植物生活編集部 植物生活編集部 3週間前

食虫植物の罠にハマってみる? [2・想い出編]

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執筆・写真 * 花咲 和奏(はなさき・わかな)

プロフィール
幼少期の趣味は「タネ集めとタネ採りのための植物栽培」という筋金入りのプランツラバー。
植物関連の施設に勤務し、1000種類を超える植物と向き合う日々。
たまにフラっと世界の秘境へ出かけ、野生植物の自生地を訪ねてリフレッシュ。

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第1回 の[秋編]
「次回は植え替え(株分け)と、その後の管理」に触れると書きましたが、
適期は休眠期間中である早春(2~3月)。

それまでの間、更新できないのもさみしいので、
この冬ごもりの機会に
私と食虫植物との出会いについてお話しすることにします。

 

初めて買った鉢物。それはハエトリソウ!


私は子どものころから
「食虫植物」という言葉を見聞きするとワクワクします。
小学生の男の子は特に、
食虫植物の動きや姿のカッコよさ、美しさに惹かれるようですが、
かくいう私(一応女子)も、
保育園のころ両親に買ってもらった「栽培図鑑」に載っていた
モウセンゴケやハエトリソウのページを開いたときから、
「いつの日かこの植物を見てみたい。育ててみたい」と
憧れていた一人の小学生だったのです。


△ 栽培図鑑の食虫植物のページ。食虫植物は私の憧れの植物でした。


小学4年生の夏休み、
母と近所のスーパーへ買い物に出かけたときのこと。
スーパーの入り口には、切り花を売る小さな花屋がありました。
その一角に、図鑑に載っていた
あのハエトリソウの鉢植えが数鉢置いてあったのです。

私はすぐさまハエトリソウに近づき、
食い入るようにハエトリソウを見ました。
憧れの食虫植物が目の前にある!
この日の興奮は今でも忘れられません。

買い物が終わり、
母に「ハエトリソウを買ってほしい」とお願いしました。
私が物をねだることはほとんどなかったので、
母は少し驚いたようです。

「いくら?」と母。
「500円だけど…。」と私。
「いいよ。」

こうして憧れだった食虫植物が、私の手元にやってきたのです。

私の人生初購入の鉢物はハエトリソウだったのか…。

この時のことを母は、
「植物のタネやチューリップの球根を買っているころは
植物好きの子なんだなぁと微笑ましく思っていたけど、
さすがにパッと見きれいでもない食虫植物が欲しいと言われたときは、
この子どんな子に育つんだろう…って心配になったよ。」
と言っていましたが、
案の定、食虫植物好きの大人になりました(笑)。


△ ハエトリソウとは30年の付き合い。私にとって特別な存在です。

 

子どもの力はすごい


家に帰ってから、
栽培図鑑の「ハエトリソウ」のページをいつも以上に読み、
「湿地の植物だから絶対に水を切らせてはいけないこと」
「腰水(こしみず)という方法で管理すること」などを確認しました。

すぐさま浅い鉢皿に水を張り、
そこへハエトリソウの鉢を入れます。
日当たりのいい南向きの軒下に置いて、
毎日毎日水を切らさないようにして、
ときどき捕まえたハエを与えていると…
夏の間に成長して大きな捕虫葉がいくつもできました。

どうやら「エサ」も多少は必要そうです。
虫を捕り、絞めつけて、消化吸収していく様子を
夏のあいだよく観察したものです。

不思議だなぁと思ったのは、
当時私が「湿地(しっち)」とか「腰水(こしみず)」のことを
なぜか理解していたこと。


子どもって大好きで興味のあることに関しては、
大人顔負けの知識が
いつの間にか備わっちゃう
ものなのですね。


 

失敗から学んで、今も続く食虫植物とのおつきあい


ハエトリソウは、休眠中の冬に植え替えをするのですが、
水苔(ミズゴケ)が欲しくて
色々と探したことも懐かしい思い出です。
当時はまだ私の住む町に
ホームセンターなどはなかったので、
隣町の大きな(私にとって)生花店に
水苔を買いに連れて行ってもらいました。

「植え替えは、
3月上旬までに終わらせなければならない」

本に書いてあったので、
私はサギソウの植え替えと一緒に
いつも3月に入ったらすぐに、株分けや植え替えをしていました。

鉢植えのハエトリソウは、
その後、成長と休眠を繰り返し、
5年ほど私と一緒に過ごしてくれました。

本当はもっと長く生きるのですが、
ある年、植え替えを忘れて
4月中旬ごろに作業をしたことで株が傷み、
暑さがやってきたころ真っ黒に変色して
腐って枯れてしまいました。

とてもショックを受けましたが、
同時に植物の「栽培」は、
ポイントをしっかり押さえることが
重要だということも学びました。
株に負担をかける作業は、特に注意しなければなりません。

このハエトリソウとの出会いにより、
食虫植物を集めて育てたり、
植物園の展示や自生地を見に行く機会が増え、
愛好家や研究者と知り合うきっかけができました。



△ 働き始めたころ、少しずつ集めては育てた食虫植物たち。


△ コモウセンゴケの自生地。初秋になると赤い繊毛がとても美しくなります。


△ 愛知県豊明市にあるアカバナナガバノイシモチソウ自生地。愛知県だけにしかない固有種なんです。


私の趣味でもある、
海外自生地探訪の原動力は、まさに食虫植物なのです。

(註:サムネイルの写真は、南アメリカ大陸、ベネズエラのギアナ高地のヘリアンフォラ)

私の食虫植物との長いつき合いは、
今もそして、これからもまだまだ続いていくと思います。


さぁ、次回はお約束通り、
早春(2~3月)の植え替えや株分けについてお話しします。
お楽しみに!


→→→ 第3回 へ続く。

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