植物生活編集部 植物生活編集部 2018/12/19

植物生活なあの人 vol.5 小林恵/プランツスタイリスト



山に咲く植物をそのまま持ち込んだかのような、野趣あふれるナチュラルな草花に、懐かしさと温もりが同居する古道具。

プランツスタイリストとして活動する小林恵さんのアトリエ「kitokusa」は、そうした趣ある品々で溢れています。



小林さんが提案するのは「古道具と生活雑貨を交えた、草花のある暮らし」。

二人の女の子のママとして日々頑張りながらも、積極的にワークショップやレッスンを開催しています。

提案するスタイルは、感度の高い女性たちから注目を集めており、ワークショップやレッスン開催時は、遠方からやってくる人も多くいるのだそう。
小林さんは、“自然体”という言葉がぴったりな、飾らない、朗らかな女性。
恵さんの、現在に至るまでの道のりや自然観は、どのようなものなのでしょうか。


森を思わせる、ナチュラルで落ち着いたアトリエ

 埼玉県屈指の観光地として知られる、川越市。
清涼な流れを誇る荒川や広大な雑木林など、豊かな自然も残した街です。

この川越市の閑静な住宅街の一角に、プランツスタイリストの小林恵さんと夫の陽一郎さんが運営するアトリエ「kitokusa」があります。

 庭には、アカシデやコナラをはじめとする木々がびっしりと植えられており、まるで小さな森があるかのよう。
取材時は、ちょうど一部の木が赤や黄色に色づきはじめており、庭の印象にニュアンスを添えていました。

 陽一郎さんは、フリーランスのランドスケープガーデナー。
庭木に関する知識が豊富なため、庭に植える木は、二人で話し合って決めることが多いそうです。
 
「庭に対するこだわりは、自然の状態を再現すること。主人から、実際の山や雑木林にはどのような種類の木が自生しているか教わりながら、庭に植える木をセレクトしました」と、恵さん。
 
 
 自宅の1階には、和室をリメイクしたアトリエが設けられています。
隣接するリビングよりも一段下がった、まるで土間のような空間です。

設置された棚や作業台のうえには、ドライフラワーを花材とした、手作りのハーバリウムやアンティークの小物など、こだわりの品々がところ狭しと並べられています。

恵さんいわく、いずれも色合いがナチュラルなことが特徴なのだとか。


 「昔から、赤やオレンジといった派手な色があまり好みではなくて。茶色やグレーといった主張しすぎない色が好きなので、おのずとそうした色合いのものが集まりましたね。あと、インテリアや小物も、プラスチック製のものは選ばず、自然素材のものを置くようにしています」


 ナチュラルなものでまとめられた、落ち着いた空間なため、居心地の良さも抜群。
不思議と、森の中で過ごしているかのような気分になります。 



自らの感性で、花と古道具を選んだ経験が財産に

 県内にある、畑を持つ家で生まれ育った恵さんは、自身を“田舎っ子”と表現します。
 
「幼い頃から、自然が大好き。父について畑に行き、一緒に土をいじったり野菜を採ったりしていました。時には畑に咲いていた草花を摘んで、自宅に飾ったりもしていましたね」

 こうした体験がきっかけとなり、鮮やかな色合いの花ではなく、野に咲く花を好むようになったのかもしれません、と語ります。

また、雑貨への興味も強く、貯めたお小遣いで好みのカーテンやクッションといった品々を買い求めることも多々あったのだとか。

 学校を卒業後、一時は栄養士として働きますが、雑貨への思い入れが強く、雑貨店のスタッフに。
その後縁あって、長らく顧客として通っていた花と雑貨の店「water」(現在は閉店中)に勤務することになります。


 「waterは、花だけでなく、古道具や作家さんが手がけた食器類なども扱うお店です。接客やフラワーデザインはもちろん、花と雑貨の仕入れも任せていただいたのは、本当にいい経験になりました」


 現在提案する「古道具と生活雑貨を交えた、草花のある暮らし」というスタイルが、確立されるきっかけにもなったのだそう。

 「自分の感性で、お店を形作っていく過程が楽しかったこともありますが、古道具や雑貨の魅力にとりつかれてしまって。作家さんの食器を見ようと、プライベートな時間を使って地方に足を運んだりするほど、仕事に夢中になりましたね」



 その後、著書も多数あるベテランのプランツスタイリスト、井出綾氏のもとでの修行を経て、結婚・出産。現在は、子育ての真っ最中です。

二人の小さな女の子を抱えるため、以前のように古道具や雑貨を探したり、じっくりフラワーデザインに取り組んだりできないものの、恵さんにはまだまだ夢があります。

 「いずれは、自分の店を持ちたいですね。『花屋』とひとくくりにされる店ではなく、花と古道具を売る日があったり、花とパンを売る日があったりと、生活に関わるものを幅広く取り扱う店が理想です。あとは、フラワーデザインの腕ももっと磨きたいと思っています。自分で育てた好みの草花を使い、理想形に近づけていければと」

 花に古道具、そして選び抜いた生活雑貨。好きなものに囲まれ、豊かな生活を送りつつも、夢を描き続ける恵さんの表情は、幸せなオーラに包まれていました。


取材・写真/緒方佳子


話をうかがった人

小林 恵 
kitokusa
http://kitokusa.com


 

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