ シダや観葉植物は、室内へ取り込みます。もうすでに満員!


はっきり一年草と分かっているものは、どうしたものなのか。
捨てるに忍びないけど、とり置くことはできません。
バジルはせめてドライに、
ベゴニアは切り戻してなんとか越冬させたい。
ハーブゼラニウムは毎年とり置いているうちに、
いつの間にか大株になりました。
ああ、でもオンシツコナジラミは、この子たちが大好き。
切り戻しをして、
ガッチリ薬剤散布してからハウスに取り込まなければなりません。


△ 非耐寒性のハーブゼラニウムは、しっかり害虫防除してから加温ハウスへ。


いつの間にか増えた多肉植物たち。
これらも0度が限界です。
外で過ごせるセンペルビウム、セダムはまとめて植えて、外で越冬。
ハウスの中でしか過ごせないものはそれらでまとます。


△ センペルビウム、セダムなどの多肉植物は、寄せ植えにして戸外で越冬させます。


△ 売り場の多肉植物のうち、戸外では越せない種類は、この後加温ハウスへ移動させます。

 

市場の流通時期とズレが生じる芽出し球根は、
自分でこしらえておく

売れ残った球根はポットに植えて、春の売り物にします。
市場に芽出し球根が出てくるのは、2、3月。
これは本州の温暖地向きにつくられているからなんでしょうね。

ここ、北海道で芽出し球根が必要になるのは、
雪どけ後、花苗が動き始める4月末からで、
市場の動きとはズレてしまうのです。


おそらく、北海道向きに芽出し球根は
営利生産されていないのでしょう。
自分で作っておかなければ、
必要な時期に手に入らないのです。

でも、球根は売れ残ったのではなく
来春の仕込みと考えれば、気持ちが楽になるのが不思議。

球根入り寄せ植えもたくさん作っておきますが、
植え込みには相当な想像力が必要です。

想像力たくましく、妄想半分、春への思いをたっぷり込めて作るのです。
だから楽しいのでしょうね、きっと。


△ ポットに植えつけた球根。このまま戸外に置き、雪の下で越冬させます。


△ 4月末に花苗と同じころ必要になる、芽出し球根の苗。市場にはこの時期にはもう出ないので、
自分で作るしかないのです。
 


「雪囲い」をご存じですか?

それから、雪囲いももちろん必須です。
札幌は11月が雪囲いの月ですが、
私の住む月形町は10月末には終わらせるのが普通です。

早い人は10月20日には、雪囲いを済ませているのです。
11月までもたついていたら、
「あの家の人はまだ雪囲いが終わっていない。大丈夫なのか。」と
余計な心配をされてしまいます。

10月20日から末までが、月形の漬物と雪囲い週間。
でも大抵の年、仕事の現場が先行し
我が庭は最後の最後の後回しになってしまいます。

多分、周囲のおせっかいな住人は
「庭屋のくせに雪囲いがいつも遅い。大丈夫か」と
思っているに違いありません(笑)。

でも仕事優先は仕方がないのです。
願うは「どうか、天気の神様、雪を降らせないで!! 
もう少し待って!!」
と神頼みしかないのです。


△ 雪囲い前のバラ。まだ花が咲いていますが、葉を摘み取って強制的に休眠させ、雪囲いの準備をさせます。


△ 低木や鉢バラは、あえて倒しておきます。こうして雪に覆われていきますが、これなら雪の重みで枝が折れたり、寒さで傷めることなく、越冬成功率99%!


△ 雪囲いの時期や方法は、それぞれの地域の特徴に応じて行います。



△ 庭を始めたばかりの方向けに、雪囲いのワークショップを開催しました。
 


雪を味方につけて冬を越す、北国の知恵

ちなみに、私が考える理想の雪の降り方をお教えしますと、
根雪は12月に入った早々。
最低気温がマイナス10℃以下にならないうちに、
まずは50㎝前後積もってもらいたい。

なぜなら、意外に思うかもしれませんが、
雪はハウスの裾からの隙間風をふせぎ、
大事な植物の根元をカバーしてくれるから。

12月半ばになると徐々に雪が降り積もり、
寒の入りには十分すぎるほどの積雪。
なぜなら、マイナス20℃ の寒さからも、
雪が守ってくれるから。
戸外のマイナス20℃ の気温に比べたら、
なんと、雪のほうが暖かいのです。

そして立春を迎えることからはほとんど雪が降らず、
太陽の光に恵まれ、
日に日に雪が解けて3月末には雪がなくなります。


△ 3月の春分のころ、雪の下に埋めたバスケットとコンテナを掘り上げます。まだまだ深い雪ですが、このころになると地温が上がり、雪が解け始めているのです。


しかしこればかりは、どう願っても、正しく神頼み。
北国の植物生活者は
誰もが身を持ってわかっているコト。

「人間の力なんて、ほんのちっぽけなもので、
自然にかなうものはない」と。


お天気頼みの生活。
だから、ありがたいし面白い、のかなぁ。


△ 雪どけ直後の雪囲いのようす。雪の布団がなくなると、寒さによるダメージを受けることが多いので、慎重になる時期。

 
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この記事のライター

梅木 あゆみ
梅木 あゆみ

1995年月形町で生産直販店「コテージガーデン」を主婦から起業。現在は年間を通し2000品種以上の植物苗を生産し、札幌市百合が原公園ガーデンショップの売店も経営する。ノーザンホースパークK’s Garden、滝野公園、層雲峡温泉、個人庭園などの、企画、設計、工事、管理などを行う。「オープンガーデンof北海道」を発行するブレインズ種まく私たちのメンバー。2009年度北海道「輝く女性のチャレンジ賞」2010年度内閣府「女性のチャレンジ賞」受賞。日本ハンギングバスケット協会公認講師。三男一女の母。

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