Yu Yu 2018/11/15

植物と暮らす おうち時間 第9回 花屋〈みたて〉 / 西山美華さん



今回ご登場いただくのは、京都にて花屋〈みたて〉をご夫婦で営む西山美華さんです。

5歳になるお子さんと家族3人で暮らすのは、緑をいつも感じられる集合住宅。

『仕事も暮らしも四季を感じながら出来るだけ楽しみたい』という西山さんにお話を伺いました。

いつもの日こそ心を込めて。季節の植物と過ごす日々


まずはじめに、お店について教えてください。

「花屋〈みたて〉は京都府北区紫竹にある古い町家を使った空間で2013年4月にオープンしました。
私と夫は別の花屋で長年働いており、結婚を機にお店をスタート。

花そのものではなく、 “花を通して季節や植物のある風景を贈る仕事” をしたいと思い、主に身近に咲く山野草を扱うようになりました。

草花のほかに、古い花器や作家さんの器でのしつらえや、お正月飾りのような行事に合わせた飾りなども制作し、季節の贈り物の提案もしています。

お店を始めた2ヶ月後に息子が誕生したので、彼が大きくなっていく姿と、お店を続けてきた年月が、ふと重なって見える瞬間もありますね」


〈花屋みたて〉の草花は、古い花器との合わせが新鮮で初めて見た時に驚きがありました。
モノに対する思いも強く感じるのですが、物選びの際に気をつけていることはありますか。

 

「普段から愛着の持てるものをじっくり選んで、暮らしの中で大切に使い続けたいという思いがあります。

家で使う花器は、日常には土ものを、ハレの日には白磁の器を使うことが多いですね。
花を活けたり、庭の木を剪定したりと、ちょっとしたときに使う道具で常備しているものは、鋏、水差し、布、霧吹、麻紐など。

持ち運びしやすいようにコンパクトなものを選び、お気に入りのボックスにまとめています。

花周りの道具以外も古いものが好きで、骨董や古道具を扱うお店を訪れるのは日々の楽しみの一つ。京都の〈古い道具〉というお店が特に好きですね」


植物に触れる際に気をつけていることはありますか。

「植物をお世話する際には、『自分がその植物だったらどのように思うだろう』と想像すると、接し方が少しずつわかるようになると思います。

インターネットで検索するよりも、まずは目の前にあるお花をしっかり見てあげること。
そうすると『暑い、寒い、太陽のもとに行きたい、お水がほしい』など、何かしらの合図を送ってくれているはずですよ」


特にお気に入りの植物はどのようなものですか。

「仕事柄、色々な草花を目にする機会が多く、それぞれに違った良さを感じています。

中でもお気に入りは、日本の草花、薬草、果樹、ハーブ。
日本の野の花は、毎年同じ時期に咲き、お祝い事に花を添えてくれる大切な存在です。
1月は七草、3月は桃の節句に桃の花、5月は端午の節句に菖蒲、7月は七夕に笹、9月は重陽の節供に菊、10月は十五夜にススキなど。
日本は毎月のように行事があり、それぞれの時期の植物は季節の移ろいを知らせてくれますよね」



「薬草やハーブを好きになったのは、子どもが生まれてからで。
ちょっとした不調の時は、できるだけ自然の植物や食べものの力で治したいと思うようになりました。

まずは、庭にあるどくだみ、ビワの葉、スギナなどで、お手当てをします。

疲れた時も、お庭のハーブを摘んで入れたお風呂に浸かったり、足湯や手湯をしたりしてアロマ効果でリフレッシュ。
旅行に行く際は、レモンユーカリの葉っぱを数枚持って行きますよ。お湯を注げばハーブティーになるので、疲れを癒してくれます」


お子さんの存在が、植物との暮らしをより身近なものにしてくれたのですね。
5歳になるお子さんとは、毎日どのように過ごしていますか。




「お花やお店での時間は大好きで、心を込めて日々活動をしていますが、仕事だけではなく家族との時間も同じくらい大切にしたいと思っています。
特に息子と過ごす時間はかけがえのないものですね」




「お庭が広く、緑に囲まれた集合住宅を住まいに選んだのも、ここなら息子も気持ち良く毎日を過ごせそうな気がして。

ガラス張りの面が広く設計されている家なので、自然光が降り注いでとても明るく、どの部屋からも植物が見えるんです。

庭に接したテラスで朝食をとったり、イーゼルを立てて子供が絵を描く時のアトリエにしたりと、“庭という一つの部屋” でも積極的に時間を過ごすように心がけています。
ハンモックを吊るして、読書もしますよ。

この家に住み始めてから、植物に寄り添い季節を感じながら暮らしている実感が湧くようになりました。


全面ガラス張りのバスルームからは、お庭の植物が見えるのはもちろん、天井を見上げると朝は青空に飛行機や鳥が飛んでいる姿が見えることも。
夜は星空や月を、桜の季節には桜の花びらが舞う様子を眺めながら、お風呂に入るのは至福の時ですね。

この家は季節を感じる分、暑さ寒さが少し厳しくなることもありますが、何より自然が身近な住まいは気持ちが良いです」




「子どもと一緒に遊ぶときは、出来るだけ手を動かして遊ぶように心がけています。
自らの手を使って遊ぶことで、興味の幅が広がりモノを創り出す力がついたらいいなと思って。

アイスやクッキーなど季節のおやつ作りも好きですし、例えば枝で作った織り機で織物、染色、実や花びらで色水を作ってお絵描きなど、身近な植物を使うだけでも楽しむことができますよ。

今では息子もすっかり植物が好きになったようで、竹や大きな葉っぱを器にしたり、お花を散らしてテーブルコーディネートしたりと、食卓に花を添えてくれるようにもなりました」




「この時は紙を染めて遊んだのですが、じつはピンクはビーツ、ブルーは青ジソ、グリーンは抹茶を使って染めています。
自然の素材は、ただ安心というだけではなく、色や形の綺麗さにハッとさせられることもしばしば」


お子さんと遊ぶ他にも、日常で好きな時間はありますか。



「家族や気の置けない友人たちと美味しいものを囲むのも大好きで。
日々忙しくしている中でも食材を選び、出来るだけ丁寧に食事の時間を過ごせるように心がけています。周りに信頼できるお魚屋さんや八百屋さんがあるので、息子と一緒に買いに行くのも楽しみな時間です」


お話を伺い、何気ない日常を大切に積み重ねている様子を感じました。
お祝い事などのハレの日にはどのように過ごすのでしょうか。






「子どもがまだ小さいこともあり、誕生日やお祝い事などの行事も沢山。そんなハレの日には特別な思いを込めて、いつもと違ったしつらいを楽しんでいます。
お祝いをしていると、私の母も日本の行事を家族揃って祝うのが大好きだったのを今になって思い返しますね」




“いつもの日も特別な日も、仕事も暮らしも慈しむ” 言葉にすれば綺麗ですが、実際にやり遂げるのには相当なパワーと些細なことを見つけ出せる感性が必要なこと。西山さんのお話を伺い、母の静かで強い決意を感じました。

次回の更新もどうぞお楽しみに。



うかがった人

西山美華/みたて(花屋)
2013年から京都市北区紫竹で季節の花を扱う花屋を夫婦でオープン。
山野草に合う骨董なども取り揃えている。
アパレルショップ、料理屋、宿などのいけこみや全国発送なども行う。
東京や京都で展覧会も開催。

みたて http://www.hanaya-mitate.com



この連載をまとめて一気読みしたい!




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この記事のライター

Yu
Yu

趣味は見ることと食べること。 アート/民藝/工芸/古いもの、食、ナチュラルケアやセラピーに興味があります。 美術大学卒業後、プロダクトの企画や暮らし周りの編集に携わってきました。

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