花のプロになる、フローリストから学ぶ。

人気フランス人フラワーデザイナー、ローラン・ボーニッシュさんによる、旬の花や植物素材を使ったブーケとアレンジメントの提案。
洗練された花合わせ、色使いのアイデアをお伝えします。


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vol.50
Cueillette sur les chemins de campagne
初夏のフランス田舎道

放射状に広がる花弁の様子が矢車に似ていることから名が付いたヤグルマギクは、春から初夏にかけて花を咲かせます。

最近では品種改良が進み、さまざまな色みのヤグルマギクが見られますが、原種は紫がかった濃い青色。
子どもの頃、夏休みに滞在したロワール地方の野原にも、青いヤグルマギクがたくさん咲いていました。

フランスでは「ブルエ（bleuet)」と呼ばれ、フランス国花のひとつです。

国旗の青、白、赤の配色のうち、青色はこの花で表現するほど、フランス人にとっては馴染みの深い花。
今回は、青から紫のヤグルマギクを主役にした初夏のアレンジメントを紹介します。

持ち手の取れたレトロな形のバスケットを偶然見つけ、ここから発想を広げて制作。

ヤグルマギクをはじめとする初夏の草花を野原でたくさん摘み、バスケットに詰め込んだイメージです。

サブ花材は、ヤグルマギクの色と夏を意識して青から紫色のものを中心に、野に咲く雰囲気のものをセレクト。
ニゲラやスカビオサなど、ヤグルマギクに似た花に加え、釣鐘形のシラー・カンパニュラータのような形の異なる小花を混ぜ、変化と動きを出します。





バスケットに吸水させたフローラルフォームをセットしたら、最初にタマシダや銀葉グミなどのグリーンを挿してベースを作り、花を入れていきます。

主役のヤグルマギクなど花の大きいものから配置し、間にリューココリーネなど小さいものを挿します。





この際、花は同じ種類で高、中、低と３段階に分けて挿して高低差を出し、花の顔をきちんと見せるようにすることがポイントです。

先に低い位置から挿し、最後にトップを決めるようにすると、作業中に花を傷つけることもなく、植物が自然に成長していく様子も表現できます。

同じ花や色が隣り合わないようにし、色のグラデーションが美しく見えることを特に意識しながら、風が通る空間をとってアレンジしましょう。





バスケットの良質な木の風合いと、風に揺れるような青紫色のヤグルマギクで、なつかしいフランスの田舎の風景を表現しました。





flower&green
ヤグルマギク、ニゲラ、スカビオサ、ドルフィンキャンドルル、オダマキ、シラー・カンパニュラータ、シレネ・グリーンベル、リューココリーネ、クレマチス、オーストラリアンローズマリー、セリンセ、タマシダ、銀葉グミ、ゼラニウム


撮影／山家 学　取材／植物生活編集部

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プロフィール
Laurent Borniche（ローラン・ボーニッシュ）
フラワーデザイナー、Laurent.B Bouquetier 代表。
フランス・パリ郊外、ブーローニュの森に隣接する高級住宅地ヌイイ市の花店の4代目。エコール・デ・フルーリスト・ドゥ・パリ卒業後、パリの老舗花店等で研鑽を積み、母校派遣講師として1998年に来日。2014年、東京・田園調布にデザインアトリエ「Laurent.B Bouquetier（ ローラン・べー・ブーケティエ）」を設立。著書に『ローラン・ボーニッシュのブーケレッスン new edition』『ローラン・ボーニッシュのフレンチスタイルの花贈り』『Jeux de fleurs』（以上誠文堂新光社刊）がある。
https://www.laurentb-bouquetier.com/

(c)Kenji Kusakabe
 

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