Yu Yu 65ヶ月前

植物と暮らす おうち時間 第4回 セラピスト・ハーバリスト / Junichi Ogawaさん

「植物と暮らす おうち時間」

第4回はJunichi Ogawa さんにご登場いただきます。
Ogawaさんのご自宅は神奈川県の鎌倉、緑いっぱいの山の上にあります。
住まいとして、時にはセラピー、レッスン、アートにまつわる展示会を行うアトリエ  “scholē(スコレー)” として、様々な顔をもつこちらの場所での暮らしについてお話を伺いました。


 

植物は生きている。暮らしを支えてくれるハーブ達との毎日


まずはじめに、Ogawaさんの活動について教えてください。

「セラピスト・ハーバリストとして活動をしています。
アトリエ “scholē(スコレー)” を鎌倉の山の上に構え、ハーブや瞑想、スピリチュアリズムや自然療法などを中心としたホリスティックな観点から、レッスンや講座をひらいたり、アート表現をしたりしています。

ここ最近は年に1,2度サンフランシスコへ渡り、クリスタルヒーリングや講座をひらくようにもなりました。サンフランシスコで暮らすように過ごしながら、ハーブやクリスタルを買い付けてくるのも楽しみな活動のひとつです。

ハーブに関心がある方はだんだんと増えてきているように感じますね。2017年から始めた〈ハーブのレクチュール〉というハーブにまつわるレッスンには全国から生徒さんが通ってきて下さるほどです」



植物に囲まれたお宅を見渡しても、ハーブを扱う活動の面から見ても、Ogawaさんは植物と共にいつもいらっしゃる印象です。改めて、Ogawaさんにとって “植物” とはどのような存在ですか。

「原っぱのように広い我が家の庭では、季節毎に様々なハーブや野草が育ち、花を咲かせ、果実を実らせます。植物達を見ていると、彼らも僕たちと同じように季節を過ごし、眠り、そして時に喜んだり、気持ち良さそうにしたり、寂しがったりもしていて。 
自然の側に暮らしていると、植物も僕たちと同じ生命体であり、人間も自然の一部なんだという事を思い出しますね。



そもそも植物に興味を持ったきっかけは、20代の頃に不摂生が祟って大きく心身のバランスを崩したときにハーブが助けてくれたことでした。
ハーブや野草を1から学び、生活に取り入れだしたのが今から8年前の2010年のこと。

その後、自然の中で暮らし始めてから心身の状態が良くなった気がします。植物達のそばにいることで、自分の中に本来備わっていた自然のリズムを取り戻したからだろうなと感じていますね。ハーブで日々心と体を整え、四季折々の恵みを庭から頂く僕にとって、今や彼らとの生活は無くてはならないものになっています。

これからは日本でハーブの存在がさらに広まって行くといいなと思っているんです。数年前から毎年訪れているサンフランシスコでは、人々の生活にハーブが根付いていることを毎回実感していて。

町のスーパーでは当たり前のように何十種類ものティンクチャー(ハーブの有効成分を抽出したもの)が選べ、ハーブ薬局もたくさんあり、ファーマーズマーケットでは野菜と一緒に様々なハーブが並んでいるんです。日本でもこんな風景が見られる日が近いといいですね」



たくさんの植物の中で特にお気に入りはありますか。

「昔からハーブが好きです。香りや繊細な見た目はもちろん、心と体をサポートしてくれる頼もしい存在でもあります。
葉っぱも花も、お茶に料理にと大活躍なのも好きな理由で、中でもラベンダーとミントがお気に入り。毎朝食べるグラノラに、この日はお庭のラベンダーの花を散らしてみたらとても美味しかったですよ。

ハーブは “飾る” というよりは “暮らしを支えてくれる” 植物だと思っていて、そんなところが素敵だなと感じていますね」



Ogawaさんの周りにある植物は、ふわりと優しげに佇んでいる印象があります。どのように植物と接していますか。

「植物を “生命(いのち)” として扱うことを意識しています。観葉植物や切り花も “インテリア、もの” として扱わないように気をつけて、水をあげるときや摘む時にも声をかけてあげますね。

そうやって一緒に暮らす “同居人” や “仲間” として接していると、自然と植物にとって良い環境を作ってあげられるようになるんです。
この子はどうしてあげたら気持ちいいかな、どこに置いてあげたら居心地がいいかな。そんな風に、こちら側の都合ばかりだけではなく、植物の心地よさも考えてあげることを大切にしています。

だからなのか、我が家にお花を飾ると、友人のフローリストもびっくりするくらい長持ちします。とても生き生きと嬉しそうにしている我が家のお花や植物を見て、僕も嬉しくなるんですよ。

昨年から庭の一角に念願のハーブ園を作ってコツコツ広げています。毎朝庭に出て、蒔いた種の芽が出ているか、どれくらい成長したかをチェックするのが楽しみです。これからも植物達の声を聞きながら育てることを心がけたいと思っています」



お部屋に植物を取り入れる際に気をつけていることはありますか。

「庭の植物を剪定したり、ハーブをたくさん摘んだり、庭できれいな花が咲いたりした時に、室内に生けて楽しんでいます。
その時はなるべく野に生えているようさりげなく飾るように心がけていますね。花器も特別なものは使わず、自然な雰囲気になるように古いガラス瓶やコップやジャム瓶にラフに生けます。




こちらは先日、収穫した庭のラベンダーをお茶にするためリビングに吊るして乾燥させているところです。飾っているわけではないのですが、その様子がかわいくて。自然が近い暮らしの中ではこれくらいのさりげなさが似合いますね。」

だからたくさんの植物に囲まれていても不思議と騒がしさはなく、お花がそっと馴染んでいる印象になるんですね。
緑いっぱいのご自宅では、どのように過ごすのが楽しみですか。




「昨年から月一回習っているギターを、庭で植物に囲まれながら弾くのが最近の楽しみです。腕前はまだまだですが、自然の中で音を出していると気持ちがいいですよ。」




「また、週に3日ほどこちらの家で過ごす料理家のパートナーも僕も料理をするのが大好きで、休みの日はたくさん料理をして過ごします。ハーブが元気な季節になると、庭で育つハーブや友人のハーバリストから届くハーブをいっぱい使って、料理を楽しみます。
やはりどんな時も植物はいつも側にある存在ですね」



Ogawaさんの周りにある植物たちが優しく嬉しそうに見える理由がわかった気がしました。きっと、彼らはまっすぐな愛をしっかりと受け止めてくれる心のある存在なのです。

次回の更新もどうぞお楽しみに。


うかがった人


Junichi Ogawa / セラピスト・ハーバリスト
アトリエ「scholē(スコレー)」を鎌倉山に構え、ハーブや瞑想、スピリチュアリズムや自然療法などのホリスティックな観点から活動する。自身が主宰する講座「ハーブのレクチュール」は全国から生徒が訪れている。

http://junichiogawa.com

photo by Junichi Ogawa /
profile photo by Suguru Ariga








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この記事のライター

Yu
Yu

趣味は見ることと食べること。 アート/民藝/工芸/古いもの、食、ナチュラルケアやセラピーに興味があります。 美術大学卒業後、プロダクトの企画や暮らし周りの編集に携わってきました。

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