植物生活編集部 植物生活編集部 41ヶ月前

続・きょうの花活け  花と鎌倉とウーロンと、ときどき茶話。/vol.22 花活人生


vol.22 花活人生


こんにちは! CHAJINです。

こちらは、かつて月刊フローリストさんで連載させていただいていた
「花と鎌倉とウーロンと。」のエピソード2……とでも言いましょうか。

季節ごとに出逢う日々の花あしらいについて、
花活けを始めたばかりの植物好きなアラフォー女子のMちゃんに
わかり易~く(時に脱線しながら)お話ししてゆくWEB版の花教室みたいなコーナーです。

また、アトリエのある鎌倉界隈のことや愛猫ウーロンについての茶話も綴っております。

諸々緩さ満載ながら、皆さまの日々の花活けに少しでもお役に立てればうれしいです。
それでは今回もよろしくおねがいします~!
 



花と

 


CHAJINさん(以下C)「いつも結構……手のひらサイズだけではないですけど、小さめの花あしらいが多いんですけど」

植物好きなアラフォー女子M(以下M)「はい」

C「今日はちょっとイレギュラーに、大きな花活けっていう感じですかね」

M「すっごい大きいですよね!」

C「これ実はね、結構大きいんですよね~。えーっと寸法をうまく伝えられないけど」

M「でも畳の……」

C「そう、畳一畳が下にあるから、横はいっぱいいっぱいで」

M「おぉー」

C「茶室みたいな、いや茶室じゃないけど、こう、平屋の茅葺き屋根のお家の一室なんですけど」

M「はい」

C「鴫立庵(しぎたつあん)っていう大磯にある、これお寺なのかな? そういう施設で」

M「なんかそういう古い家屋で……」

C「そこで去年ちょうど今時分ですかね、10月に花展をやらせていただいたときの写真なんですけど」

M「ほぉー」

C「まぁ、たまにね。壷に活けたりとか大きく活けることも、教室ではやらないんですけど個人的にはやっていて」

M「ほぉ~」

C「なかなかこれをお家で活けるっていうのはね、難しいんですけど……」

M「ですね~」

C「ただ、こういう壷活けのいいところっていうのが、普通のお家で飾るような花活けにも多少応用できるっていうか」

M「へぇー!」

C「結局考え方はいっしょなので。ちょっとそういうお話を今日はできたらなっていう感じですかね~」

M「はい!」

C「それで、これは枝ものとかを結構使っていて。ちょうど紅葉の季節なんで。赤い葉っぱの枝ものは紅葉したブルーベリーとか」

M「へー! この右側の……これブルーベリーなんですね!」

C「そう、ブルーベリーの紅葉ってヤツなんですけど」

M「きれい!」

C「それからあと、実のヤツは野バラ」

M「赤い実チラチラしているヤツですかね?」

C「そうですね。あともう一個の実はムラサキシキブ。これも秋ぐらいによく出るんですけど」

M「はい」

C「あとちょっと諸々、そういう実りの秋というか。まぁ市場でも、最初草花っぽいのが出て、段々と実のものが多くなってきて。晩秋にかけて、初秋-中秋-晩秋と段々こう秋の花でも実のものが増えてきて……」

M「ほぅほぅ」

C「ちょうどそのくらいの時期だったんで、実ものと紅葉ものが合わさってるんです」

M「すごい贅沢な秋感ですよね」

C「そうですね~。ちょっとこれをお家で再現っていうのは難しいかもしれないけど」

M「はい(笑)」

C「ただまぁ、紅葉見に行ったりしてこういう気持ちになる季節なので、なんとなく彩りというか、ほかの季節より“色”っていうものを意識したんですよね」

M「ほぉ?」

C「たとえば普段、僕は白グリーンとか割とシンプルな色合わせが好きなんですけど」

M「はい」

C「こういう秋の季節だと、赤とか黄色とか青とかをいっしょにしたくなるっていうのは、季節的に出回っているものが彩りの強いものが多いので、そういうのを意識しちゃうっていうのはあって」

M「ふんふんふん」

C「だから普段シンプル好きの人も色を意識して花を選んでみると、案外ちょっと楽しいかもしんないって」

M「へぇ~」

C「それと、枝ものっていうのって一枝一枝こう……ラインが違いますよね」

M「はい」

C「で、切花とかは、たとえばバラだったら茎があって葉っぱがついててトップに花がついてて」

M「シュッとしてポンって感じの……」

C「あんまり形状はそんな変わらない、似てますよね」

M「はい」

C「だからそれとの違いっていうか。枝を一枝、たまたま手に取った枝が右に向いてるとか左に向いてるとか、暴れてるとか真っ直ぐだとか」

M「ふんふん」

C「そういうのを見ながらやる、みたいな。うまく言えないんですけど、要はあんまり繊細さというよりは勢いとかそういう“ノリで活ける”っていうとちょっと雑なんだけど」

M「ふんふんふん!」

C「流れるままに活けるというか、それでできあがる一期一会の美しさみたいなものがあるんですよ」

M「ほぉ~~~~」

C「で、壷とかが相手だとあんまり(枝の)向きがどうだとかっていうよりは、段々挿してきて形になってきたものを“よし”とするような……」

M「ふんふん」

C「もちろん考えて活けるんですけど、そういう大胆さとか、そういうのが自分の中で試しやすいっていうか」

M「なるほど」

C「これ伝わってるかわかんないですけど(苦笑)」

M「(笑)」



C「はい(笑)。こういう考えで小さな花活けに戻ったときに、そっちでも枝ものを活けるのをちょっとでも経験してると、どこか大胆さの引き出しとかが残ってて」

M「ほー」

C「小さな花瓶でしか活けたことがなかったよりは、もうちょっと違う花活けになっていくというか」

M「はい」

C「だからそこは……スミマセン、この少ない語彙で伝わるかわかんないですけど、たまに花教室でもお伝えしてるのは、自分の好きな落としどころが……たとえば花の頭を揃えて活けるのが好きな人は、こうパリっぽい感じでいつも作っちゃうけど」

M「丸っとした感じに……」

C「はい。でもたまに自分のあまり触ったことのないものとか、活け方自体もやったことがないことにチャレンジしてみると、そっちの丸っと活ける方も、なんかそこにちょっと大胆さが覗いたり」

M「ほぉーーーー」

C「そういうことがちょっとずつ変わってくるということがあって」

M「ふんふんふん」

C「だから、なかなか花教室でも枝ものっていうのが状況的にご用意できないんですけど、そういう話はしていて」

M「はい」

C「たとえこんな量を活けなくても、なんとなく1本の枝を買って来て、なんとなく投げ入れして、たまたま傾いた枝の角度が美しいとか。そういうのって知ってから丸っとしたものに戻ると、また感じるものが違って来ると思うんです」

M「なるほど~。よく枝ものを花屋さんで見て“かっこいいな!”って思って買って帰りたいと思うんですけど……枝って大体めちゃめちゃデカく売ってるじゃないですか」

C「はい」

M「家がすごく狭いし、そんな大きな花瓶も持ってないし……どーやって飾ろうかなと思って諦めることが多いんですけど……」

C「あぁ~」

M「なんか家でも“こうしたらいいんじゃない?”みたいなコツってあるんでしょうか?」

C「えーっと、たとえば長かったりしたら、部屋の状況に合わせてね、枝を切るっていう風になってくると思うんですけど」

M「うんうん」

C「枝を読むっていう言葉があるんですけど」

M「おお! 難しそうな!!」

C「その枝振りに合わせて、右と左で分かれているところがあったら、ここで落とす、またはその一節上のそっちが左に流れていたらそっちを切った方がいいか。その下の最後のところを切った方がいいか。ちょっと悩みますよね」

M「悩みます!」

C「切花では長短の長さくらいだけど、枝ものはもうちょっと枝分かれして、どこでハサミを入れるのかを考えるっていうことが」

M「はい」

C「結構、はっきり言っちゃえば慣れなんですよね」

M「おぉー!?」

C「仮にそこでよしっ決めた!って切って、あとから活けたらもう一節上だったって知っても、それは失敗じゃなくて」

M「なるほど」

C「またそういうことを経て、次やるときはその一節上に気付けるから」

M「はぁ~~~(深く感心)」

C「これね、よく花教室で言うんですけど、人生といっしょなんですね(笑)」

M「おおおお、なるほど人生!」

C「どっちの道に行くか。仮に違ったとしても結局それは無駄じゃなくて」

M「うんうん」

C「その次のアレにまた活かせるっていう。だからなにやっても不正解ってことはないんですけど」

M「ほぉ~」

C「結局やっぱり慣れの問題ってことにはなっちゃうんだけど」

M「うんうん」

C「けどそうやって枝を読むみたいな、切花ではあまりないようなことも、普段手にしない素材を手にすると自ずとそういう経験をすることになって……」

M「はい」

C「そこからいろんな副次効果があるから。もしかしたら人生迷ってたタイミングで枝を買って、枝を切って、活けてみて『あ! なんかうまく活けれた。心の中で悩んでたこともコッチだわ』って決められるってことも往々にしてあると思うので」

M「なるほど~!」

C「教室でよく言うんですけど、毎月ね、みなさん健康診断に来てるのといっしょですって」

M「ふんふん?」

C「花活けして、自分が悶々としてるとうまく花が活けれないけど、悩みながらも活け終えてよかったなと思えたら、自分自身も健康だということなんで」

M「んーなるほど!」

C「そういう副次効果が、花ってあるんですよね~」

M「ほうほう~」

C「全然違う宗教の時間みたいになっちゃいましたけど(笑)」

M「いやぁ、勉強になります(笑)」

C「だから、枝ものもなかなか、みんなが買うとかみんな飾るとかいうのはない素材だと思うんですけど。意外と買ってみると、チャレンジしてみると、またちょっと違った見えてくるものがあるので」

M「はい」

C「とくに紅葉の季節とか、いつもより枝の色がきれいだとか種類が多いとか、そういうときにチャレンジしてみると非常に入りやすいんじゃないかと思いますね~」

M「なるほど。じゃあ、秋は枝にチャレンジしてみよう!な季節かもしれないという」

C「そうですね~。ぜひ、オススメします」

M「やってみます~」

C「がんばってください!」

M「がんばります!」


秋の紅葉。
外で見るのも美しいけれど、
それが家の中にもあるともっと季節を満喫できそう!
枝ものを飾るって憧れなので
これを機会にチャレンジしてもいいかもって思いました。
あと「枝を読む」っていうのをやってみたい! かっこいい!!
というミーハー心も抑えられませんっ!!!
枝だ、秋は枝もイイゾー!!!(by枝ものに興奮気味のM)


 

ウーロンと、



万物愛情


ウーロンは濃茶の虎模様ということで
道すがらたまたま同じ猫種の子と出会ったりすると
親近感を覚えずにはいられないですね。
でも、毛色がどうこうより、
もう猫っていうだけで、他の子にも愛猫と同じ位の心持ちで接してしまいます。
この頃は、猫だけでなく、
例えばアトリエで花瓶の間からひょっこり出てきた蜘蛛でさえ、
それがちょっとドジっぽい印象だったりすると尚更、
ウーロンと重なるようで、かなり愛おしい眼差しで見守ったりしてしまいます。
これって?老化現象だったら怖いですね…(汗)。

ちょうど今週末に花展でおじゃまする三渓園の庭にも
そこかしこに猫ちゃんが居るので、彼らに会うのもとても楽しみにしています。
あっ、あくまでも花展がメインで伺うってことは言うまでもありません(笑)。




ときどき茶話、



三渓蕎麦


今回は三渓園スペシャル(笑)ってことで。。
今週末に花展をさせていただく待春軒さんは、
三渓園の創設者の原三渓さんがこよなく愛した三渓そばを食せる茶処でもあります。
花展で滞在中は、遅めの朝食として、はたまた、三時のおやつに~、
そして、早めの夕食?などなど…。
こちらでしか食せないこともあってか、毎度ヘビーローテション気味になるのです。
花展に御来場の際はこちらの三溪そばもぜひ御賞味下さいませませ~!!


告知
10/19(土)~/20(日)に
横浜三渓園内の待春軒さんにて
花市場で出逢った花仲間(茶飲み仲間とも言う~笑)“うらら会”による
花展「ふたたびの秋うらら」を開催します。

個性豊かな7人の花活けをどうぞのぞきにいらしてくださいませ。
御来場お待ちしております!

詳細はこちらより。
https://www.instagram.com/urarakai_7.16/


 

活けラジ

脱線しまくり!? 「花と」のところでおしゃべりしているCHAJINさんと、編集者Mとの花トークラジオ
「活けラジ」はじまりまりました。

「迷わず活けよ、活ければわかるさ!」youtubeで配信中




プロフィール

CHAJIN/チャジン





フラワーアーティスト。
ORIGINAL FLOWER STYLE CHAJIN 主宰。

暮らしまわりの雑貨と季節の花を合わせ、個性的でありながらもカジュアルな花あしらい、存在感あるリースの作品が得意技。
雑誌や広告の花活け、店舗や温泉宿のディスプレイ、展示会の花活けの他、
鎌倉のアトリエや、池袋コミュニティカレッジ、NHKカルチャー青山教室、NHKカルチャー横浜ランドマーク教室、二子玉川高島屋S.C教室ほか、都内各所で開催中の花教室も人気。
著書に『きょうの花活け』(誠文堂新光社刊)、『花活けのココロ』(主婦と生活社刊)、
『小さな花あしらいと12ヶ月の花の話』、『季節の花でつくる12ヶ月のリース』(ともに芸文社刊)がある。
紅茶好きでプロレス好きで愛猫家。鎌倉在住。  

インスタグラム instagram.com/chajin_eye



「CHAJINの花カレンダー2020 」植物生活ショップで販売中!限定オリジナルポストカードつき


これまでのお話はこちら


 
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この記事のライター

植物生活編集部
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「植物生活」とは花や植物を中心とした情報をお届けするメディアです。 「NOTHING BUT FLOWERS」をコンセプトに専門的な花や植物の育てかた、飾り方、フラワーアート情報、園芸情報、アレンジメント、おすすめ花屋さん情報などを発信します。

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