植物生活編集部 植物生活編集部 67ヶ月前

【アートメモランダム】αMプロジェクト2018 「絵と、 vo.3 村瀬恭子」/ギャラリー αM[東京]


村瀬恭子「アザミ」2016年、紙に顔料、色鉛筆、48x36cm  
 

αMプロジェクト2018「絵と、 vo.3 村瀬恭子」

「アートメモランダム」は植物生活編集部・アート担当編集者が好きな展覧会を選んで紹介しています。
今回は東京・馬喰町のギャラリーαM(アルファ・エム)にて開催の村瀬恭子展です。



壁に貼られた展覧会のチラシに妙にワクワクします。
 


今回はギャラリーです!


美術館に行ったことはあるけど、ギャラリーには行ったことがない。
「ギャラリーって、絵を買うところでしょ?」
など、ちょっと入りずらいイメージがあると思います。


さて、ハッキリ言って、ギャラリーは入りにくいです。
私も実際、入口まで来たにも関わらずUターンする場合もあります。
それだけ個々のギャラリーの個性が出ていて、「理解できる人が来い!」といった雰囲気があることが多いのですが、実は、ギャラリーごとにスペースが面白くこだわりがあって、出展作家が変わるたびにワクワクするので、行かないのはもったいないのです。


ギャラリーαMは空間は真っ白で広く、美術館のような感じの空間で、入りやすく、居心地のいい空間が広がっています。

地下にあるので、階段で地下に降ります!

オシャレなロゴ

ガラス製の入口がとても広くて
中に作品が見えます。
これだけでもため息が出るくらい良い!
もったいなくて、入りたくないくらい……。



真っ白な空間に大きな作品がどんと視界に飛び込んできます。
太く、白い柱がちょうど他の作品に重なっていて見えず、来場者をじらしているようです。

全部掲載したいのですが、ぜひ、ご自身の目で鑑賞してみてください!




ギャラリー受付の人に「奥にもありますよ」と声をかけられて、奥の小部屋へ。
メインビジュアルとなっている作品も、もちろんありました。
 

早々に視覚を放棄する


村瀬恭子さんの作品は平面作品ですが、「油絵」「日本画」などのジャンルにはあてはまりません。
使われている画材もさまざま。

女の子や植物などを描いていますが、不思議とモチーフ自体に執着を感じません。
それがなにであるかは問題ではなく、描いているうちに花になったり、水となったりしたのではないか、といった風情。
作品について論理的に構図や色づかいなど、説明はできるのですが、ここでは真っ白なギャラリー空間同様、先入観なく見てほしい、そんな作品です。

▶︎事前に深く知りたい人は、今回のキュレーター、蔵屋美香さんのテキストが公開されておりますので、ご覧ください。
http://gallery-alpham.com/exhibition/2018_3/



村瀬恭子さんの作品は現代アート特有の難しさを持ち合わせているので、初めて見る人はどのようにみたらいいか戸惑うかもしれません。作家のステートメントは、

「目に見えるイメージを信じてる。ホントのところ見えていない。そもそも見ていない。」


という詩的な表現ではじまります。

平面作品という「視覚」に頼る表現方法にもかかわらず、見ているとか、見えているとかを早々に放棄する、させる。

ううむ。
作家の意図を鑑賞者がすぐに理解できたら……。なんて思ったりしますが、そこをジワジワ楽しむのも現代美術の醍醐味であります。

どうしたら、これらの作品をより味わえるのか。方法を私なりに考えました。
まず、全体を視界のなかにすべて収めたあと、細部に視点を移動させて見る。
できるだけ「見る」というより、より感覚的に。
それを繰り返すことでよりいっそう理解し、楽しめるのではないかと思います。
 

編集部の「これだけは見て!」

今回は花をタイトルにした作品もあり(アザミなど)、植物生活としてはそれをぜひ「推したい」ところなのですが、
私のイチオシは2016年制作の「Swimmer」という作品。

私の滞在時間の80%はこの絵の前にいたと思います。ほしい!
これは直接行ってみてください!少しだけチラ見せ(写真右側)。



 

information

αMプロジェクト2018 「絵と、 vo.3 村瀬恭子」
会期 2018年9月1日(土)~10月27日(土)
会場 ギャラリーαM
住所 〒101-0031東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F
開廊日 火-土 11:00-19:00 日月祝休
入館料 入場無料
URL: http://gallery-alpham.com/exhibition/2018_3/
キュレーター:蔵屋美香(東京国立近代美術館 企画課長)



<作家プロフィール>
村瀬恭子 (むらせ・きょうこ)
1963年、岐阜県岐阜市に生まれる。86年、愛知県立芸術大学卒業、89年、同大大学院修了。 90年から96年まで、国立デュッセルドルフ芸術アカデミー(ドイツ)に在籍。93年には、コンラッド・クラペックよりマイスター・シューラー取得。主な個展に、「海の土の雲のかたち」(2013/タカ・イシイギャラリー)、「Fluttering far away」(2010/豊田市美術館)、「セミとミミズク」(2007/ヴァンジ彫刻庭園美術館)など。また、1996年以降、国内外の美術館にて開催されたグループ展にも多数参加してきた。(ギャラリーαM HPより)








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