植物生活編集部 植物生活編集部 3週間前

【アートメモランダム】 ミテクレマチス/須田悦弘 ヴァンジ彫刻庭園美術館[静岡]

植物生活編集部です。 今月から毎週一回、アートに関する連載「アートメモランダム」が始まります。

植物や花に関するアートはもちろん、植物生活編集部がおすすめする作品や作家を紹介するアート情報です。


皆さんはアートは好きですか?

植物生活をご覧の方はまちがいなく「美しいもの」「心地のよいもの」が好きかと思います。
私はいままでなにげなく美術とかかわってきましたが、常に寄り添ってくれ、まさに皆さんでいうところの「植物」のような存在でした。

植物生活で植物と関わっていくうちに、アートと植物の親和性にも気がついたり。

 

「本物と偽物」あらがう事の出来ないクレマチスの魅力

ミテクレマチス 須田悦弘/ヴァンジ彫刻庭園美術館[静岡]


アートメモランダム、第一回目は国内だけでなく、海外でも高い評価を受けている美術作家の須田悦弘さんの展覧会です。
これからご紹介する展覧会の作品、「本物」の花に見えますが、朴の木(ホオノキ)という木に日本画の絵の具で彩色しています。



《モンタナ》 2018 木に彩色 © Suda Yoshihiro /Courtesy of Gallery Koyanagi



《ミケリテ》 2018 木に彩色 © Suda Yoshihiro /Courtesy of Gallery Koyanagi


須田悦弘(すだ・よしひろ)さんは1969年山梨県生まれで、多摩美術大学グラフィックデザイン科を卒業後、独学で彫刻を学び、精巧な彫刻を使ったインスタレーション作品を発表してきました。

今回紹介する「ミテクレマチス」展の主役はタイトルでもわかるように「クレマチス」の花。

展示会場でもあるヴァンジ彫刻庭園美術館に併設されたクレマチスガーデンにもクレマチスの花が所狭しと植えられています。
美術館の空間と結びついた、ここでしか体験できない展示を見ることができます。
是非、実際に美術館と庭園、フェイクとリアルのクレマチスの競演を楽しんでください。


《モンタナ》 2018 木に彩色 © Suda Yoshihiro /Courtesy of Gallery Koyanagi
 


「本物」と「偽物」

クレマチスといってもいろいろな種類と色、形があり、同じ花かな?と思ったりしますが、クレマチスとはキンポウゲ科クレマチス属の総称で、こちらのクレマチスガーデンには250品種以上のクレマチスが植栽されています。(参考:クレマチスの丘クレマチスガーデンガイドより)
展示会場まで広い庭園を「本物の」クレマチスを眺めながら進み、美術館に足を踏み入れると、初めての方はずんずんと進んでしまい、おそらく、作品を見逃すのではないでしょうか。


繊細で本物と見まごうようなクレマチスがまさかのコンクリートの壁に、それも絶壁(!?)に展示されています。
庭園に優雅に咲いているクレマチスとは対象的な……。



須田さんの作品は 

「本物そっくり」で「探す楽しみがあって」「それだけじゃない」

アートを体験する機会のない初心者でも十分楽しめ、一度見た人は見れば見るほど、全作品網羅したくなるじわじわくる感じがあります。シンプルなストーリーの中に伏線がいろいろ張り巡らされている物語のようです。

 

「ミテクレマチス」展覧会のポイント

1. 新作たくさん!

過去作品でも、一つでも多く見たくなるのが須田さんの作品。
今回の展示は一点を除き、あとは全部新作です。
今までもクレマチスの作品はありましたが、今回はたくさんのクレマチス作品がみることができます。
会期中、数回公開制作もしており、その作品も展示してあります。


《ソフィー》2018年、木に彩色 © Suda Yoshihiro/ Courtesy of Gallery Koyanagi  

 

2.展示方法のおもしろさ

展示スペースはとても広く、コンクリートできています。
細かいひびからにゅっと育ってしまったかのようなクレマチス。
美術品がこんなところにあっていいのだろうか、という不安と、元来の「植物」の生命力を同時に感じる不思議な感覚に陥ります。



館内の様子

あんな所に作品が!
 

3.アートがわからなくても大丈夫

難しく解釈することもできますし、「おしゃれ!」の一言で終わっても。(いいかな?)
実際、「おしゃれ!」「かわいい!」のような感想も多々聞かれました。
もっと深く知りたくなったら、ギャラリートークなどに参加してみてみてはいかがでしょうか。


ディープなファンから、「ちょっときました!」な人まで。
皆さん、様子をみていると、壁にみつけたクレマチスを見上げて「ほーっと」声をだしてから、ニヤッと。
きっとあなたもびっくりしてから、「ふふっ」っと笑ってしまうはずです。
 

見つけた時の喜びといったら!

次から皆さんも須田さんの作品をみる時は、展示空間に足を踏み入れて、そっと周りを見回すところから始めると思います。
「ミテクレマチス」という展覧会のタイトルからしてユーモアのあり、見ている人を巻き込んだ展覧会であることは容易に想像できますが、見ている人を驚かすという意味では、今回の展覧会は実は、作品が少しずつ増えている……のです。
春頃行った人はもう一度行ってみると新しい作品があるかもしれませんし、また、秋に向けてまた増えるかも、しれませんよ。



《テッセン》2012年、木に彩色 © Suda Yoshihiro /Courtesy of Gallery Koyanagi

庭園を望みながらの展示。


《雑草》2018年、木に彩色 © Suda Yoshihiro/Courtesy of Gallery Koyanagi

探しても探しても見つけられなかった作品も!(教えてもらいました)
見つけたときの喜びを感じてください!


 

あわせて見たい!イベント

今回は、ミテクレマチス展内で行われているイベントをご紹介します。
 

作家による公開制作

美術館での展示と合わせて、作品の制作風景を特別に見ることができます。
日時:2018 年10 月 6 日(土) 10:00〜16:00
料金:当日の入館料のみ
 

学芸員によるギャラリートーク

淀みないトークに癒されるギャラリートークは必聴
担当の学芸員さんが作品を説明してくれます。30分くらいの時間ですが、5分くらいに感じるくらいおすすめです。
作品のこと、作家のこといろいろ教えてくれますよ。

日時:会期中の毎月第 2・4 土曜日 15:15〜(約 30 分)
料 金:当日の入館料のみ
予約方法:申込不要

なんと!10月28日(日)須田悦弘さんと、彫刻家・舟越桂さんのクロージングトークが!!!

https://www.clematis-no-oka.co.jp/vangi-museum/news/1098/

 
植物生活のコラム二スト、しろくま生花店の細根さんがのこちらの展覧会を開催している「ヴァンジ彫刻庭園美術館」をコラムで紹介してくれておりますのでどんなところか気になる方はチェック!  https://shokubutsuseikatsu.jp/article/column/p/3313/


今回クレマチスを沢山見ることができたので、クレマチスについて深堀してみたくなりました。
ではまた日曜日お会いしましょう!


 

Information

須田悦弘「ミテクレマチス」

 
会期 2018(平成 30 年)年4月 22 日(日)~10 月 30 日(火)
会場 ヴァンジ彫刻庭園美術館
住所 〒411-0931 静岡県長泉町東野クレマチスの丘
開館時間 9-10月10:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日 水曜日
入館料 大人1,200円 大学・高校生800円、中学以下は無料
URL https://www.clematis-no-oka.co.jp/vangi-museum/exhibitions/1003/



 

<作家プロフィール>

須田悦弘(すだ・よしひろ)
1969年山梨県生まれ。1992年多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。
多摩美術大学彫刻学科客員教授。現在、東京在住。
近年の主な個展に毓繡美術館(南投、台湾、2017年)、千葉市美術館(2012年)、クラクフ日本美術技術センター(ポーランド、2011年)、ギャラリー小柳(東京、2010年、'07年、'99年、'97年)、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川、2006年)、国立国際美術館での「三つの個展」(大阪、2006年)など。
近年の主なグループ展に「Jardins」(グラン・パレ、パリ、フランス、2017年)、「開館90周年記念展 木々との対話─再生をめぐる5つの風景」(東京都美術館、2016年)、カルタヘナ・ビエンナーレ(コロンビア、2014年)、「Mono No Aware, Beautyof Things: Japanese Contemporary Art」(エルミタージュ美術館、サンクトペテルブルク、ロシア、2013年)、シドニー・ビエンナーレ(オーストラリア、2012年)、「開館10周年記念展『庭をめぐれば』」(ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡、2012年)
など多数参加。

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