梅木 あゆみ 梅木 あゆみ 59ヶ月前

北国のコテージガーデンから[10]

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5月|チューリップのバスケット



■ コテージガーデンの定番、球根入りバスケット■

こんにちは。梅木あゆみでございます。

5月。
まもなく、ハンギングバスケットに植え込んだチューリップが開花します。


△ 国営滝野すずらん丘陵公園 に飾ったハンギングバスケット。私の作品です。


私の球根入りバスケットは、この仕事を始めた20年ほど前に考案した、いわば私の完全オリジナルの植え方です。
コンテナに重ね植えする、ダブルデッカー、トリプルデッカーは日本にも紹介されていましたが、これをハンギングバスケットに応用してみてはどうかしら、とやってみたのがきっかけでした。


△ 同じく、国営滝野すずらん丘陵公園 に飾ったハンギングバスケット。


使うのはパンジー、ビオラと、同時に咲くチューリップ、ムスカリ、あるいはスイセン。
チューリップを1品種で植えるのが梅木風

ちなみに北海道で冬を越す一年草はパンジーとビオラだけなので、他の一年草は入れません。
植えたばかりのときはスカスカな感じですが、やがてパンジーとビオラがたっぷり広がってバスケットを覆います。
そしてチューリップが開花してクライマックスを迎える。というのが、このバスケットのストーリー。
しかも、クライマックスは、いつも母の日。


△ 5月6日のバスケット。チューリップは開花直前!


△ これも5月6日朝。店の前はこんな感じです。

 

■ 球根入りバスケットの作り方 ■

コテージガーデンの秋教室では、毎年この球根入りの豪華なバスケットを作ります。これまで多くの皆さんにお教えしました。

雪を利用した越冬というのも、このバスケットのミソ。


△ 冬の間の様子。この雪の下にバスケットが埋まっています。


△ 3月ごろ。雪が少し溶けて、様子が見えてきました。



雪から堀り上げたばかりは絶望的な感じだけど、ちゃんとお手入れをしてあげれば大丈夫。
雪の下で眠っているバスケットを3月20日ごろ、堀り上げ、いったん乾かします。
雪で蒸れてしまったパンジーやビオラは素早く取り除き、欠けたところがあれは何ごともなかったように、似たようなパンジーやビオラを植え込みます。


△ 雪は自然に溶かして、いったん乾かします。


△ 一見、生存不明な感じもしますが、大丈夫。むしろとてもいい状態なんです。



それから、球根入りバスケットの大敵は、じつはネズミ。
ネズミはチューリップの球根が大好物なので、食べられたときには頑張って、改めて芽出し球根を植え込むか、もしくはあきらめるかしかありません。




△ 実家の玄関。通りに面しているので、よく目立ちます。



堀り上げ後のバスケットは、決して甘やかしてはいけません。
せっかく雪の下で固く育てているので、最後まで固く厳しく。

3月末といえばまだまだ氷点下の気温ですが、霜にもどんどん当ててあげるのです。
水やりのタイミングは、パンジーとビオラが欲しがるときにたっぷりと。
やがて気がついたときには、パンジーとビオラで覆われたバスケットに、チューリップの茎が伸び始め、蕾が上がってきます。


△ 蕾が上がってきました。コテージガーデン店頭のハンギングバスケットです。


10月に植え込み、母の日にクライマックスを迎える、球根入りバスケット。
チューリップの後は、パンジーとビオラでもう少し楽しむことができます。そして、6月初めに、夏の花に切り替えるのです。

こうして考えてみると、冬を挟み8か月ものロングランで楽しめる球根入りバスケット。
冬の間は妄想ガーデニングだし、植え込みはちょっと大変だけど、やってみる価値があると思いませんか?




△ こちらも実家の玄関。


ちなみに、このバスケットがきっかけとなって、ガーデンのお仕事をただいたのがノーザンホースパークのK’s Gardenです。
同社経営者の奥様に球根入りのバスケットをプレゼントしたところ、球根がニョキニョキ出てきて開花したころ、電話をいただき、お仕事に結びついたという経緯があります。
なので、このバスケットは私のメモリアルバスケットともいえ、私の仕事のなかでも欠かせない、大切なアイテムとなっています。



△  ノーザンホースパーク K's Garden の球根入りハンギングバスケット。


球根入りバスケット。
いわば私の原点。
これがあったから、今の私がある。
球根入りバスケットのチューリップが咲き始めると、この仕事をスタートしたころの自分をちょっと思い出します。
そんな、5月のお話でした。


△ こちらも 国営滝野すずらん丘陵公園 に飾ったハンギングバスケット。

 

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この記事のライター

梅木 あゆみ
梅木 あゆみ

1995年月形町で生産直販店「コテージガーデン」を主婦から起業。現在は年間を通し2000品種以上の植物苗を生産し、札幌市百合が原公園ガーデンショップの売店も経営する。ノーザンホースパークK’s Garden、滝野公園、層雲峡温泉、個人庭園などの、企画、設計、工事、管理などを行う。「オープンガーデンof北海道」を発行するブレインズ種まく私たちのメンバー。2009年度北海道「輝く女性のチャレンジ賞」2010年度内閣府「女性のチャレンジ賞」受賞。日本ハンギングバスケット協会公認講師。三男一女の母。

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