梅木 あゆみ 梅木 あゆみ 2018/12/09

北国のコテージガーデンから[16]

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11月|冬囲いwatch  

 

こんにちは。梅木あゆみでございます。

 

■ 冬前の一仕事 ■ 

北国のガーデナーの冬前の一仕事。 それが、「冬囲い」あるいは「雪囲い」。
その目的は耐寒性の弱い植物を寒さや寒風、大雪から守る。 地域により目的は様々ですが、この作業をこなして、ようやく庭を保つことができると言ってもいいぐらいなのです。

ちなみに豪雪で有名な岩見沢は隣のまちですが、それよりも大雪が自慢(^_^;)のわがまち月形町。 例年、札幌の2倍ぐらいの積雪があり、平均1.5m、多い年は2mを超えます。 なので、冬囲いというより雪囲い。

今年は記録的な遅雪で、みなさん比較的のんびりしている11月ではありますが、冬将軍直前の岩見沢と札幌の冬囲い状況をざっくり観察してきました!

 

1.結束が基本

積雪深以下の低木には、もれなく雪の重さの影響が出ます。
それ以上の樹木においても、樹形や種類によっては雪の重さで枝が引っ張られたり、垂れたり。
あるいは針葉樹でも雪により株が割れることもあります。
雪の重さから守るためには「かごあみ」と呼ばれる竹や丸太などで囲いますが、その前にまず株が割れないよう結束するのが基本となります。


△ ハスカップ畑の結束。ハスカップは北海道に自生しているため耐寒性は強いが、株が割れないように結束する。株が割れなければ、大雪で倒されても復活する。

△ 雪の少ないとことろでは、高さがあっても結束すれば守られる。


△ 低木のラベンダーもこうして結束すると潰されず、樹形に影響しない。隣のマリーゴールドもそろそろ抜けばいいのに^_^;



2.雪の重さから守る

雪の季節の始まりのころはサラサラの軽い雪でも、立春のころから雪が解けて締まってきます。
この雪の締りが厄介で、植物を上からギューッと押しつけるのです。
それに耐えられるよう、竹や丸太、また最近はラティスのような部材で守るのが雪囲いの仕組みです。
竹はまっすぐ伸びた晒竹も使いますが、基本は北海道の山に自生する粘りのある根曲り竹です。
それ以外でも、それぞれ工夫して利用されています。


△ 完璧で頑丈な雪囲い。


△ 住宅地ではこんな雪吊りと結束例が見られた。



△ 垣根にはこのように1本支柱を渡して、樹形を保たせる。


△ こちらも頑丈そうな雪囲い。


△ 雪吊りが樹木を雪の重さから守る。



3.寒風、寒さから守る

北海道の常緑樹といえば針葉樹ですが、シャクナゲや常緑性ツツジなども冬の管理によっては越冬が可能です。
西洋シャクナゲなどは寒風から身を守るために、さまざまな工夫がこらされます。

また、バラも雪の下にならないところは寒さで凍害を起こしたり、寒風によって枝が乾燥しシワになってしまうことがあります。

このような樹木は竹などで補強したのちにワラムシロで囲いますが、最近は手に入りにくいため、ネットやそれに準ずるもので囲うことが多くなっています。


△ ネットを利用した寒風避け。


△ オベリスクの足元のバラも、こうして寒風避けを施し、枝のシワや傷みを避ける。


△ 今年植えたばかりの街路樹は寒さに弱い。ネットを張って寒風から守る。


△ 西洋シャクナゲ。丸太を組んだのちにネットを巻く。ネットを巻くのは、雪が降り始めてから。そして外すのは、春のようすをみながら徐々に慣れさせながら。



4.男結び

男結びは造園で使う結び方です。
普段使うことはほとんどないと思いますが、北海道の、特にバラを楽しむガーデナーはしっかりマスターして役立てている方が大勢います。
つくづくすごいなぁ~と、北海人でありながらいつも感心。


△  「男結び」。 

 

5.寡雪(雪が少ない)地域の冬囲い

写真は ノーザンホースパーク のバラ園です。
ここは雪が少ないので、雪折れの心配はありません。
その代り凍結深度が深く、80cmの深さまで地面が凍るのです。
よって「冬囲い」は積雪よりも、寒風と寒さから守るのが最大の目的となります。


△ 寡雪の地域では、寒さだけに気をつける「冬囲い」を施す。
 

6.豪雪地帯の雪囲い

断然多いのが丸太の雪囲いですが、それ以外にも様々な工夫を凝らしています。
歩道の周辺などは除雪された雪が重くのしかかるため、二重の構え。
長年の失敗と経験がこのような工夫を生むのでしょう。

また、線が細い根曲り竹ですが、本数と縄を組み合わせることによって、丸太やほかの資材よりも強固な囲いにすることができます。


△ 1株ずつ支柱で結束したのちに、しっかりと丸太を組んで二重の構え。これで除雪の雪に押されても負けません。


△ パネル状のがっしりとした雪囲い。


△ 和風庭園の針葉樹を守る雪囲い。なんだか男前。



△ こちらも丸太と縄でしっかり囲う。


△ 線の細い根曲がり竹も、本数が多ければ強度が増す。

 

7.装飾性の高い冬囲い

ホテルや店先、病院など人目につく場所では、造園屋の美しい仕事が目を引きます。
緑が消えてしまうこの時期半年。
この半年を楽しませてくれるのがプロの技です。
やはりプロの仕事は、個人や高齢者事業団の冬囲いとは違うと一目でわかる美しさなんです。


△ ダイナミックな雪囲いに比べ、繊細なセンスが光る例。


△ 結びの技など、もはや伝統工芸のよう。


△ 竹と丸太を組み合わせて。
 

8.庶民の冬囲い

毎年のことですから、自分で手持ちの何かしらの資材で囲っているのをよく見かけます。
この「自己流なんでも来い式」の冬囲いの方が、むしろ一般的かもしれません。
目的は寒さと雪から守る。 見た目は二の次。
やらないよりずっと立派です。


△ 施される様々な工夫が、見るだけで楽しい。



△ プロもアマチュアも、みんなそれぞれ雪囲い。

 

9.バラを極めているガーデナーの冬囲い

岩見沢市はバラの町として知られています。
一般家庭でもバラを愛でる庭が点在。
その皆さんは一株一株とても大事に冬からバラを守っています。
バラの枝は、雪の下に入れば寒さから守られるのですが、念には念を入れて。
豪雪地帯の雪囲いのお手本がこのお庭です。


△「絶対にバラを守りたい」という気持ちが現れている。


△ あるものを用いて、一株一株愛情を込めてバラを守る。


△ こののち、全てメッシュシートで囲ったら完成。

 

10.岩見沢バラ園の冬囲い

さて、岩見沢公園バラ園の冬囲いは、さすがに壮観です。
ハマナシなどを除くほぼすべてのバラ約8000本を、スタッフ総出で囲います。
バラの特性や耐寒性を見極め、囲いの仕方も変えています。
これだけ囲えば、嫌でも男結びが身につきますね。


△ つるバラはあえて倒してシートで巻く。添えた板は、雪の重さから守るためのガード(手前)。木立バラは囲ってさらにシートで巻き済み(奥)。


△ ベンチも壊れては困るので、しっかりと雪囲いする。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こうして準備が完了すると、北国のガーデナーはホッと一安心。
いつでもどんと来い!っとまでは行きませんが、どうか平年並みの積雪と寒さでありますようにと願うのです。
そして、真っ白な外の世界を温かな室内から眺めては、半年後の夢の世界を妄想し続けるのです。



 
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この記事のライター

梅木 あゆみ
梅木 あゆみ

1995年月形町で生産直販店「コテージガーデン」を主婦から起業。現在は年間を通し2000品種以上の植物苗を生産し、札幌市百合が原公園ガーデンショップの売店も経営する。ノーザンホースパークK’s Garden、滝野公園、層雲峡温泉、個人庭園などの、企画、設計、工事、管理などを行う。「オープンガーデンof北海道」を発行するブレインズ種まく私たちのメンバー。2009年度北海道「輝く女性のチャレンジ賞」2010年度内閣府「女性のチャレンジ賞」受賞。日本ハンギングバスケット協会公認講師。三男一女の母。

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