マチナカ*花さんぽ [1]
花やみどりをクローズアップしてみれば、
街がもっとステキに見えてくる。
もっと楽しく見えてくる。
今日もてくてく、マチナカを花さんぽ。

花さんぽガイド
三浦香澄さん
プロフィール*NPO法人Green Works副代表 グリーンアドバイザー園芸ソムリエ
街中の緑と花を育てるさまざまな活動に携わっている。
「東京って都会なのに、緑が多いよね」といわれたことがありました。
そのときは「そうなのかな?」って半信半疑だったけれど、
そのひとことは、改めて都会の緑や花を見つめてみる機会になりました。
この連載コラムでは、街角の緑や花の見方を
花さんぽのエキスパート、三浦香澄さんにガイドしていただきます。
では、香澄さん、よろしくお願いします!
[ルートマップ]
香澄さんがさっそく指さすのは、
駅前ロータリーに植栽された若い木々たちです。

△ 「この丸の内駅前ロータリーが、やがて雑木林のようになりますね。向こうに見える新丸ビルのさりげないグリーンにも、注目してください」(香澄さん)。低層階のはみ出した緑も、目を和らげます。さすが目ざとい!

△ 振り返った景色が、こう。駅舎を背景に、たくさんの高木が植栽されています。成長が楽しみ!
そうか。生れ変わったのは、駅舎やロータリーだけじゃなかったんだ。
景観自体が、大きく変わった。
その重要な役割をしているのが、
樹木やその下草といった、植物だってわけなのね。
それでは丸の内の「美しい緑」といったらココ! って名所へ参りましょう。

△ 丸の内仲通りへ続く道の入り口は、クロガネモチが出迎えてくれます。すでに赤い果実をたわわにつけて、都会の秋を感じさせてくれました。「すでにクリスマスカラーよね」と香澄さん。

△ 都内の街路樹でもおなじみのトウカエデ。すっきり剪定されています。「この剪定は上手ですよ。ただ短く切りつめるだけじゃなく、きちんと *枝透かしをしている。ぜひ剪定の見本にもしてみてね」。冬になって落葉した裸木なら、ますます樹形の美しさが際立ちそう。
*枝透かし…伸びすぎたり混み合った場所の枝を選んで切り取り、透かす剪定の方法。
日比谷まで続く約1.2キロの丸の内仲通り。
硬質なビルの景色を、
まだ青々としたケヤキの葉が柔らかく見せてくれていました。

△ 10年ほど前にケヤキに植え替えられた丸の内仲通りの美しい並木道。「前はユリノキだったのよ。緑のボリュームが圧倒的に違うわね」(香澄さん)。
ケヤキの並木道といえば、落ち葉の問題から
別の樹種に植え替えられている地域も耳にします。
しかし、丸の内仲通りでは、あえてケヤキが選択されました。
それほどにケヤキは姿が美しく、四季を感じさせ、
圧倒的な存在感を誇る樹種だからです。
丸の内仲通りと並行する道路はほかにもありますが、
街路樹のない通りより、人は、ケヤキの魅力に吸い寄せられるかのように、
この道を選んで歩く傾向があるそう。
たとえ管理に手間はかかっても、
「人が歩きたくなる道」であることを優先したならば、
やっぱりケヤキは、選ばれるべき樹種なのでしょう。
そんな丸の内仲通り の毎冬のお楽しみは、
シャンパンゴールドに輝くイルミネーション。
今年は11/9(木)から始まるそうですよ。
*丸の内イルミネーション2017


△ 丸の内仲通りの歩道には、ところどころにベンチやテーブル&チェアが置かれていて、街で働く人、遊びに来た人たちの憩いの場としても活用されています。


△ 憩いの場だから、やっぱり植物が活躍。さりげなく置かれたコンテナも、なんだかステキに見えます。プランターのポールをロープで繋げば、車止めにできます。

△ ビルとビルの間に突然現れる公園。ここは三菱一号館美術館併設の「一号館広場」で、誰でも自由に楽しめます。この美術館の建物は明治時代の「三菱一号館」(1894年建設)を、2010年に復元したもの。元の建物の設計者であるジョサイア・コンドル氏が、母国のイギリスを偲んでバラが咲く庭園をつくっていたことにちなみ、広場内にはオールドローズをはじめ、約40種のバラが植えられています。「オールドローズが咲く、春もおすすめですよ!」(香澄さん)。

△ 広場内の樹木には、樹種名が記されたプレートがかかっていました。「こんなところからも、持ち主や管理者の植物に対する思いが深いことが伝わってきますね」(香澄さん)。

△ 広場に面したブリックスクエアの巨大な壁面緑化も見応えが。

△ 広場内には小さな流れもつくられています。水辺があるとさわやかで、いっそう季節感が濃厚に感じられます。

△ 馬場先通りとの角に面するブリックスクエア・アネックスの重厚なファサード。ここも3階テラスから、グリーンがモリモリはみ出していて、柔らかさが添えられています。

△ 生花店、HANAHIRO CQ。「都会の花屋さんは、ウインドウを眺めるだけでも楽しくなるわね」(香澄さん)。
「この辺りでひと休みするなら、ここがおすすめ!」と、香澄さんがおすすめするスポット
*ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション 丸の内店
*エシレ・メゾン デュ ブール
*カカオ サンパカ
ロブションはカフェ併設のブーランジュリー&パティスリー。
ほかはテイクアウト店です。
「でも、一号館広場のベンチで木々を眺めながら味わうとね、
いっそうおいしいのよ!」(香澄さん)。
さぁ、休憩を終えて、
丸の内仲通りの南側の終点、晴海通りとの交差点にやってきました。
香澄さん、ここの歩道は片側だけで
街路樹が二重にあって贅沢ですね。
「ここはね、左側が都が管理しているいわゆる街路樹で、
右側は、ホテルの敷地内だからホテルの管理なのよ。
ほら、樹種や管理具合が違うわよ。
よく見てみて。おもしろいわよ!」(香澄さん)。
さすが花さんぽエキスパート!
そんな見方もあるんだ! とハッとしました。
いったん気づくと、見慣れた1シーンも
また違った景色に見えてきませんか?

△ 左側の街路樹は、プラタナス。右側のホテルが管理する樹木は、ベニバナトチノキ。初夏にピンク色の花を円錐形につけて、とても華やか。

△ 「素敵な花とみどりはどっちにあるかしら〜」。高木に目をやり、足元のプランターをチェックしつつ、どんどん街を行く香澄さん。
花とみどりを探す香澄さんの足取りは、
まだまだ軽快そのもの。
さて、晴海通りをどっちに進むのかな。
→→→ 続きは マチナカ*花さんぽ[2]へ!
街がもっとステキに見えてくる。
もっと楽しく見えてくる。
今日もてくてく、マチナカを花さんぽ。
花さんぽガイド
三浦香澄さん
プロフィール*NPO法人Green Works副代表 グリーンアドバイザー園芸ソムリエ
街中の緑と花を育てるさまざまな活動に携わっている。
トウキョウのどまんなか を花さんぽ 1
その昔、外国人の友だちから「東京って都会なのに、緑が多いよね」といわれたことがありました。
そのときは「そうなのかな?」って半信半疑だったけれど、
そのひとことは、改めて都会の緑や花を見つめてみる機会になりました。
この連載コラムでは、街角の緑や花の見方を
花さんぽのエキスパート、三浦香澄さんにガイドしていただきます。
では、香澄さん、よろしくお願いします!
本日のコース
東京駅丸の内南口 → 丸の内仲通り → 日比谷 → 東京交通会館 → 数寄屋橋 → 帝国ホテル東京 → 日比谷公園[ルートマップ]
生まれ変わった東京駅丸の内南口
駅舎改装が知られる東京駅。香澄さんがさっそく指さすのは、
駅前ロータリーに植栽された若い木々たちです。
△ 「この丸の内駅前ロータリーが、やがて雑木林のようになりますね。向こうに見える新丸ビルのさりげないグリーンにも、注目してください」(香澄さん)。低層階のはみ出した緑も、目を和らげます。さすが目ざとい!
△ 振り返った景色が、こう。駅舎を背景に、たくさんの高木が植栽されています。成長が楽しみ!
そうか。生れ変わったのは、駅舎やロータリーだけじゃなかったんだ。
景観自体が、大きく変わった。
その重要な役割をしているのが、
樹木やその下草といった、植物だってわけなのね。
それでは丸の内の「美しい緑」といったらココ! って名所へ参りましょう。
△ 丸の内仲通りへ続く道の入り口は、クロガネモチが出迎えてくれます。すでに赤い果実をたわわにつけて、都会の秋を感じさせてくれました。「すでにクリスマスカラーよね」と香澄さん。
△ 都内の街路樹でもおなじみのトウカエデ。すっきり剪定されています。「この剪定は上手ですよ。ただ短く切りつめるだけじゃなく、きちんと *枝透かしをしている。ぜひ剪定の見本にもしてみてね」。冬になって落葉した裸木なら、ますます樹形の美しさが際立ちそう。
*枝透かし…伸びすぎたり混み合った場所の枝を選んで切り取り、透かす剪定の方法。
ケヤキ並木が育つ、街が育つ丸の内仲通り
大手町から丸の内の街を通って日比谷まで続く約1.2キロの丸の内仲通り。
硬質なビルの景色を、
まだ青々としたケヤキの葉が柔らかく見せてくれていました。
△ 10年ほど前にケヤキに植え替えられた丸の内仲通りの美しい並木道。「前はユリノキだったのよ。緑のボリュームが圧倒的に違うわね」(香澄さん)。
ケヤキの並木道といえば、落ち葉の問題から
別の樹種に植え替えられている地域も耳にします。
しかし、丸の内仲通りでは、あえてケヤキが選択されました。
それほどにケヤキは姿が美しく、四季を感じさせ、
圧倒的な存在感を誇る樹種だからです。
丸の内仲通りと並行する道路はほかにもありますが、
街路樹のない通りより、人は、ケヤキの魅力に吸い寄せられるかのように、
この道を選んで歩く傾向があるそう。
たとえ管理に手間はかかっても、
「人が歩きたくなる道」であることを優先したならば、
やっぱりケヤキは、選ばれるべき樹種なのでしょう。
そんな丸の内仲通り の毎冬のお楽しみは、
シャンパンゴールドに輝くイルミネーション。
今年は11/9(木)から始まるそうですよ。
*丸の内イルミネーション2017
△ 丸の内仲通りの歩道には、ところどころにベンチやテーブル&チェアが置かれていて、街で働く人、遊びに来た人たちの憩いの場としても活用されています。
△ 憩いの場だから、やっぱり植物が活躍。さりげなく置かれたコンテナも、なんだかステキに見えます。プランターのポールをロープで繋げば、車止めにできます。
△ ビルとビルの間に突然現れる公園。ここは三菱一号館美術館併設の「一号館広場」で、誰でも自由に楽しめます。この美術館の建物は明治時代の「三菱一号館」(1894年建設)を、2010年に復元したもの。元の建物の設計者であるジョサイア・コンドル氏が、母国のイギリスを偲んでバラが咲く庭園をつくっていたことにちなみ、広場内にはオールドローズをはじめ、約40種のバラが植えられています。「オールドローズが咲く、春もおすすめですよ!」(香澄さん)。
△ 広場内の樹木には、樹種名が記されたプレートがかかっていました。「こんなところからも、持ち主や管理者の植物に対する思いが深いことが伝わってきますね」(香澄さん)。
△ 広場に面したブリックスクエアの巨大な壁面緑化も見応えが。
△ 広場内には小さな流れもつくられています。水辺があるとさわやかで、いっそう季節感が濃厚に感じられます。
△ 馬場先通りとの角に面するブリックスクエア・アネックスの重厚なファサード。ここも3階テラスから、グリーンがモリモリはみ出していて、柔らかさが添えられています。
△ 生花店、HANAHIRO CQ。「都会の花屋さんは、ウインドウを眺めるだけでも楽しくなるわね」(香澄さん)。
<香澄さんのちょっとひと休み>
「この辺りでひと休みするなら、ここがおすすめ!」と、香澄さんがおすすめするスポット*ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション 丸の内店
*エシレ・メゾン デュ ブール
*カカオ サンパカ
ロブションはカフェ併設のブーランジュリー&パティスリー。
ほかはテイクアウト店です。
「でも、一号館広場のベンチで木々を眺めながら味わうとね、
いっそうおいしいのよ!」(香澄さん)。
さぁ、休憩を終えて、
丸の内仲通りの南側の終点、晴海通りとの交差点にやってきました。
香澄さん、ここの歩道は片側だけで
街路樹が二重にあって贅沢ですね。
「ここはね、左側が都が管理しているいわゆる街路樹で、
右側は、ホテルの敷地内だからホテルの管理なのよ。
ほら、樹種や管理具合が違うわよ。
よく見てみて。おもしろいわよ!」(香澄さん)。
さすが花さんぽエキスパート!
そんな見方もあるんだ! とハッとしました。
いったん気づくと、見慣れた1シーンも
また違った景色に見えてきませんか?
△ 左側の街路樹は、プラタナス。右側のホテルが管理する樹木は、ベニバナトチノキ。初夏にピンク色の花を円錐形につけて、とても華やか。
△ 「素敵な花とみどりはどっちにあるかしら〜」。高木に目をやり、足元のプランターをチェックしつつ、どんどん街を行く香澄さん。
花とみどりを探す香澄さんの足取りは、
まだまだ軽快そのもの。
さて、晴海通りをどっちに進むのかな。
→→→ 続きは マチナカ*花さんぽ[2]へ!
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この記事のライター
植物生活編集部
「植物生活」とは花や植物を中心とした情報をお届けするメディアです。 「NOTHING BUT FLOWERS」をコンセプトに専門的な花や植物の育てかた、飾り方、フラワーアート情報、園芸情報、アレンジメント、おすすめ花屋さん情報などを発信します。