吉野みゆき 吉野みゆき 4週間前

有機的里山暮らし<vol.6>夏は河原で

都心から、山と湖のある町に移住したのは10年前のこと。
自然に魅了され、触れ合ううちに、いつしか植物との関係は切っても切れないものになりました。
ふと気がつけば、自然と共にあって、植物の恩恵をうけている里山暮らしの、ちいさな、ちいさな楽しみを連載しています。

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水の流れる音と蝉の声

もう何もしたくなくなるような、暑い暑い夏の日。
時には、釣り好きの息子に付き添って、近隣の河で涼みます。
河原の木陰は、たとえ猛暑の日だって、へっちゃらです。
想像よりはるかに大きな水の流れる音と蝉の声が、話す事も諦めさせ、
景色を眺めたり、本を読んだりしてのんびりと過ごすのに最適なのです。



夏の小川はキラキラと輝きを増し、何処までも美しくて、流れの速い所は、今にも飲み込まれてしまいそうに力強い。
私たちは、大いなる自然に内包されているんだなぁ、と感じます。

流れを見ながら、そんな事を考えていると車で数十分の場所なのに、何処か遠くに来た気分。
旅の思い出や、どこか異国の地に思いを馳せてみたり……
その時、釣れたー、と!目の覚めるような声がしました。

釣りをしている息子の姿は、自然とよく馴染んでいる動きが美しいな、と眺めます。
小さい頃は釣り糸が絡まったり、針を引っかけたり、色々上手くは行かないこともしばしばで、私の出番も多かったのですが、いつの間にやらこんなに綺麗なポーズで魚を釣り上げられるようになったのかと、我が息子ながら、感心してしまいます。


そうだ!私も釣りをしてみよう

山から篠竹を切ってきて、葉を落とし、釣り糸(仕掛け)を結べば、竿が完成!
河に、釣り糸を垂らしてみるとどうもバランスが悪い。
竹がしなりすぎるし、糸も長すぎました。
竹の先を切って、糸も切って、自分に合うサイズに整えてみます。
餌をつけて……、おっと、もうすでに糸が絡まってしまっています。
竿を左手に針を右手に持ち、今度は慎重に河に近づくと、います、います、魚が泳いでいます!


そして、なんとか

河に釣り糸を垂らしていても、何も起きません。
しばらくたっても、何も起きません。
様子を見に来た息子に言うと、「そんな所に魚居ないよ」と。
「よく見て、ほら、泡の立ってる方」
はい、わかりました、先生。
それでも釣れる気配が全くないので、少し場所を変えてみます。
「どうしたら、釣れるの、コツを教えて!」「え、あー適当に」
はい、わかりました、先生。

魚の群れが見える所に、釣り糸を投げてみると、掛かりました!
今度こそ瞬時に。
20cm弱くらいのニジマスです。
頑張って竿を持って引き寄せましたが、自分で掴むことはできません。
魚は暴れるし、2m近い竿を操るのって、難しいのですね。

息子が網で取り、引っかかった針を外し、びくに入れました。
なんとか、1匹釣れました。
なんとも言えない、嬉しさでした。

けれども、それから、私のウキが動くことは2度とはなく、何度も餌だけ流されたり糸が絡まったり、しばらくして諦めました。


河の観察へ

釣りに比べてみたら、可愛いもの美しいもの探しは、得意な方なのです、私。

岩の陰には、サワガニが潜んでいました。
なんとも、愛らしい。
けれども、油断すると挟まれるから気をつけて。

石をひっくり返すと川虫の巣があって、川虫は、釣り餌になるのです。
見かけは、ん、と思って始めは抵抗があったのですが、石をひっくり返して探すのが面白く、
飽きずに繰り返し、探してしまいました。





自然には敵わない

石に生えた苔やシダの美しさ、自然には敵わないなとため息がでます。
岩の間や苔に生えている、ヤマアジサイや雪の下も発見!
どこかから、流れ着いた流木もいい味を出しています。
それから、自生しているクレソンやセリを見つけては、つまんで食べました。
(毒のある草もあります。プロのガイドの元、行ってください。真似をしないでくださいね。)



ありがたく。

ニジマスは、新鮮なうちに河原でさばき、塩を振って帰宅。
「自分が釣ったの食べる?」と息子が私の席に置いてくれました。
そう言えば、初めて自分が釣った魚を食べました。
少し焼きすぎたけど、自分で釣ったと思うと、美味しさが20パーセントくらいアップしていたかな?

夏生まれのせいか、水のあるところに、惹かれます。
水の流れる音と蝉の声は、心地よく、夜まで、私の耳に残っていました。
体は程よく疲れていて、いろいろな感触が残り、とても満ちた気分です。
自然のパワーが、なんともありがたかった1日、早起きして、良かった、良かった!

みなさん、河原に遊びに行ってみませんか?

文・写真/吉野みゆき
 

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この記事のライター

吉野みゆき
吉野みゆき

吉野みゆき ファッションスタイリスト、エディターを経て、結婚、二児の母となる。 10年ほど前、都心より、山と湖のある里山に移住。自然と繋がっている、手しごと、美しいもの、素敵なことを研究中。

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