植物生活編集部 植物生活編集部 2週間前

漢方ってどうやって取り入れたらいいの? 台所漢方 <前編>

からだの内側からアンチエイジング
初めての漢方 <前編>


「漢方」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?
風邪のときに飲む葛根湯、植物から作られた薬、からだにはよさそうだけど、飲みにくそう、日常生活で取り入れるのは難しそう……など、ちょっと敷居が高いイメージがありますよね。
実は、仕事やプライベートで毎日忙しく過ごし、さまざまなストレスにさらされている女性にとって、漢方は心強い味方なのです。

今回は、東京・中目黒の漢方専門店「台所漢方」の漢方栄養士、古尾谷奈美さんに、漢方のイロハから、その効用や気軽な取り入れ方について、前編、後編に分けてうかがいます。
 

からだに優しく安全な天然由来成分で、
美と健康をサポート


東京メトロ日比谷線中目黒駅から徒歩約5分、山手通り沿いのビルの2階にある「台所漢方」。
自然光がたっぷり差し込む明るい店内には、カラフルで洗練されたパッケージの漢方ブレンド茶や、さまざまな薬草を入れた瓶が並びます。

インテリアグリーンが目にやさしく、
しゃれたカフェを思わせるような、漢方初心者にも入りやすいお店です。



台所漢方は、1976年、古尾谷奈美さんのお母様で薬剤師である古尾谷不二さんが、薬草やハーブ、漢方薬の専門薬局を創業したことに端を発します。

高品質な薬草茶や漢方薬、安全な自然食品、泥つき無農薬野菜などを取り扱い、当時としては珍しい店舗でした。
現在は、東洋医学の原点である「食」の大切さを軸に、日常的に漢方を取り入れて、かだらの内側から健康になるための「漢方ライフ」を提案。

カウンセリングによる漢方薬の処方のほか、オリジナル調合による漢方ブレンド茶の販売なども行っています。



──言葉は知っていても「漢方ってなに?」と聞かれると、答えられなかったりします。漢方とはなんでしょう?

古尾谷奈美(以下古尾谷) 漢方とは、5~6世紀以降に伝わった中国の医学をもとに、日本で独自に発展した伝統医学のことで、漢方医学とも呼びます。
その医学療法の一つに、漢方薬を使って病気や症状を改善する薬物療法があります。
鍼灸治療や気功、薬膳、整体鍼灸も漢方医学に含まれます。
現在では漢方というと、漢方薬そのものをさすことも多いですね。日本人の体質やライフスタイルに合った医学といえるかもしれません。

──漢方に使われる材料について教えて下さい。

古尾谷 漢方には、生薬を使用します。
これは、自然界に存在する産物の中で薬効を持つものを、干したり、加熱するなどした天然由来の材料。
加工をすることで効果が高まり、成分が分解されずに保存がきくようになります。
多くは植物ですが、菌類や鉱物、昆虫、動物の骨や角も生薬になります。植物の場合は、花や果実、種、根、茎、樹皮、葉など、植物によって用いる部分が異なります。
この生薬を調合したものが漢方薬です。
いくつもの生薬を、漢方医学の理論に基づいて組み合わせることで、調子が悪いところだけではなく、からだ全体に効能を発揮してバランスを整え、元気なからだを作りあげます。



──ハーブと漢方に使われる植物の違いはどこでしょうか?

古尾谷 ハーブは、薬用植物の中でも香りのよい葉や花、果実などの部分が使われることが多いですね。
一方、生薬はおもに植物の根や茎を利用します。
また生薬の中には医薬品として扱われるものもありますが、ハーブは日本では医薬品として認められていません。
漢方薬は医薬品なので、生薬の調合や処方は薬剤師が行います。



──それは知りませんでした。生薬の種類には、どんなものがありますか?

古尾谷 生薬には100種類以上があり、使われる頻度が高く、皆さんにもなじみのあるものは、カンゾウ、ショウガ、シャクヤク、ケイヒなどでしょうか。
中国の古い薬物の本では、1年の日数と同じ365種類の生薬を、薬効作用の強さによって上品(じょうぼん)、中品(ちゅうぼん)、下品(げぼん)の3ランクに分けて紹介しています。
上品は、作用が穏やかで、食物として食べられるもの。毎日摂取することで、体質改善や健康寿命をのばす効果があるものです。ナツメ、ハトムギ、ヤマノイモを干したサンヤクなどが代表的です。

中品は、上品より作用が強く、新陳代謝を活性化したり、病気の予防や治療に使われる生薬。
トウキ、ショウガ、アンズの種、シカの角などがこれにあたります。

下品は、作用が強く、毒性を持つもの。ブシと呼ばれるトリカブトの球根が代表的です。
毒を持つので長期服用はできません。治療薬として高い効果があります。
漢方では、この上品、中品、下品をベースにして、調合を行っています。



──漢方がからだによいのはなぜでしょうか?

古尾谷 漢方療法の特徴は、食事や生活習慣も含めて、日々の生活の中でからだ全体のバランスを整え、不調を改善する点です。
病気になる前の、ちょっとした不調をこれ以上進めない、という予防医学でもあるんですね。症状を改善するだけでなく、病気になった原因をその人の体質から考え、自然治癒力を高めることで、病気になりにくい健康なからだを作ります。

例えば、不妊治療で訪れる方の場合、漢方の理論に基づくと「お母さんが身ごもれるほど体力が備わっていないことが原因」と考える場合があります。
そこで、その方の体質や状態に合わせて漢方薬を処方し、お母さんを子供が産める元気なからだへと導いていくのです。

──体質や状態を診るための、漢方ならではの指標はあるのでしょうか?

古尾谷 漢方の世界では、「気・血・水」を人間の生命活動に必要な3要素と捉えています。
「気」は気力や元気などのエネルギー、「血」は血液、「水」は、血液以外の体液をさします。この3つの要素が体内をうまく巡ることで健康が維持され、不足したり、滞ったり、偏ったりしてバランスが崩れると、不調や病気、障害がおこるという考え方です。
この「気・血・水」の状態を、カウンセリングによって知り、どこに問題があるのかを探っていきながら、一人ひとりに合わせた処方を行います。
人間も自然の一部であるので、季節によって処方を変えたりもします。

また、体質や体力、抵抗力などの個人差をあらわす「証(しょう)」という“ものさし”もあります。
体力や抵抗力が充実している人は「実証(じっしょう)」、体力がなく疲れやすい人は「虚証(きょしょう)」となります。
同じ病気や症状の方でも、「実証」体質と「虚証」体質の方では、処方する漢方薬の内容が変わってきます。

後編では、台所漢方の取り組みや、手軽な漢方の取り入れ方や、漢方ブレンド茶の効用などについてうかがいます。


(後編に続く)

文・取材/植物生活編集部 撮影/岡本譲治




話をうかがった人
古尾谷奈美 Nami Furuoya

総合漢方研究会、漢方実践研究会にて漢方を、母の下にて食療、食養、薬草を学び、薬草植物のスキンケア調合デイレクション、薬草植物のブレンド処方、開発を行う。薬草植物学(本草学)を研究しながら、体にやさしく安全でナチュラルな成分で、からだを内側からきれいにする「漢方ライフ」を提案。漢方に特化した栄養士、漢方栄養士として、病気になりにくいからだ作りを重視した漢方カウンセリングを行っている。各種企業の講演活動、雑誌、メディア等にも出演。

台所漢方
住所:東京都目黒区東山1-3-3 アルス中目黒2F
http://daidokorokampo.com/


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