植物生活編集部 植物生活編集部 2020/07/06

続・きょうの花活け  花と鎌倉とウーロンと、ときどき茶話。/vol.37 良い加減


vol.37 良い加減


こんにちは! CHAJINです。

こちらは、かつて月刊フローリストさんで連載させていただいていた
「花と鎌倉とウーロンと。」のエピソード2……とでも言いましょうか。

季節ごとに出逢う日々の花あしらいについて、
花活けを始めたばかりの植物好きなアラフォー女子のMちゃんに
わかり易~く(時に脱線しながら)お話ししてゆくWEB版の花教室みたいなコーナーです。

また、アトリエのある鎌倉界隈のことや愛猫ウーロンについての茶話も綴っております。

諸々緩さ満載ながら、皆さまの日々の花活けに少しでもお役に立てればうれしいです。
それでは今回もよろしくおねがいします~!
 



花と







CHAJINさん(以下C)「前回が、スモークツリーをはじめブルーベリーとか……あれ、なんだっけ?」

M「確かいろいろな“サマーベリー”を使い……」

C「あ、そうだった。作り込んだリースで、なおかつ花材も足し算で」

M「いっぱい入っていましたね!」

C「そんな括りだったわけですけど、前回が足し算だったので今回は引き算ということで。同じ花材もありつつ、今回はコチラ!」

M「おぉ~!」

C「主軸になっている花材はスモークツリー」

M「かわいい~、スモークツリー~~~~!!! なんか、(前回と)同じ花材でも全然印象が違うなって思います」

C「なんか女性人気高いですよね? スモークツリー」

M「ぬいぐるみじゃないですけど、このフワフワした感じにトキメキを覚えてしまうのではないかと」

C「母性みたいなことですかね?」

M「なんでしょうね~?(笑)」

C「僕もインスタ上げたりすると、スモークツリーだとリアクションがちょっといつもと違ったりとかします」

M「そうなんですね!」

C「教室でもご用意すると、(生徒さんが)ちょっとアガル感じの印象があったりしますね」

M「はぁ~、みんなやっぱりこのモフモフふわふわにキュッとなっちゃう感じなんでしょうね~(深く頷き)」

C「そうかもしれないですね~。で、前回と照らし合わせながらお話すると、前回はスモークツリーも入っていたけどほかにもアクセントとなるようなものがいくつかあって、スモークツリーも数ある主役のなかのひとつだったんですよね」

M「はい」

C「今回は主役で。それと、あと葉ものが2種ほど入っています」

M「これは、もともとスモークツリーを主役にする予定で作られたスワッグですか?」

C「そうそう。これはスワッグっていうか花束としても飾れるし、この写真では逆さまにして吊っているのでいわゆるスワッグっていう形ですけど」

M「はい」

C「まずは花瓶とかで飾って、質感がドライっぽくなってくるそのくらいの頃合いを見て、こうして逆さまにして飾ると、その後もこういうフワフワした雰囲気は引き継がれつつ、いい感じでドライにスライドしていくっていう」

M「ふんふん」

C「この写真はフレッシュ感の方が強い状況ですけど、これが1週間か2週間くらいするとなんとなく色合いが一段くすんでくる感じになり……」

M「ほぉほぉ」

C「くすむと言ってもネガティブっていうよりは、ドライの風景にそのままいい感じで変わっていくっていうお花なので。どう転んでもわりといい風景になるから、そのへんも人気の要因なのかもしれませんね」

M「なるほど。さっき葉ものが2種入っているとおっしゃっていましたが」

C「まずちょっと細かな、フレッドペリーのマークみたいな葉っぱは、ピスタチアです」

M「ピスタチア? なんかピスタチオみたいな……」

C「そう、ピスタチオみたいな(笑)。輸入のもので、確かオランダとかあっちの方から入ってくるのかな。あと下の方に、ちょっとテレッと頭だけ垂れてるヤツがスモークグラス」

M「あぁ、このちょっと穂みたいになってる」

C「そうそうそう。だからちょっとスモーク×スモークっていう重ねワザにもなってるんですけど(笑)」

M「なるほど~。ちょっと煙い感じの(笑)」

C「それ(3種類)しか使ってないですが、ただスモークツリーにちょっとピンクグリーンみたいな色合いのグラデーションが覗いてるから、コントラストはついてるってことで絵として寂しくない風にはなってるかなって」

M「このピンクの入り具合がちょうどいいですね」

C「うんうん。(スモークツリーは)ホワイトとかピンクとか、両方混じったヤツとか数種類あって。ワイン色みたいなすごい濃い赤っぽいのもあるし」

M「はい」

C「そこは好みが分かれるところだと思うんですけど」

M「うんうん」

C「(スモークツリーは)初夏時分の、6月の1カ月前後しか手に入らないので、アジサイとかも代表的な花なんだけど、近年このスモークツリーっていうのはスルーできない花材になってきましたね。個人的にも」

M「ほぉ~。あと話は変わりますが、スモークツリーのフワフワの中に葉っぱがほどよくミックスされている、この束ね方がすごく素敵だなと思ったんですけど、これは交互に束ねる感じですか?」

C「あぁ、えっとね、あんまりそういう技術論でどうこうっていうよりは、言葉で言うとどっちかっていうと“ノリ”に近いんですよね」

M「ほぉ、ノリに!」

C「スモークツリーは枝もので、わりとボリュームのあるものは太い枝1本から上の方に放射状に何房にも分かれてたりするので。たとえば、その花房と花房の隙間のところにピスタチアの葉っぱを挿し入れるとか」

M「ほうほう」

C「仕上がりとしてなんとなく、これくらいの塊のイメージをして、空間を葉っぱとかで肉付けして、丸っこいフォルムになるといいな~くらいのイメージで……あんまり考え過ぎずに固めていったらできた、みたいな」

M「へぇ~~~~!」

C「そういうやっぱり一期一会的なノリの方が、極めて自然、かつ、よくいうところの神バランスというか」

M「神バランス!」

C「その言葉で全部よしとするかっていうところもありますけど(笑)」

M「(笑)。でも結局はそういうことですよね」

C「まぁ、そうですよね。とはいえ、まったく真逆の話で、ちょっとした葉っぱの1度2度の違いが活ける人にとっては微妙に違うという繊細な心の動きもあるんだけど。それと、たまたま組んだものをよしとするっていう、相反するものが両方大事っていうノリなんですよね」

M「なるほど~」

C「だからその中庸ぐらいが見えてくると、バランスとしては極めて自然かつ作り込んだっていう、微妙なさじ加減に……やっぱり組めば組むほど、そういう感覚はわかるようになってくるから」

M「ほぉ~」

C「これはスワッグっていう形で壁に掛けてるけど、これを生花として1週間くらい仮に飾ってたとしたら、毎日水を替えるときにちょっと束ね替えて、あぁ今日はこの葉っぱが前にきたとか、横にきたとか、そういう微細な違いを楽しむと自分なりの組み方とか、自分の好みみたいなのが見えてくると思うんですよね」

M「なるほど。やはり何個か束ねて見えるものがある、みたいな」

C「そうそうそう。僕なんかが料理を語れないですけど、たとえばカレーライスを初めて作ったときより2回目3回目はここで火をゆるめてルーを加えると味が深みが出るなとか……」

M「なんとなくわかります」

C「花束は、料理ほど分数で……ここで火を止めるとか的確なものはないにせよ、なんとなく自分の中の感覚的なものって、数をこなすことで見えてくると思うんですよね」

M「なるほど」

C「強いて言えばスワッグっていう形なので、後ろが……これはドアに掛けてますけど、背中が完全に壁っていうシチュエーションのときは見せどころが全部フロントにきますよね」

M「そうですね」

C「だから、たとえば前から見たときに、根元のあたりに葉っぱがグルーピングされているゾーンがあったり、ちょっと薄めのところがあったり、スモークツリーだけが見えているところとかちょっとアトランダムに少し演出してあげると、特に束ねている茎元なんかは葉っぱかなんかで濃いグリーンが集まっているとコントラスト上は締まって見えるので」

M「ほぉ~~~~」

C「テクニックがあるとすれば、そういう配置の妙みたいなところを少し盛り込んであげると、ただ組んだといってもコントラスト上締まるみたいなことはあるかもしれませんね」

M「なるほど~。絶妙な一期一会とデザイン的なことの合わせワザですね」

C「そうですね~。まぁ、こういう考え方もあるし、まったくそうじゃないぞっていう考え方もあるでしょうし。活ける人それぞれの大切にしているものは違うと思うんだけど、僕はそういう感じが強いですね。昔、師匠に言われたのは“良い加減で活けろ”みたいな」

M「おぉ~、いい加減で」

C「いい加減じゃないんですよね、良い加減(笑)」

M「なるほど!」

C「いまだにうまいなって思うんです。その言葉選び、さすがだなって。良い加減っていうのが、ちょうどよいですよね」

M「本当に、いろんなことに対して良い加減っていうのは大事ですよね」

C「そうそう、ね!」


前回に続いて、スモークツリーの話題でした。
今回のお話を聞いてますますスモークツリーが欲しくなり
隣町の花屋さんまで5軒くらい回ったのに
折り悪く売ってなかった悲しみ。
どうかどこかで出合えますように~。くぅ~。(byM)



 

鎌倉と、




昭和目線




鎌倉の花教室でおじゃました新たな会場。

この日に拝借したのは、小屋っぽい小さな部屋。

小屋マニアとしてはちょっと心踊る空間でした。
(全体写真は無くであしからず~拝)。

心踊るといえば、
部屋の床材も、壁面に埋められたタイル柄も、
今では絶対見かけないような
どこか懐かしい昭和感が満載でしたね。

軸足が昭和の自分としては、
とてもテンション上がる空間との御縁でした~!




ときどき茶話、




 

初夏見所


春先に引っ越したアトリエの庭内ですくすくと育つ
スモークツリー。

背丈は軽く2メートル越え。
プロレスラーで言えば…(何でやねん!)、
アンドレ・ザ・ジャイアント級の大きさでしょうか……なかなか立派。

アトリエをシェアしている仲間内でも人気で
ここ数ヶ月、ずっと皆の目を楽しませてくれていました。

もうぼちぼちドライスモーク状態ですが、
新アトリエでの、初夏のお楽しみのひとつでございました。



プロフィール

CHAJIN/チャジン






フラワーアーティスト。
ORIGINAL FLOWER STYLE CHAJIN 主宰。

暮らしまわりの雑貨と季節の花を合わせ、個性的でありながらもカジュアルな花あしらい、存在感あるリースの作品が得意技。
雑誌や広告の花活け、店舗や温泉宿のディスプレイ、展示会の花活けの他、
鎌倉のアトリエや、池袋コミュニティカレッジ、NHKカルチャー青山教室、NHKカルチャー横浜ランドマーク教室、二子玉川高島屋S.C教室ほか、都内各所で開催中の花教室も人気。
著書に『きょうの花活け』(誠文堂新光社刊)、『花活けのココロ』(主婦と生活社刊)、
『小さな花あしらいと12ヶ月の花の話』、『季節の花でつくる12ヶ月のリース』(ともに芸文社刊)がある。
紅茶好きでプロレス好きで愛猫家。鎌倉在住。 

インスタグラム instagram.com/chajin_eye


これまでのお話はこちら


  脱線しまくり!?「花と」のところでおしゃべりしているCHAJINさんと、編集者Mとの花トークラジオ「活けラジ」やってます。

「迷わず活けよ、活ければわかるさ!」youtubeで配信中  vol.1から聴きたい、という人はこちら

 
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この記事のライター

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「植物生活」とは花や植物を中心とした情報をお届けするメディアです。 「NOTHING BUT FLOWERS」をコンセプトに専門的な花や植物の育てかた、飾り方、フラワーアート情報、園芸情報、アレンジメント、おすすめ花屋さん情報などを発信します。

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