ガラスの球体中にたたずむ盆栽に魅了される Re:planter リプランター
庭がないならば、庭ごと吊るす「テラリウム」に
室内に植物をハンギングする方法は、これまで紹介した「鉢もの」だけではありません。暗がりにぼんやり浮かびあがるのは、LEDライトで植物を育てるテラリウムの作品。
透明の容器の中に広がる緑の世界は「現代版の盆栽」とも言えるくらい巧妙な仕上がりに。
この見事な植栽を作りあげたのは、リプランターの村瀬貴昭さん。
中空に浮かぶ庭園―室内に吊るされた小世界は、新たな植物の飾り方を探すことの楽しみを与えてくれます。
写真の作品名は、「アマノウズメ」。
ルリビョウタンのほか、6種類のコケを入れています。
無機質なガラスのLED―それ自体は命を持たない、「容れ物」に過ぎません。
では、その中に植物が入れたらどうなるのでしょう?
小さな生命の宿った玉は、人の目を集め、癒し、語りかける存在になります。
目線の高さに吊るして見つめていると、とても不思議な心地に。
球体の中に生きた命があるということはインテリアと違い、買って飾って、はいおしまい、というわけにはいきません。
命が続く限り手をかけて、持続していくことをいやがおうにも求められるのです。
そんなふうに植物と触れ合ううち、つい見つめる時間が長くなっている自分の変化に気がつくのかもしれません。
リプランターの村瀬貴昭さんによると「とっかかりはインテリアとしてでもよい」とのこと。
「楽しみ方はさまざまであるかと思いますが、植物と触れることで、普段目にする景色が違って見えるようになれば嬉しいです」。
同じ地球で生きながらも、人間と植物は生活している範囲が違っているように感じていたのだとすれば、このガラス球体をきっかけに双方の世界が重なる瞬間が訪れるかもしれません。
人生に変化をもたらす、この球体の名前は、「スペースコロニー」。
ぜひ、お見知りおきを。
リプランターのコンセプトは「自然の理(ことわり)を探求し、循環する生きた作品作り」です。
「スペースコロニー」シリーズは、まさしくその代表作。
自然光がない場所でもLED電球だけで生き、最低限の水やりと清掃を行えば、生命の循環まで目にすることができるのです。
球体には樹木の代わりに、多肉植物やサボテンが入ることもあります。
土をはじめ、化学的なものは一切使用していません。
写真中央に見えるひげのような白い部分は、木の根からさらに根が生えてきたところです。
大阪にて展覧会「Re:planter×安永正臣」を実施
目線の高さに大人も夢中になる夢がある

近寄って覗き込めば、クモが生きていたり、キノコが生えていたり、思いがけない光景に出会うこともあるはず。「この奥にいったい何があるのだろう」と、探究心の強い子どもによっては呆然と見入ってしまうこともあるのだそう。
「普段は足元にあるマクロの世界の観察も、目線の高さにあるとしやすいですよね」と村瀬さん。
スペースコロニーは村瀬さんの展覧会ほか、直接問い合わせるなどして購入することが可能に。
ハンギング用のコード、専用スタンド、手引き書、メンテナンスツールが付属します。
smh。R e : p l a n t e r 安永正臣


text & photo 月刊フローリスト 撮影/福家信哉教えてくれた人
村瀬貴昭
1980年、大阪府生まれ。植栽家。幼少期に祖父の盆栽、思春期にアクアテラリウム、青年期に稀少植物のコレクターを経て、2012年から植物を組み込んだ照明器具の制作をはじめる。パリや北京でインスタレーションを行うなど、海外でも活躍中。
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この記事のライター
植物生活編集部
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