ローラン流 季節の花あそび vol.49 Les clochettes de muguet |鈴形の花、スズランの投げ入れアレンジメント
人気フランス人フラワーデザイナー、ローラン・ボーニッシュさんによる、旬の花や植物素材を使ったブーケとアレンジメントの提案。
洗練された花合わせ、色使いのアイデアをお伝えします。
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vol.49
Les clochettes de muguet
鈴形の花、スズランの投げ入れアレンジメント
毎年、スズランの咲く季節になると、お気に入りの鉄とガラス製のアンティーク調の花器にスズランを生けたくなります。
口がすぼみ、中央がぷっくりと膨らんだフォルムは、鈴(ベル)形のスズランの花にも似ていて、投げ入れにもぴったり。
今回は、ベル・エポック期を思わせる器の素材と曲線のフォルムに合わせ、アール・ヌーヴォー調のアレンジメントに仕上げました。
スズランは、根つきものを用意。根元からの長さが約40㎝と長く、花が鈴なりにしっかり咲いているものを贅沢に使用します。
白く小さいスズランの花を引き立たせるために、合わせるサブ花材には白をメインに、グリーン系の小花やダークグリーンのアイビーなどを選んでシンプルに。
茎がまっすぐなスズランに対し、動きのある材料を合わせることでニュアンスを出します。
花器の中にヤマゴケを入れ、根つきのスズランを葉をつけたまま器の縁に添わせるようにし、中央を空けて入れます。
スズランは25本程度、たっぷり使います。
このコケとスズランの根を花留めにし、ほかの花材を入れてきます。
サブ花材を入れる際は、スズランの花に触れると傷がついて黒くなってしまうため、注意が必要です。
茎を短く持ち、手を奥まで差し込んでしっかり挿しましょう。
レースのように繊細な印象のオルレアや、バイモユリは、茎も含めたその姿が美しく見えるように高い位置に入れます。
フランネルフラワーとクリスマスローズは、スズランの間から顔を出すような低めの場所に。
花器を回しながら常に全体の形を確認し、スズランを隠さないように、かつ、それぞれの花の個性が引き立つ位置を考え、配置していきます。
さまざまな花を合わせても、白をメインにし、スズランを外側に入れているため、主役が埋もれてしまうことはありません。
ガラスから透けるヤマゴケが、スズランが咲く野山の自然風景を思わせてくれます。
flower&green
スズラン(根つき)、バイモユリ、クリスマスローズ、フランネルフラワー、ニゲラ、オルレア、アイビー、ヤマゴケ
撮影/山家 学 取材/植物生活編集部
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プロフィール
Laurent Borniche(ローラン・ボーニッシュ)
フラワーデザイナー、Laurent.B Bouquetier 代表。
フランス・パリ郊外、ブーローニュの森に隣接する高級住宅地ヌイイ市の花店の4代目。エコール・デ・フルーリスト・ドゥ・パリ卒業後、パリの老舗花店等で研鑽を積み、母校派遣講師として1998年に来日。2014年、東京・田園調布にデザインアトリエ「Laurent.B Bouquetier( ローラン・べー・ブーケティエ)」を設立。著書に『ローラン・ボーニッシュのブーケレッスン new edition』『ローラン・ボーニッシュのフレンチスタイルの花贈り』『Jeux de fleurs』(以上誠文堂新光社刊)がある。
https://www.laurentb-bouquetier.com/
(c)Kenji Kusakabe
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この記事のライター
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