植物生活編集部 植物生活編集部 16ヶ月前

"日用品と植物のこと" アワー・ボタニカル・トークvol.2

「植物生活」のデザイナーでもあるフクナガコウジさんが親交のあるクリエイターと、「植物」をテーマに対談する連載「アワー・ボタニカル・トーク」

第2回目は、神奈川県横浜市にある元日用品市場「八反橋フードセンター」の一角に生まれた日用品店『DAILY SUPPLY SSS(デイリーサプライ・エスエスエス)』からお送りします。

こちらは2017年4月、シキナミカズヤ建築研究所の敷浪一哉さんとアーティストユニットLPACK.(エルパック)の小田桐奨さん、中嶋哲矢さんの共同アトリエとしてスタートしましたが、「量り売り」「試して買える」スタイルで「日常の風景に栄養を与える新しい空間となりました。







一歩店に入ると、コーヒーのいい香り!



明るく落ち着く空間にて、自然と会話がはじまります。中嶋さんは接客にお忙しかったので、おもに敷浪さん、小田桐さんとフクナガさんのトークとなりました。

暮らしに溶け込んでいる植物たち


フクナガコウジさん(以下、フクナガ):今朝はモーニングのイベントをしてたんだ?

敷浪一哉さん(以下、敷浪):僕ら三人とも子どもがいるので、夜に仕事を引きずらない代わりに朝だったらできるなって。

小田桐奨さん(以下、小田桐):朝早く起きてモーニング食べに行くと、違う景色が見えるんじゃないかって。もう30回くらいしてるよね。

敷浪:彼らもともと大学の卒業制作がそうで。大学のキャンパスの一角に急にカフェを作って。コーヒーが一杯あれば空間が生まれるって考え方。

フクナガ:ここいろいろあって、何屋さんなのかって思う。でもそういうのって面白い。

小田桐:一見使いにくそうなものとかあったりしてね。あのすりこぎとか。

フクナガ:あれすごいね(笑)。

小田桐:使えると思うけど、なにに使えるかわかんない(笑)。

中嶋哲矢さん(以下、中嶋):この前味噌作る人に貸し出したよ。

敷浪:ただ壁に掛けておくだけも美しいよね。

フクナガ:アート作品もいろいろあるね。

小田桐:アートをより日常に近づけたくて。逆に日常品をアートとして捉えるとか、置いてあるものの境目をなくしたいって思ってる。





アーティストがセレクトした各国の雑貨も魅力的!

フクナガ:そういえばコーヒーもさ、いわば植物じゃない。豆で。飲むのもあるし香りもあるし。香りとか、そういうのもSSS的にあれば面白いなって思う。

小田桐:それね、もうやってるんですよ(笑)。コーヒーの匂いを吸うっていう性質を逆手に取って、ウイスキーと合わせる。普通コーヒーって焼いた後時間が経つと駄目になるっていわれているじゃないですか。でもウイスキーって何十年ものとかあって、お互い香りを出して吸い合うから。ゆくゆくはウイスキー樽に焼いたコーヒー豆を詰めて、何十年か置いていて……みたいなのを考えてて。取りあえずいま瓶からはじめてるんだけど。

フクナガ:それ面白いね!

敷浪:うちではコーヒーも米も量り売りしているんだけど、それだけじゃなくて消臭剤もそうしたいなと思ってる。木村石鹸の2つの液を混ぜてオリジナル配合の消臭剤を作るとか。これも植物由来だね。

フクナガ:消臭剤の量り売りってすごい(笑)。そういうのいい! あとは植物の栄養剤なんかの量り売りもいいよね。

小田桐:ありかも。

フクナガ:気にしてみると植物って暮らしのなかに溶け込んでるもんだね。
 

花、生けたくならない?


フクナガ:LPACK.って花瓶とかカップとかいっぱいもってるじゃない。それで植物生けたいムラムラとかないのかなってのが気になる(笑)。

敷浪:このへんに生えてる植物を持ってきて生けてるのは、わりと小田桐くんだよね。


 

フクナガ:そうそう、そういうのやってるイメージだから。

敷浪:あるとき急にリンゴジュースの瓶にお花、いっぱい生けてたよね。外の葉っぱとかも。

フクナガ:いいね~! 植物自体がお祝いごととか特別なものというだけじゃなくって、飲んだ帰りとかに駅前で1本だけ自分に買う、みたいな日用品的に使うみたいなものであってもいいんじゃないって思うんだよね。

敷浪:そういう意味じゃ、この小さい花器とかそうかも。道ばたで小さい花とか拾って生けるみたいなイメージ。ときどきこのへんで摘んだ花を生けてるけど。

こちらは小田桐さんが、店の裏手の草むらで折れていたスイセンを見つけて生けたもの。ちなみに花器は岩野彩さん作。漆仕上げ。SSSで販売中。

フクナガ:よく行く立ち飲み屋がたとえばナノハナを出したとき、花が咲いちゃったやつを柚胡椒の瓶とかに挿したりしてて。そういうのってすごい日常的な感じで。もっとそういうのやってったらおもしろいよね。ここにある古い瓶やカップなんかも使えるっていうか。あのキャベツも面白い。

 

中嶋:このへんは横浜野菜、キャベツとかが有名だから。近所の直売所の人と協力してもいいなぁって。

フクナガ:人のつながりでってのもいいよね。家とかでも花を生けたりする?


小田桐:うちはちっちゃい庭があって。室内よりは庭で、子どもといっしょに収穫できるものを作る感じ。

敷浪:敷浪家は、実は家にあった植物をのきなみここに持って来てるんです(笑)。買ってから2年くらい経ってるんですけど、すごく日が当たるところに置いてあったのでスクスクと育った。これは全部LUFF(ラフ)[※編集部注:清澄白川にある「LUFF Flower & Plants WORKS」のこと。]のやつ。

小田桐:植物関係はLUFFにお願いしています。LUFFのハーバリウムもあるよ。

フクナガ:シンプルでかっこいいね。

 

季節を感じられるもの


フクナガ:あとさ、外のリンゴの枝はどういうもの?
取材当日、店の入口にあったリンゴとリンゴの枝(!)。

小田桐:あれは青森仕入れです。

フクナガ:あれは昔から知ってたの?

小田桐:いや、いま実は青森をわりと背負っている。勝手に(笑)。リンゴジュースとかを扱っているところが青森県内でいろいろ押し出して行こうとしたらしいけど、いまいち面白くならなかったらしくて。そこで偶然僕らがいて、可能性を感じてくださったみたい。
リンゴって青森だとどうしても“普通にあるもの”だから、青森の人たちってあんまり興味ないみたいなんですよね。でも絶対場所変えれば興味ある人いると思うんです。リンゴの枝から花が咲くとか。

フクナガ:リンゴの花が咲くってすごいよね。水に挿しとくだけ?

小田桐:そう。しかも咲くの、これから1ヵ月後くらい。

フクナガ:1ヵ月後!? そういうことってリンゴ農園の人しか知らないことなのかな。

小田桐:そうかもですね。サクラを楽しむみたいにリンゴの花を楽しむ、みたいな。青森の方々が情報をすごくくれるんですよ。枝がありますよ、とか。

フクナガ:愛されてるね(笑)。リンゴの枝って花屋さんとかにはないけれど、日本のものだし暮らしのものだし、風情がある。

小田桐:リンゴをいまでは自分のなかでどうしようかっていうテーマがあって。

敷浪:リンゴ、いいんでしょ? 毎朝食べると医者いらずって。

フクナガ:リンゴの定期便始めたらいいじゃん。いまやってるコーヒーの定期便みたいな。

小田桐:食べるのはちょっとハードル高いかもしれないけれど、絵画のモチーフとか、重力を発見したのもリンゴだし、実は意外にいい果物。存在として美しさってモノが際立っている。

フクナガ:アダムとイブもリンゴだしね。東京だとサクラの枝とか売ってるじゃない。そういうのだけじゃない、ほかにも季節を感じられるものがいっぱいあるんだなぁって意識させてくれた気がする。こういうの、いいよね。

左から小田桐さん、敷浪さん、中嶋さん、フクナガさん。さわやか男子4名のすてきな笑顔、ありがとうございました!


取材・文/植物生活編集部 撮影/佐々木智幸


うかがった店
「DAILY SUPPLY SSS(デイリーサプライ・エスエスエス)」

京急「黄金町」の高架下から始まり、リノベーション旅館を経て2017年、ここ八反橋フードセンターで新たにスタートを切ったLPACK.とシキナミカズヤ建築研究所。「美しくて芯のある日用品」を基準に、考え、探し、試し、ない場合はつくり、販売する。コーヒーや米などの量り売り、アート作品、アーティストセレクトの海外雑貨などを扱う、ゆっくりといいものに出会える空間。

住所 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1802-1
営業時間 12:00~17:00(木・金・土のみの営業)
電話番号 045-516-4829
https://www.sssuburb.com/sss


フクナガコウジ Kohji Fukunaga
日本のアートディレクター、デザイナー。1985年神奈川県藤沢市出身。2010年武蔵野美術大学卒業後、広告制作や個人事務所勤務を経てフリーランス。現在は宣伝美術をはじめとするデザイン・企画に従事する他、“LOVE ME AND MISO SOUP.”でミソを軸に日本の文化を広める活動を行い、“SOBA”や“PARA BOOK PRESS”においてリトルプレスのプロジェクトを主宰するなど、分野を問わず作品制作を行う。花束は一種類の花だけで良い。近年はフレンチゴムを育てている。左利き。

 

  • すてき 0
  • クリップ
  • 埋め込み

この記事をシェアするには埋め込みコードをコピーしてSNSやブログに貼り付けてください。

この記事のライター

植物生活編集部
植物生活編集部

「植物生活」とは花や植物を中心とした情報をお届けするメディアです。 「NOTHING BUT FLOWERS」をコンセプトに専門的な花や植物の育てかた、飾り方、フラワーアート情報、園芸情報、アレンジメント、おすすめ花屋さん情報などを発信します。

直近の記事

関連記事