jardin nostalgique jardin nostalgique 2022/11/29

枯れ感と和の印象をブーケに

みなさんこんにちは!jardin nostalgiqueの青江です。
今年もあっという間に残すところもあと一か月ちょいとなりました。

店内では、クリスマスリースレッスンがはじまり、
針葉樹やネイティブフラワーなど、冬の香りが漂っています。
こうした冬の香りって、なんだか喉や体を殺菌・抗菌してくれているような気がして、
おかげで寒くても毎年元気なのかなーと妄想したりしながら、
無駄に深呼吸して体に取り入れようとしています。

今年のリースレッスンの第一弾は、
おととし開催して人気だった、ダブルリング!
テーマの違う華奢な2つのリースをドッキング(昭和!)させて、
1つのテーマとして調和するようにご提案しています。

今年は、ゴッホの絵画、「星月夜」をテーマにして、
うっそうとうねる針葉樹の背景に広がる
星と月の輝きを表現してみました。

テーマが夜だからか、夜に撮影したらとっても素敵!



明日からは第2弾、針葉樹たっぷりのリースが2週間に亘って開催されます。
引き続き、針葉樹の香り豊かな店内になることでしょう!
きっと、風邪もひかない!!

そんな毎日ですが、今日のコラムでは
冬感いっぱいな今の少し前、
晩秋をテーマにしたブーケをご紹介します。


美術鑑賞が好きな自分ですが、
その範囲は主に西洋美術に限られていました。
そんな中、友人から「日本美術も面白いよー!」と言われることがあり、
心にずーっと、いつか日本美術をゆっくり観賞したいなーと思っていたのでした。

そしてこの夏、箱根に旅行に行くことにした時、
旅行雑誌を見ていて気になったのが、日本美術をたくさん所蔵している岡田美術館でした。
果たして、自分が日本美術に興味が出るのかどうか・・・
それを試す気持ちもありつつ、行ってみることにしてみました。

訪れた日は幸い空いていて、
ゆっくりと、たくさんの屏風や掛け軸などの日本美術を静かに鑑賞することが出来て、
期待していた以上に、自分の心がその趣を楽しんで感銘を受けたのでした。
特に、尾形光琳の菊図屏風の迫力、色彩、余白も含めた間の取り方などが印象に残って、
すぐにそれをブーケで表現してみたくなりました。

ただ、色数を抑えた表現や、菊を使ってみようというアイデアを
夏の暑さと華やかな彩りが残る夏期休暇直後に開催してはイメージが湧かないので、
ちょっと寝かせて、冬よりの秋に開催することにしてみました!

ブーケのイメージが出来上がったら、それにタイトルをつけてレッスンとしてご案内します。
「ブーケ 尾形光琳!」とか、「ブーケ 岡田美術館!」とかでは雰囲気が出ないなーということで、
いろいろ考えた末、
「ブーケ 晩秋の幽玄」というタイトルでご案内することにしました。

幽玄とは、もともと中国の仏教思想から生まれた概念とのことで
文字で書いたもの・目の前に見えるもの以上に、
余韻や気配などを想像の中で感じられる美のようなものと、
自分は解釈しました。
 

冬を前に寒さを増す晩秋。
草花は枯れ、枝葉は紅葉し時にはらはらと舞い落ちます。

春や秋真っ盛りの頃のように、華やな風景ではありませんが、

変化する自然の風景を目前に秋の余韻・冬の気配を心に感じ、

想像の中に情景を描くことができる趣深いひと時。
幽玄という世界にはこの時期がぴったりかなと思いました。




花材としては、白い菊をメインに白・青・枯れ色を合わせてみました。
市場で花を選んでいると、いつもは目に入らないような、
枯れた印象の花や、枯れてできた実・種など、
とにかく、枯れたものにときめくという状況に。
さらに、帰り道に生えている枯れ草や立ち枯れた実などが
欲しくてたまらなくなるのでした。

合わせた青については、
屏風の中で陰の表現に用いられていたブルーがとても印象的だったので、
白の影味として使ってみました。

また、日本美術に特徴的な金彩をイメージして、
アスパラをゴールドに染めてみたり。。。

そんなこんなで集めた花材を
あくまで「ブーケ」としてご提案しようというのが今回のコンセプトでした。

日本のアートや生け花の良さであると思う余白、不均衡な構図、線や動きの表現を
西洋のアートやブーケの表現の良さである色の密度、色彩表現にドッキング(再度昭和!)した、
和洋折衷を目指しました。

なので、皆様にお伝えしたのはいつも通りブーケを作ること。
束ね始めから花材の半分過ぎくらいまでは、
いつも通り、しっかりと密度のあるブーケを作ります。
ただ、外側に広がる不規則な動きに馴染むように、少しの凹凸を付けて。

後半、出来上がった丸いブーケに、
余白、不均衡を意識した配置で広がりや動きのある花材を添える。

・・・違いはそれだけ!ほとんどいつものブーケ作成と同じ。
そんな感じです。

(おそらく)生け花と違う点は見せる視点にも。
真横からではなく、上から、もしくはやや斜めくらいの程度で見せる点が
やっぱりブーケの佇まい。

それでもブーケからは、いつもとの違いを感じられて、
和・洋それぞれの面白みを感じられるものになったように思います。

枝の動きや不均衡な配置など、生け花の知識があったらもっとうまく説明できるのかも、
とも思いましたが、
そもそも、ちゃんと生け花の流儀をわきまえていたら
ブーケとドッキング!なんてことをしないかもしれないし、
自分の経験や感動を
今の自分の持っている知識・技術の中でご提案したことを、
生徒さんとともに楽しめたことがとても嬉しい時間でした。

水曜日に仕入れたチョコレートコスモスが、
翌日のレッスンでもう散り始めてしまった回がありましたが、
それすら、晩秋のいたずらのように感じて、
心から風情があるなあと思えたのでした。

そんなこんな、お店をオープンした10年前の自分は、
フレッシュな表現が大好きで秋が苦手だったのが嘘のように、
枯れたものにときめく晩秋を過ごした2022年の秋でした。

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この記事のライター

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ジャルダン ノスタルジック、2012年にオープンした東京・神楽坂にあるフローリストの青江、フローリスト/パティシエの加藤が経営する花店。おもちゃ箱をひっくりかえしたような、懐かしくてわくわくするお店づくりをコンセプトにした店内には、青江・加藤が選んだ季節の花とともに、焼き菓子、ハーブティーや花器、フランスのブロカントなどの雑貨が所狭しと並んでいる。土日の15時からは店内の一角でカフェも営業中。

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