【アートメモランダム】αMプロジェクト2018 「絵と、 vo.3 村瀬恭子」/ギャラリー αM[東京]
村瀬恭子「アザミ」2016年、紙に顔料、色鉛筆、48x36cm
αMプロジェクト2018「絵と、 vo.3 村瀬恭子」
「アートメモランダム」は植物生活編集部・アート担当編集者が好きな展覧会を選んで紹介しています。今回は東京・馬喰町のギャラリーαM(アルファ・エム)にて開催の村瀬恭子展です。
壁に貼られた展覧会のチラシに妙にワクワクします。
今回はギャラリーです!
美術館に行ったことはあるけど、ギャラリーには行ったことがない。
「ギャラリーって、絵を買うところでしょ?」
など、ちょっと入りずらいイメージがあると思います。
さて、ハッキリ言って、ギャラリーは入りにくいです。
私も実際、入口まで来たにも関わらずUターンする場合もあります。
それだけ個々のギャラリーの個性が出ていて、「理解できる人が来い!」といった雰囲気があることが多いのですが、実は、ギャラリーごとにスペースが面白くこだわりがあって、出展作家が変わるたびにワクワクするので、行かないのはもったいないのです。
ギャラリーαMは空間は真っ白で広く、美術館のような感じの空間で、入りやすく、居心地のいい空間が広がっています。
地下にあるので、階段で地下に降ります!
オシャレなロゴ
ガラス製の入口がとても広くて
中に作品が見えます。
これだけでもため息が出るくらい良い!
もったいなくて、入りたくないくらい……。
真っ白な空間に大きな作品がどんと視界に飛び込んできます。
太く、白い柱がちょうど他の作品に重なっていて見えず、来場者をじらしているようです。
全部掲載したいのですが、ぜひ、ご自身の目で鑑賞してみてください!
ギャラリー受付の人に「奥にもありますよ」と声をかけられて、奥の小部屋へ。
メインビジュアルとなっている作品も、もちろんありました。
早々に視覚を放棄する
村瀬恭子さんの作品は平面作品ですが、「油絵」「日本画」などのジャンルにはあてはまりません。
使われている画材もさまざま。
女の子や植物などを描いていますが、不思議とモチーフ自体に執着を感じません。
それがなにであるかは問題ではなく、描いているうちに花になったり、水となったりしたのではないか、といった風情。
作品について論理的に構図や色づかいなど、説明はできるのですが、ここでは真っ白なギャラリー空間同様、先入観なく見てほしい、そんな作品です。
▶︎事前に深く知りたい人は、今回のキュレーター、蔵屋美香さんのテキストが公開されておりますので、ご覧ください。
http://gallery-alpham.com/exhibition/2018_3/
村瀬恭子さんの作品は現代アート特有の難しさを持ち合わせているので、初めて見る人はどのようにみたらいいか戸惑うかもしれません。作家のステートメントは、
「目に見えるイメージを信じてる。ホントのところ見えていない。そもそも見ていない。」
という詩的な表現ではじまります。
平面作品という「視覚」に頼る表現方法にもかかわらず、見ているとか、見えているとかを早々に放棄する、させる。
ううむ。
作家の意図を鑑賞者がすぐに理解できたら……。なんて思ったりしますが、そこをジワジワ楽しむのも現代美術の醍醐味であります。
どうしたら、これらの作品をより味わえるのか。方法を私なりに考えました。
まず、全体を視界のなかにすべて収めたあと、細部に視点を移動させて見る。
できるだけ「見る」というより、より感覚的に。
それを繰り返すことでよりいっそう理解し、楽しめるのではないかと思います。
編集部の「これだけは見て!」
今回は花をタイトルにした作品もあり(アザミなど)、植物生活としてはそれをぜひ「推したい」ところなのですが、私のイチオシは2016年制作の「Swimmer」という作品。
私の滞在時間の80%はこの絵の前にいたと思います。ほしい!
これは直接行ってみてください!少しだけチラ見せ(写真右側)。
information
αMプロジェクト2018 「絵と、 vo.3 村瀬恭子」会期 | 2018年9月1日(土)~10月27日(土) |
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会場 | ギャラリーαM |
住所 | 〒101-0031東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F |
開廊日 | 火-土 11:00-19:00 日月祝休 |
入館料 | 入場無料 |
URL: | http://gallery-alpham.com/exhibition/2018_3/ |
<作家プロフィール>
村瀬恭子 (むらせ・きょうこ)
1963年、岐阜県岐阜市に生まれる。86年、愛知県立芸術大学卒業、89年、同大大学院修了。 90年から96年まで、国立デュッセルドルフ芸術アカデミー(ドイツ)に在籍。93年には、コンラッド・クラペックよりマイスター・シューラー取得。主な個展に、「海の土の雲のかたち」(2013/タカ・イシイギャラリー)、「Fluttering far away」(2010/豊田市美術館)、「セミとミミズク」(2007/ヴァンジ彫刻庭園美術館)など。また、1996年以降、国内外の美術館にて開催されたグループ展にも多数参加してきた。(ギャラリーαM HPより)
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この記事のライター
植物生活編集部
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