植物生活編集部 植物生活編集部 2021/03/03

空間に植物がもたらすもの「植物生活グリーンオフィスプロジェクト」


 

目と心を癒してくれる緑。
植物という生きものだからこそ持ち得る気配や優しさは、普通のインテリアにはない大きな特長です。
その大きなメリットを取り入れた「室内緑化」はすでに世間に根付いて久しいですが、その“いま”を、人と自然との新しい向き合い方を私たち植物生活が提案する「植物生活グリーンオフィスプロジェクト」の施工例からご紹介します。

 

これまでの植物生活グリーンオフィスプロジェクトはこちらから
▶︎植物で表現するブランディング 愛和病院川越ウエストクリニック




植物で生産性の向上を目指す

 


東京は渋谷にあるオフィスビルの9・10階に位置するスペースが、今回の緑化プロジェクトの目的地。

依頼主はビクターエンタテインメント(以下、ビクター)。

事業柄、もともと社外での仕事が多い同社社員。
このコロナ禍でリモートワーク化が進み出社率が低下、オフィスの使わないスペースが増えた現状がありました。

さらには数年前から働き方改革という観点から、オフィスの利用方法や業務環境の改善に取り組んでいたこともあり、コロナ禍をきっかけに「使わなくなったスペースをどう活かすか」が検討されました。

不使用になったスペースを「社員の生産性が向上するような場所」にできないかということになり、そのためには「閉鎖的ではない、リラックスした空間にすること」が効果的だと考えて植物を取り入れることになったのが今回の計画の経緯です。

 

空間の使い方も見据えた提案


ビクターでは前述のオフィス緑化・大改造のために、数社からの提案を受けたそうです。
そのなかで植物生活グリーンオフィスプロジェクトを選んでいただきました。

「グリーンだけでなく空間全体の家具の配置など、社員の生産性向上というテーマをもとにプランを提案いただいたのがありがたかったです。また予算がある程度決まっているなか、きちんと取捨選択をして最大限のコンサルティングをしていただいたことも大きかったです」と同社の石丸竜一さんは語ります。

今回、植物生活ラボとチーム編成をして、設計・デザイン・施工を担当したのは、ヒキダシ・グリーン・カンパニー(以下、ヒキダシ)です。

同社の浅田龍之助さんと辻菜々子さんは
「最初に図面をいただいて、ここはこのような空間の使い方ができる、というような植物を含めた空間全体としての使い方をご提案しました」と単なる植物配置だけではない空間提案であることを強調します。

浅田さんは花店で勤めてきた経験と知識を活かして植物デザインを担当し、辻さんは空間デザインを手がける大手会社での勤務やインテリアデザイナーとしての活動を活かして内装設計を担当。

今回、それぞれの強みを合わせることで“植物を使った空間設計”というプランを提供することが可能になりました。
それがヒキダシの大きな特徴であり、受注の決め手にもなりました。




ヒキダシの辻奈々子さん。空間デザインのプロフェッショナルだ。見た目だけでなく使っても心地よい植物との空間を作り出す

 

実用性を備えた植物効果

オフィスビルの9・10階の2フロアを、植物を取り入れたオープンスペースにすることが今回のおもなオーダー内容でした。

それぞれのフロアで要望が違い、9階は打ち合わせやアーティストライブの配信・取材時の撮影エリアとして併用できるスペースに、10階は社員用スペースとして個人業務に集中でき、かつ、休憩空間との共存を希望。

あまり緑が主張しすぎないように。

「エンターテイメントという事業を手掛けていることから、配信や取材時の演出で緑を効果的に取り入れる方法など、思いつくアイデアがあれば積極的に出してほしいと伝えました」と依頼主であるビクターの石丸さんは要望します。

そして、空間が完成しました。
 

9階




打ち合わせや取材など、外から人を受け入れることを目的としたオープンスペースなので、コミュニケーションが活発になるように全体をデザイン





可動式のパーテーションを数枚設置。用途によって自由に空間を仕切ることができ、なおかつホワイトボードも兼ねているので実用性も高い。これもコミュニケーションをスムーズにするためのアイデア




可動式パーテーションの上部にもグリーンをあしらって美しく。このグリーンはアーティフィシャルフラワー。生の植物にするかアーティフィシャルを使うか、場所と用途によってどちらがよいかきちんと検討したうえでセレクトされている



個人が集中して作業できるようにと、窓際にはカウンターテーブルを設置。グリーンボックスが一体になったテーブルはヒキダシがデザインした特注品だ。植物をどう配置すれば効果的か、空間を有効に使うには、そのための什器セレクトや特注品の用意もヒキダシが行った



カウンターテーブル上のボックスは小さく入る土も少ないため、保湿性のよい土を使い、とくに乾燥に強い植物を配した。上からヤシの繊維をカバーすることで乾燥を防ぎ見た目もおしゃれに



「等間隔に植物のポットがあるので自然とソーシャルディスタンスになるうえに、目線をはずしたときにふと緑が目に入ってリラックスできる。ここは社内でもとくに好評な場所です」と石丸さん


こうしたライトのセレクトひとつとっても、全体の調和が考えられている


こちらのベンチもヒキダシがデザインした特注品。両端の植物の上にもベンチと同じ板を渡して蓋をすることで、まるでそこから木が生えているかのようなビジュアルに。細部へのこだわりが見え方の大きな違いにつながる






黒い柱の前に多種多様な植物が並ぶこの一角は、取材時のアイキャッチとして使われることを想定して設置した。ここは西向きの窓に面しているので、サボテンなど日差しに強い植物を集めている。柱の色に合わせてプランターも黒で統一してすっきりと





アーティストの動画配信などを行うスペースにもグリーンをさりげなく配置。「配信、撮影などで少し緑が映り込むだけでもアクセントになったり、緑を利用したクリエイティブも出てきたりします」と石丸さんが言うように、その効果は小さくない

 

10階




社員用オープンスペースとして個人業務に集中でき、かつ、休憩空間と共存したスペースにという依頼主の希望。それに沿ったレイアウトとデザインに。9階よりもポップで気軽な雰囲気




リモート会議などに使えるよう、壁で囲ったひとり用ブースも設置




この階にも特注の個人作業用カウンターテーブル



ただし9階と比べてテーブルはやや高め。これにより立った状態でも作業をすることができ、長時間同じ姿勢でいることの防止や気分転換なども含めて様々な使い方が可能になる。実際に働く人のことを考えた心遣い



カウンターテーブルの植物は鉢をそのままボックスに入れている。そうすることで鉢ごとの管理ができ、その後のメンテナンスがより容易になる






「ここからだとどの植物が最初に目に飛び込んでくるかなど、そういうところまで考えてくださったのもいいなと思いました」と石丸さんが言うように、さまざまな場所から植物が目に入るようにレイアウトされている。

植物は種類、形いろいろで遠目に見ても近くで見ても楽しい。
すべて植物デザイン担当の浅田さんが市場でじっくり見定めて仕入れてきたもの。


施工に至るまでは何度も打ち合わせを重ねました。
植物生活ラボは、ビクターの従業員の動線からコンセントの配置も吟味したうえで、スペースのゾーニング、用途の確定をし、それらに見合った効果的な植物空間のプロデュースを行いました。

見た目だけでもない、実用性だけでもない、そのふたつを融合した提案は植物と空間デザイン双方のプロが所属するヒキダシならでは。

「来社された外部の方にも、非常に気持ちのよい空間だと感想をいただいたりしてとても好評です」と石丸さん。

「施工前はいわゆるオフィスという感じの殺伐としていた空間だったのと、事業内容としてわりとデスク周辺が雑然としやすい空間だったものが、オープンスペースという形でみなさんが立ち寄れる場所として、かつそこに緑が取り込まれたということでとてもよい空間になったと思います」



撮影/三浦希衣子

取材協力
ビクターエンタテインメント https://www.jvcmusic.co.jp/


植物生活グリーンオフィスプロジェクト
植物生活ボタニカルラボが主宰する、室内緑化の設計・デザイン・施工のプロジェクト。さまざまなフローリストやグリーンデザイナーと組み、あらゆる空間の緑化デザインを実現します。お問い合わせはこちらから



ヒキダシ・グリーン・カンパニー
バイオフィリアという概念をデザインに組み込み、人と自然との新しい向き合い方を提案する空間デザインチーム。オフィス、店舗、ホテル、イベント、公共施設など様々な業種・業態に合わせて、快適性、生産性、創造性、幸福感などを引き出す空間づくりを提案。コンセプト立案からデザイン、実施プラン、予算管理、施工、メンテナンスまでワンストップで提供する。
https://hikidashigreen.com/
 
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