内田 祐介 内田 祐介 2018/05/31

ツツジの自生地探訪

こんにちは、内田です。

アジサイの花が雨に映える季節となりました。
春からの慌ただしかった園芸作業も一段落。
ようやく一息つけそう。


もっとも身近に咲く花木「ツツジ」

ところで、みなさん! ツツジの花はお好きですか?
春から初夏にかけては クルメツツジやヒラドツツジが公園や街路を彩り
各地でツツジ祭りも開催されます。
ツツジは桜ほどではないにしても
日本人に愛される花で間違いありません。

私個人的に愛してやまないのが、野生のツツジ。
園芸種のような豪華さはないものの
素朴な花は毎年毎年、何度みても飽きることがありません。
いくつかの丈夫な種類は植栽されることもありますが
そうではない種類は、自生地まで会いに行かなければなりません。

ただ、野生ツツジは簡単に人が近づけるような場所にはあまり自生していません。
断崖絶壁であったり、高山であったり。 
ほかの植物との競争に敗れ、追いやられてしまったのか…、
ほかの植物との競争を避けるために、あえて厳しい環境に進出したのか…。
いずれにしても、たくましく生きる姿を見るたびに、感動を覚えます。


ツツジ界にも変わり者がいた!

それは「キシツツジ」です!!
植物の世界において「かわりもの」とは最大級の誉め言葉ですが
キシツツジは本当に変わっている!
おおっと失礼。 



キシツツジ
長門峡(山口県)は全長12km の峡谷です。
長門峡入口から最終地点の龍宮淵までの川岸に、途切れなく生えていて
ゴールデンウィークのころには、淡紫色や淡桃色の花で彩られます。
しかし、なぜこのような場所を選んだのか・・



水面スレスレの岩にしがみついている株も。
水しぶきをうけることなんて日常。
増水時には水没してしまうこともあるでしょう。



長門峡にはカッパが棲んでいて
旅人を川に引きずり込むという昔話がありますが、
キシツツジの花の美しさに魅了された旅人が
その花をまぢかで見ようと、うっかり足を滑らせ川に落ち流されてしまった…。

これは私の作り話ですが、岩はつるっつるで本当に危険。
写真撮影も命がけ。

花は大きくて美しく
丈夫なので、庭木としても利用される種類のひとつです。


霧氷沢のヒカゲツツジ

5月下旬、雲仙普賢岳(長崎県)でヒカゲツツジに出会いました。



花の時期は5月中旬なので諦めていたのですが
霧氷沢とよばれる岩場には、数多くの風穴があって
一帯は気温が低くなっています。
おそらくそのお陰で、花が残っていたのでしょう。
ヒカゲツツジは、ほとんどの場合 切り立った崖や岩場に生えます。
つまり人が近づけないようなデンジャラスな場所にばかり…。

近くで花を観賞できたのは幸運でした。
透き通るような薄黄色の妖艶な花。
シャクナゲに近い種とされています。


ヤマツツジの自生地

三大カルストのひとつ、平尾台(福岡県)。
広谷台とよばれる場所に、ヤマツツジが自生しています。



断崖絶壁のヤマツツジ。



ツツジ類って、どうしてこんな険しい場所に…。
ヤマツツジは分布域が広く 、もっとも普通にみられる野生ツツジ。
朱紅色の花と新緑の緑とのコントラストは「素晴らしい」の一言に尽きます。

私事ですが…、
色弱なのでこの色が組み合わさると上手く見えなくて。
現地に到着しても、ツツジどこにあるの!? って。
眼が慣れてくれば、じわじわみえ始める始末。


そしていよいよ、天空の花園へ

ミヤマキリシマは九州の標高 1000m 以上に多く自生するツツジです。
火山性ガスが噴出する山にいち早く生えるのが、ナナカマドとミヤマキリシマ。
常に強風にさらされているため、樹高は低く抑えられ
べったりと地を這うように枝が伸びます。
まるで刈り込まれたかのように。

九重連山の名峰、平治岳(大分県)
大勢の登山客で賑わっていました。 



天空の花園まで、もうひと頑張り! 



ここは天国なのか!?
ミヤマキリシマは小輪の可愛らしい花。
花色には変異があり
青みのない鮮やかな桃色や
かなり珍しいですが白花もあります。



このような花色違いを探すのも楽しみのひとつです。

今年の野生ツツジの自生地探訪はこれにて終わり。
大自然に感謝です!
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この記事のライター

内田 祐介
内田 祐介

下関市園芸センター(市営植物公園)主任。
幼い頃より何故か植物を育てていた。そして気がついたら植物公園に勤めていた。職場では、園内植物の展示栽培、種の保存、園芸相談などを務めるほか、テレビ出演や講演会も多数。NHK趣味の園芸など、園芸雑誌への執筆活動も行う。森林インストラクター。趣味は野草の自生地探訪。好きな言葉は、まじめに遊ぶ。

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