植物生活編集部 植物生活編集部 2020/09/24

花店インタビュー|やりたいことから立地を絞り、ニーズに合わせて変化する|ソーセリードレッシング



東京 JR「恵比寿」駅西口より徒歩1分、駅からすぐの横断歩道の向かい側にあるパープルグレーのビル。
陽が落ちると大きなスクエアのウインドウディスプレーが一層際立ち、せわしく道行く人々の視線を集めていました。

この一棟まるごとがフラワーショップ「ソーセリードレッシング」
その立地選びから他店との差別化まで、いろいろ伺いました!
 

どうしてこの場所に? 立地選びの決め手は


「ソーセリードレッシング」のオープンは2014年。
店名にもある「ソーセリー」とは「魔法の」、「ドレッシング」は「仕上げ、手入れ、装飾」を意味しています。
とらわれない自由な発想、厳選したマテリアル、独創性をもとに生み出される“ソーセリースタイル”はまさにその名の通り、訪れるお客様の気持ちを鮮やかに形にします。




高級感ある店作りですが、リーズナブルな商品も豊富です。
「花を身近に感じて欲しい」という想いから「どうしても買いやすい価格帯にしたかった」と代表取締役の森宏之さんは語ります。



店内はセンスの良いディスプレーが目を引きますがプライスカードがしっかり提示されていたりと華やかさだけでない、お客様への誠実さが見てとれます。



1階は生花、2階は観葉植物がメイン。
植物周りの雑貨もあり、どれもおしゃれです。



森さんは実家も花店。
目黒にあるその店で勤めた後、別会社を立ち上げて独立しソーセリードレッシングをオープンさせました。
新店舗の立地選定にあたっては路面店、それも知名度がない状態から始めることを考えると
「早い段階で認知されるような場所がよいと思っていました」。

目黒にある実家の花店はエキナカにあり人通りが多い分「うちを求めているわけでなくても来られる方も多かった。
その客層からこちらが提供したいものではなく万人受けするものを置いておいたら間違いないという状況で、そこにジレンマがありました」という。

だから今回、人通りが多い場所を選んだのは集客のためというよりも多くの人に店を認知し、見てもらい
そこから興味を持ってもらうための手段の一つでした。

また、さらに意識したのが、地域による花のニーズの違い。
「とくにやりたかったのがアートに寄ったものだったり、そういう方向性で」と、自身が望むようなニーズを持つエリアに絞って――具体的には恵比寿、代官山、青山の界隈でそのなかで極力、人通りが多いところを探し、いまの店舗にたどり着きました。

店の現状としては通常のギフトのニーズももちろんありますが撮影用のお花の提案など、そうした関連の需要も多く
「花をプレゼントとして贈る、自宅に飾って癒されるニーズが有るとして、花のビジュアルとしてなにかプロダクトを引き立てるというニーズがある」と森さんは感じています。


 

花店が集まる駅前、差別化はどうしてる?


ソーセリードレッシングがある恵比寿駅周辺には駅ビル内や駅近の路面などかなり近い範囲に、ほかにもいくつかの花店があります。
その差別化として、近年こだわっているのが“ありきたりの花”も並べること。

オープン当初は新品種やレアな品種を揃えたラインナップでしたが、いまどきの店舗では
もはやその風景は珍しいことではなくなったと森さんは感じています。

逆に、昔ながらの定番の花……
たとえばソリダゴ、スターチス、カスミソウ、カーネーションなど、ともすれば“ありきたり”と思われそうな花を意識して置くようになりました。



そうした定番の花を取り入れることで花の表現にも幅が広がります。

森さんはかつてイタリアンとフレンチのシェフをしていたという経歴の持ち主。

「おいしいものとおいしいものを合わせると相乗効果があることもありますが、個性が強いものに個性が強いものが必ずしも合うとは限りません。
たとえば生ハムとメロンを食べるとき、生ハムを引き立てるには甘過ぎないメロンの方が相性がよいというように、お花もよいお花同士で合わせればいいものができるのは当たり前ですがありきたりの花もこうやって使うとかわいいな、とか、合わせるものによって可能性があると思うんです」

と、その可能性を語ります。

 

好評のオリジナルアイテムも


花揃えだけでなく、アイテムの開発も行っています。
オープン2周年の折に発売した「ブーケバッグ」は発売当初からいままで人気を集めるアイテムです。



ブーケがすっぽり入って、結ぶことで肩紐の長さが調整可能。
花が傷つくことも気にしないでよくて見た目もおしゃれで、いいことだらけのこのバッグは贈り物としても、エコバッグとしても使えると好評です。



色の展開も豊富!
サイズもS、M、Lと揃います。

こうしたアイデアは、森さんとオープン当初から勤めているスタッフと二人で考えることが多いそうです。
このブーケバッグについてはアイデア出しだけでなく、日暮里の生地問屋街に行き生地を探し、選ぶところからも
自分たちで行いました。



こちらは森さんに制作していただいた花束。
店のイメージカラー「紫」を基調にしてナチュラルな草花らしい花材に、カトレアのようなインパクトのある花を合わせています。

個性の強い花であるカトレアが浮いてしまうことなく花束の一員として束ねられているのが印象的です。
青トマトの艶が質感のアクセント。



Flower & Green
カトレア、スカビオサ、バラ‘イヴ・シルバ’、トルコギキョウ、スイートピー、トケイソウ(蔓)、ツヅラフジ、クレマチスシード、アフリカンブルーバジル、青トマト




ショップカードやラッピング用のタグ、リボンもスタイリッシュです。



こちらはフラワーシャンデリア!
花たっぷりのハンギングアレンジメントをシャンデリアのように照明と並べて吊るした、階段を上って来るとちょうど花たちの顔と目が合うサプライズ的演出です。

Flower & Green 
バラ(ブルーカップアイ、フジ)、サルビア、ジニア、センニチコウ、バンダ、パンジー、ビオラ、ダリア‘桜貝’ 、シクラメン、ツルバキア、トルコギキョウ、スカビオサ‘マリモ’ 、ノボタン、ハボタン、カラーグラス、ユーカリ・ポポラス、ツヅラフジ、キヅタ、オレンジカリフラワー、ラディッシュ
 

スタッフに期待していること


ソーセリードレッシングのスタッフは現在6名。
そのほとんどが、花業界未経験からのスタートです。
採用したスタッフには水揚げや花の扱いなど基本の知識、店のスタイルを最初に伝えます。
しかし、接客についてはさほど細かく指導しないそうです。

それはあえてマニュアル通りにしないことで、「陽気な方であればそういう接客で、控えめな方であればそのように」
それぞれの個性を活かした対応をして欲しいと森さんが考えているから。

花のスタイルに関しても店の方針は伝えるものの「それ(店のスタイル)を柱として、自分のクセだったり個性だったりというのがあるのでそれをエッセンスとして入れて、自分にしか作れないものを作って欲しいと伝えています」。

店のスタイルの範囲の内ではありますが、作った本人がいいと思うもの、自分が納得するものを生み出して欲しい、
そうすることで店としての統一感を保ちつつも画一的ではないスパイスの効いた彩りが生まれているのだと感じます。



2020年3月4日に6周年を迎えたソーセリードレッシング。
オープン当時から変わったこと、変わらないことは?と尋ねたところ、「ドライフラワーの扱いは増えたかもしれません」とのこと。



その後ずいぶん悩んでから「でも変わったことは、あまりないかも」と答えた森さん。
それはきっと、変わらない信念で進み続け、顧客のニーズを掴み続けいるからこその言葉なのだと思います。
今後は縁があれば違うエリアにも進出したい考えで、その際はまたそのエリアのニーズに合わせて
「いまの恵比寿の店とはまったく違う感じになるかもしれないです」



text&photo 月刊フローリスト 撮影/徳田 悟
 

店舗情報

SORCERY DRESSING ソーセリードレッシング
東京都渋谷区恵比寿西1-7-6
http://www.sorcery-dressing.com/
Facebook:@ Sorcery Dressing
Instagram:sorcerydressing
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