北国のコテージガーデンから[15]
これまでの 北国のコテージガーデンから
→北国のコテージガーデンから[1]
→北国のコテージガーデンから[2]
→北国のコテージガーデンから[3]
→北国のコテージガーデンから[4]
→北国のコテージガーデンから[5]
→北国のコテージガーデンから[6]
→北国のコテージガーデンから[7]
→北国のコテージガーデンから[8]
→北国のコテージガーデンから[9]
→北国のコテージガーデンから[10]
→北のコテージガーデンから[11]
→北のコテージガーデンから[12]
→北のコテージガーデンから[13]
→北のコテージガーデンから[14]
10月|それはフレッシュハーブとの最後の蜜月
こんにちは。梅木あゆみでございます。
■ 北国のハーブな生活 ■
ただ今、私の手元にあるフレッシュハーブたちです。
こうして集めてみると、すでにドライとジェノベーゼに加工してしまったバジル以外は、どうやらまだ元気ですね。
でもさびしいことに、それもあとわずかの期間。
冬の訪れとともにフレッシュハーブとは、しばしお別れしなければなりません。
△ ハーブのブーケ。花とは違う、香る葉っぱの贅沢さ。
私とハーブのつき合いは、案外長いと思います。
最初にハーブのタネまきをしたのは、なんと40年以上前の、右も左もわからないときでした。
キッチン雑貨の店でチャイブとタイムのタネを見つけ、そのタネをまいたのが最初
(タネまきの知識など何もわからず、あえなく失敗)。
△ 上からチャイブ、ディル、パセリ2種。
次に出会ったのは30年ぐらい前、先輩ママ友達の家にあったプランター植えのタイムでした。
しかもそれは真冬で、彼女はプランターを家に取り込み、日々料理に使っていたのです。
当時の私にはそれがとても新鮮で、ものすごくうらやましかったのを覚えています。
「自分の台所にフレッシュハーブがあり料理の度に使えるって、なんて理想的!」
その後、私は花苗屋になりましたが、タネまきで作ることのできるハーブは何から何まで試して、それが売れようが売れまいが、すっとつくり続けているのです。
さし木でふえるような、木本類や多年草のハーブはともかく、一年草のハーブは野菜と同じくらい足が速く、つまりどんどん成長するため、売りどきが大変重要になります。
バジル、ディル、クレス、ルッコラ、コリアンダー(パクチー)、マスタード。 これらは条件や品種により *1薹立ち(とうだち)が早まることもあり、販売時期を逃すと不良在庫となることもしばしば。
そして、苗を販売するのが私の仕事ですが、実はこれらのハーブはタネまきとしては初級レベル。簡単なので、ぜひ自分でタネをまいて育てることをオススメします。
ちなみに私が若かりしころトライしたチャイブは、多年草で発芽もそう悪くはないのですが、ザクザク切って食べるようになるまではやや時間がかかり過ぎるし、タイムのタネまきなどなかなか成功しないものの一つ。ですから、これらは苗で購入するのが無難でしょう。
*1薹立ち(とうだち):花がつく茎、花茎がのびるさま。薹が立つと繊維が硬くなったり本来の風味が損なわれ、食用には適さなくなる
△ ディルの花
△ クレスの花は、アブラナ科らしい可憐さ。
△ コリアンダー(パクチー)の花はレースのよう。タネができたらスパイスにも。
△ マスタードはカラシナのこと。成長が早い早い!
では、私のハーブ*マストアイテムをご紹介しましょう。
■ 一年草のハーブ ■
・バジル
言わずと知れたハーブの代表。寒さに弱いので十分暖かくなってから育てます。品種数も多く、香りのバリエーションが素晴らしい。
・ディル
北欧、東欧料理のイメージが強く、ピクルスには欠かせないハーブなのでヨーロッパ原産のハーブと思いきや、ベトナムの市場でも山盛りのディル発見! ググってみたらアジア原産がうなずけました。花が咲くたびにピクルス液に漬けこむといいでしょう。葉は乾燥するよりペーストにし、小瓶に詰めて冷凍しておくと使い勝手がよいですよ。
・ルッコラ
実は薹立ちが早く食べごろが難しいのですが、その花がとてもおいしいのです。某高級有名レストランからは花だけがほしいと注文がたっぷり。麺類の薬味としても最高です。
・クレス
あまりなじみがないけど、ピリリとした味は日本人の口には最高に合うと思います。サラダにちょっと加えるだけで、本当においしい。こぼれダネで次々と発芽するのもうれしい。
・コリアンダー(パクチー)
苗を買って育てるより、タネまきして育てたいハーブの代表格。花も、スパイスとして知られるタネも美味しい。
■ 多年草のハーブ ■
・ミント
庭に植えるとふえすぎて嫌われものになるため、プランター栽培がおすすめ! 夏には欠かせないハーブです。フレッシュミントをコップの中でつぶし、炭酸水で割ってレモンをギュッと絞る。さわやかなノンアルコールモヒートのできあがりです。これはぜひノンシュガーで! そのほか、サラダにもぜひ加えてみて! ミントを見直しますよ、きっと。
・チャイブ
いわゆるネギですが、繊細な味わい。切り戻して何度でも使えます。刻んで冷凍も便利。花もエディブルフラワーとして使え、甘酢に漬けておくと便利です。
△ チャイブを刻んでペーストにしてみました。こうすれば、保存できます。
・タイム
この一枝があるかないかで、料理にかなりの差が出ますね。特にクリームシチューやハンバーグ。レストランの味になりますよ。写真は葉に斑が入るシルバータイム。
△ レモンバーベナの株。コンテナ植えにして室内で冬越しさせます。
このほか、北海道の戸外では越冬しないレモンバーベナ、ローズマリー、ローリエなども私のマストアイテムです。 これらはコンテナで育て、冬は室内に取り込むことになりますが、北海道の暖かく乾燥した室内で育てるのは実は至難の業。 できれば寒くて日当たりのよい部屋に置くのがコツなんです。 しかし、現代の住宅では、なかなか難しい環境。 これだけは、ハウスがあってよかったと思えるハーブだと思っています。
△ ローリエ。関東地方以西では庭植えで冬越しできますが、北国ではコンテナ植えで冬越し組。
△ レモンバーベナ、ミント、ジャーマンカモミールでフレッシュハーブティ。バランスよい組み合わせ。
まもなく、長い長い半年も続く雪の季節。 フレッシュハーブを日々収穫し、料理に使う幸せは10月が最後と思うと、たまらなく愛おしくなるのは私だけではないと思います。
せめて、最後まで使い切るか、加工して冬に備えたいものです。
- すてき 0
- クリップ
この記事のライター
1995年月形町で生産直販店「コテージガーデン」を主婦から起業。現在は年間を通し2000品種以上の植物苗を生産し、札幌市百合が原公園ガーデンショップの売店も経営する。ノーザンホースパークK’s Garden、滝野公園、層雲峡温泉、個人庭園などの、企画、設計、工事、管理などを行う。「オープンガーデンof北海道」を発行するブレインズ種まく私たちのメンバー。2009年度北海道「輝く女性のチャレンジ賞」2010年度内閣府「女性のチャレンジ賞」受賞。日本ハンギングバスケット協会公認講師。三男一女の母。