植物生活編集部 植物生活編集部 2018/11/11

【アートメモランダム】MOT サテライト 2018秋 うごきだす物語[清澄白河]

植物生活編集部のアート担当による、第4回目の連載「アートメモランダム」。
今回と次回、2回にわたって「MOT サテライト 2018秋 うごきだす物語」をご紹介します。

秋になり、気持ちのよい季節となりました。
街歩きにもピッタリな気候で、ふらふらと散歩をしていました。

そこへ

「休館中の東京都現代美術館がアーティストたちと清澄白河のまちにお邪魔します♪」
となんともかわいいコメントが書かれた看板が目に飛び込んできました。

街ぐるみのアートのお祭りは今はめずらしくなくなりましたが、美術館という場所から飛び出す!という感覚はとても珍しく、これは行かねば。
 

「まち=地域」の魅力を再発見する試み


現在、東京都現代美術館(The Museum of Contemporary Art Tokyo「MOT」)は現在2019年3月下旬のリニューアル・オープン準備のため、休館中です。

私自身、1995年の東京都現代美術館オープン時よりかなりの回数展覧会に足を運び、様々なアートを見させていただきました。
企画展はもちろん、調べ物に図書室へ行ったり、コレクション展を見たり。
どのように変わるのか、リニューアル・オープンが本当に楽しみです!

「MOT サテライト 2018秋 うごきだす物語」は、東京都現代美術館の活動を館外に拡張し、まちなかでアーティストの作品展示やプロジェクトを実施することで、「まち=地域」の魅力を再発見しようとする試みです。
なので、展示期間中は、まちのなかでアート作品をたくさん見られるのです。

会場となる清澄白河は、カフェやギャラリー、おしゃれなショップなどが増え注目のスポットですが、歴史のあるまちでもあります。(もちろん、東京都現代美術館もこのまちにあります)

展示会場の最寄り駅は東京メトロ半蔵門線か大江戸線の清澄白河駅ですが、東西線の木場駅から行くことも可能。
私は木場駅のほうが使えるので、この木場駅から歩きます。
少し歩きますが、ハーブが植えられていたり、公園があったり、秋のお散歩にはピッタリです!


会場はいくつかに分かれていて、地図を片手に見て作品の展示会場を巡ります。
その中で、宮永愛子さんと、鈴木のぞみさんの作品の会場をじっくりと見てきました。

美術館の人には、鈴木さんの作品は「暗い方がおすすめ」と伺ったので、夕方から巡ることに。
まずは、宮永愛子さんの作品へ。
 

宮永愛子「Strata(清澄白河)」



宮永愛子 「Strata(清澄白河)」2018ガラス、製本の道具、大潮日記 2009〜2018、ミクストメディア
作品部分展示風景 

かつて製本工場だった場所に、作品が展示されています。
かわりゆく時間。その記憶をとどめるかのように存在する建物です。

中に入ると、その経過した時間の残像を見ているかのような景色が広がります。

白く浮かび上がる「本」が美しく、そのものが発光しているかのようです。
実際は下にある台が立体作品を下から照らしてるのですが、とても幻想的なオーラを放っています。


宮永愛子 「Strata(清澄白河)」2018 ガラス、製本の道具、大潮日記 2009〜2018、ミクストメディア
作品部分 展示風景 




宮永愛子 「Strata(清澄白河)」2018  ナフタリン、ミクストメディア

古い格子状のドアの中には時計の形をした立体作品。
作品はナフタリンでできていて、常温で昇華し、(固体から気体、気体から固体へ直接なること。途中、液体にならない。)ガラスケースの中で再結晶するそうです。

繰り返す現象を微かに感じて、じっと作品を眺めていると、
当たり前のように繰り返されている時間が可視化されて、じわじわ迫ってくる感じ。


宮永愛子 展示会場入口

訪れた日は雨が降っていましたが、訪れる人は途切れませんでした。


宮永愛子「Strata そらみみみそら(清澄白河)」2018 陶、釉、小名木川の水、ミクストメディア、サウンドインスタレーション

天井近くに展示してある「Strata そらみみみそら(清澄白河)」は小名木川の水を作品に使用しています。
小名木川は清澄白河の北に流れる川。

耳をすますと音がするという作品です。
そこには見えない「時」が感じられます。


宮永愛子 「Strata(清澄白河)」2018 ガラス、製本の道具、大潮日記2009〜2018、ミクストメディア
作品部分 展示風景 


展示会場の中は薄暗く、作品がより一層美しく浮かび上がります。


 

鈴木のぞみ 「The Light of Other Days:白河二丁目町会会館」



次の会場は「白河二丁目町会会館」です。


町会会館が見てきた風景、歴史。
かつてそこから見えていた風景を窓ガラスに映し出しています。

内側からイメージが焼き付けてあり、外から鑑賞する作品。

中から建物の明かりがともることで、かつてのまちの営みを垣間見ることができます。



誰もいない風景だからこそ、人がそこにいた事を感じたり。



お祭りの様子。

この作品が設置されるとき、街の人が「こんなこともあったね」と懐かしがっていたそうです。
人々の忘れていた記憶も呼び起こし、過去と現在を行き来する作品。



かつてはここから花火を見ることができたそうです。

小さい頃、珍しく夜ふけてから外出すると、楽しそうな大人の声が町内会館建物の中から聞こえてくる……、なんていう
ストーリーを思い浮かべながら鑑賞。





建物が眺めてきた日常。

昼のありふれたシーンも焼き付いています。



この作品は夜がきれいです。
昼から他の作品を見て、最後に見る、なんていいかもしれません。

暗闇に浮かび上がる作品なのですが、
ぼんやりとしていて最初は「怖い作品かな」なんて思いましたが。

とんでもなく、美しく、
これは夜に鑑賞して欲しいですね……(2回言いました。)


宮永愛子さんも、鈴木のぞみさんの作品も、清澄白河に関する歴史や土地にちなんだものばかりなのですが、
そのことを知らなくても、その場所に行き、作品が実際に語りかけてくることを大事にして作品を鑑賞すると、
自然と、「まちと作品」がリンクしていることに気が付くのではないでしょうか。


地図を持って巡ることでいろいろわかったり、感じたこともあるので、
やはり、作品だけではなく、実際行って見てその場所も体感して欲しいです。

 

編集部のおすすめポイント


案内所の入り口。 

私が行ったときはすでに夕方でかなり暗く、しかも雨が降っていて、展示場所がわからず、迷いました!
そんなとき、訪れたのが「案内所」です。
展示場所はもちろん、関連イベントの情報など、丁寧に教えてくれます。

各展示場所にも「のぼり」が立っているのですが、どの展示も、住宅地のちょっと分かりにくいところにあるので、スタッフにビシッと聞いたほうが、スイスイと回れます。
会場スタッフがいるので、次に行きたい展示場所もきちんと説明してくださいます。



錯視ブロックワークショップグループの展示

錯視ブロックで清澄白河・美術館周辺の地図の上に建物を表現!
この建物はなにかな、なんて言いながら探して楽しかったです。(ひとりで。)

 

清澄白河というまち

案内所に行く途中に、うなぎやさんがあったり、焼き鳥屋さんの前で老若男女、街の人がベンチで焼き鳥食べながら話をしていたりと、下町の商店街の素敵なところをギュッとつめた、そんな場所でした。

展示場所を探している道すがら「こんなところにレトロな工場が……」など、発見がたくさんありますよ。
今回紹介した展示以外にも、気になる展示や、関連プログラムもたくさんあります。


みなさんも、是非チェックしてみてください。



開催情報
MOT サテライト 2018秋 うごきだす物語

日時:2018年10月20日(土)〜11月18日(日)
金、土、日、祝日 11:00〜18:00
会場:清澄白河エリアの各所(MOTスペース・MOTスポット)
観覧料:無料 (関連プログラムも無料)
お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

詳細は東京都現代美術館ホームページを御覧ください。


宮永愛子トーク

日時:11月17日(土)18:00 - 19:30
ゲスト:小野正嗣(作家・立教大学教授)
会場:THE FLEMING HOUSE (江東区三好2-6-10) 
定員:30名(事前予約不要、先着順)
参加方法:当日直接会場にお越しください。
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/mot-2018.html#tabs=tabs-3



作家紹介

宮永 愛子
1974 年京都府生まれ。日用品をナフタリンで象ったオブジェや、塩を使ったインスタレーションなど気配の痕跡を用いて時を視覚化する作品で注目を集める。「日産アートアワード」初代グランプリ受賞。主な個展に「なかそら―空中空―」国立国際美術館(2012)、「みちかけの透き間」大原美術館有隣荘(2017) など。(東京都現代美術館HPより抜粋)

鈴木 のぞみ
1983 年埼玉県生まれ。東京造形大学で絵画を専攻し、卒業後に独学で写真表現を学ぶ。現在、東京藝術大学大学院博士後期課程在籍。近年の展覧会に2017 年「無垢と経験の写真 日本の新進作家vol.14」( 東京都写真美術館)、2016 年「NEW VISION SAITAMA 5 迫り出す身体」( 埼玉県立近代美術館) などがある。「現代美術の展望VOCA 展2016」にてVOCA 奨励賞を受賞。平成30 年度ポーラ美術振興財団在外研修員としてイギリスにて研修。(東京都現代美術館HPより抜粋)

錯視ブロックワークショップグループ
多分野の研究者やデザイナーが参加して、錯視ブロックを使ったワークショップを開発しているグループ(※)。錯視ブロックとは、その表面の模様の組み合わせ方で多様な「錯視」を生じさせ、紙の上に書いただまし絵のような印象を与える、不思議な立体を作れるブロックである。見る角度が変わると、眼に映る模様の組み合わせの変化とともに、錯視の生じ方が変化する。
※ 大谷智子(東京藝術大学芸術情報センター 助教)と丸谷和史(NTT コミュニケーション科学基礎研究所)らが中心となって、錯覚世界を楽しむための研究活動を展開している。(東京都現代美術館HPより抜粋)


テキスト・写真/植物生活編集部


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