植物生活編集部 植物生活編集部 27ヶ月前

タイのランを訪ねて


 
温かな、微笑みの国、タイ。
花市場には色とりどりのデンファレやモカラが並び、
寺院や個人宅、店舗など街のあらゆるところで
仏壇に供えるランの花束やリースが飾られています。
また、世界への輸出量もトップクラスを誇る国。
そんなタイの街から産地まで、熱風レポートをお届けします。

Report ① 花市場

豪快にランを山盛り!24 時間オープンの花市場

バンコク市内、チャオプラヤー川にほど近い「パークロン市場」には、
生花の仲卸・小売店およそ100が軒を連ねます。
ラン、バラ、カーネーション、キクなど色鮮やかな花や多種多様な葉物が、
狭い歩道の両脇の屋台いっぱいに並べられています。
屋台の奥の建物には花店も入っていて、一帯どこを見渡しても花、花、花。
 
バイクに乗って仕入れに来る花屋さんもいれば、
仏壇に供えるリースや花束を買い求める個人ユーザーなど、
花を求めに来る人はさまざま。もっともにぎわうのは夜で、
しかも市場は24時間営業というからビックリ!
衣料や雑貨の市場の営業は夕方ごろ、
ナイトマーケットと特に呼ばれる場所でも夜中の1時ごろまでだというから、
バンコクの人々の花需要の多さがうかがい知れるというものです。
 
そんな市場を歩くと、特に目を引くのがランの花。
デンファレ、モカラが主で、赤、黄、緑など
ビビッドな色合いのものが多いことに目を奪われます。
聞いたところタイでは、ランは観賞用に飾ることこそ少ないが、
お供えには欠かせない花なのだそう。
また、贈答用の大きなアレンジメントなどにも使われるようになってきていて、
より生活に寄り添う存在となってきているそうです。
 


























Report ② ラン農園と企業

日本向けは栽培・管理とも厳格。愛情たっぷり

タイのラン輸出先は、
2位以下を大きく引き離して日本がダントツ。
そのため、日本への輸出には特に力を入れていて、
品質に厳しい顧客ニあーズを満足させるために管理はかなり徹底されています。
ほとんどの企業が自社農園を備え、
足りない分は契約農家から買い上げて補充します。
 
地元の大学教授に学んだ人、親の代から続く家族経営の農園、
日本の大学でラン作りを学んだ人まで、
ラン農園を営む人々の背景はさまざまです。
彼らは「ランに関わっている」ことを誇りにし、ランに愛情を注いでいます。
それは、いいランを作るには?という問いに、
「ランとコミュニケーションをとること。要するに、
よく見てあげて、まめにケアしてあげることだと思います」という、
ネイチャーグリーン園代表のソムキャートさんの答えからも感じることができます。
そのほか、設立30年以上の輸出業者も、
より日本顧客が求めるものを生み出したいと、
品種や商品の研究・開発に余念がありません。
 
こうして南国の日差しと愛情を全身に受けて育ったランの花たち。
作り手の思いを感じると、見慣れた花も、
また違って見えるかもしれません。


潜 入! 日本への輸出は? パッキング現場から

東京からバンコクまで飛行機で約6 時間。
遠い国から遥々日本まで届けられる花だからこそ、
その輸出状態は気になるところ。
そこで、日本向けに多くのラン輸出を手掛ける
「サイアムタイヨウファーム」のパッキングのようすをウォッチ!















花を切ってからパッキング、
日本への輸送、市場、花店を経てお客さんの手に届くまで、
平均して5 日間かかます。
そのため、ちゃんと花を楽しんでもらうためにも最低でも
15 日間花が保つように品質・輸送管理には力を入れているそうです。

Report ③ タイのランデザイン

生活の場から一流ホテル、有名フラワーデザイナーまで。タイのラン使い





















ハワイのレイって実はタイ産だったの!?

南国リゾートの代名詞、ハワイ。
そのあらゆる場所で目にするハワイアンレイの多くは、
なんとタイ産のランが使われています。
花首だけ、レイの形にしてなど、さまざまな形態で輸出されています。
 




Report ④ 

タイのラン生産、現状とこれから


もっと詳しく知りたい!ということで、
国内の農業関連の普及を管轄するタイ王国政府D O A E( 農業普及)局の
局長アット・インタラック氏に、タイのランについて話を伺いました。
タイ王国が野生のランを育種・改良して育て始めたのは、
約50年前のこと。
タイでは建国当時から自生していたランの花は国にとってもとても大切な花で、
その国内外の普及には力を入れています。
ランの切り花で言うと、2010年の生産量は5万4692トン。
そのうち輸出されたのは2万5269トンと約半分を占めます。
 
ラン切り花の輸出量は世界第2位(ちなみに1位はオランダ)。
主な輸出先はダントツ日本が一番で
アメリカ、中国、イタリアと続きます。
輸出している品種はデンファレが9割と多いですが、
モカラやバンダの輸出量が年々増加。
また日本と欧米では求められる品種が違い、
日本はアンナやソニアの需要が多くて、薄いピンクや白などの色目が人気。
逆に欧米では薄い色は敬遠されて濃い色目の要望が多いのです。
アメリカへはハワイで使うレイなども輸出をしていて、
「ハワイで買ったレイだけれどタイ産のランを使っている」
ということも珍しくはありません。
そのほか、日本に向けてもミニブーケやアレンジにまで加工した状態での輸出など、
さまざまな新しい取り組みが各企業によって行われています。
 
さらにタイ政府では今から5年後を見据えた計画を立てています。
国際マーケットでの競争を勝ち抜く品質向上のために
「新しい技術の開発」「農家の育成」「マーケティング」を強化する予定で、
これらの計画を実行するためにラン委員会を設置、
農業省大臣が会長に、アット氏が秘書に就任しました。
また、タイには約3000のラン農家がいますが、
そのほとんどが参加するラン農家のみの農業組合も作られ、
相互交流や活動を始めるところだそうです。
さらにランの研究をする「ナショナルオーキッドセンター」では
親株を集めての品種改良や新品種の開発、
農家の研修などにも取り組むなど、
国を挙げてのバックアップが強化されています。
ランを誇りにしている国だからこその熱意と取り組み。
「タイのラン」のこれからが、大いに気になります。

色、形、さまざまな新しい品種が続々登場!

タイの多くのラン農園・企業では、
新品種を作るための交配や研究が盛んです。
市場に出るまでには数年単位の長い道のりが必要ですが、
より魅力的な、より日保ちする品種を求めて
熱心で地道な作業が行われている。
その一部を先取り公開!
ピンク色のデンファレの開発を得意とする、
マナ・オーキッド・ギャラリーのオリジナル品種。






ニーズに応じた開発も日本向けに特化した商品群

日本人の好みに合わせた日本向けのみのハイクオリティな品種はもちろん、
近頃は顧客の要望に応じて加工してから出荷する場合も多いとか。
日本市場のニーズを満たす商品作りが日々行われており、
それらの一例をご紹介。










知りたいことがあれば、こちらへ。

もっと詳しく知りたい!という方は、下記へご連絡を。大使館農務担当官事務所は日本語でもOK 。
在東京タイ王国大使館 農務担当官事務所
東京都目黒区目黒3-13-22 コタキテラスC
agrithai@extra.ocn.ne.jp
※日本語対応希望の場合は、まずその旨を電話口でお伝えください。
Thai Orchid Export Association
http://thaiorchidexporterassociation.com/wordpress/?page_id=12 ※英語、タイ語
 
 
text&photo 月刊フローリスト  撮影/佐々木智幸

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