ウェディングストーリーズ〈vol.7〉生花よりも手をかけて、アートが本物に近づくように!/Les favoris
ウェディングストーリーズ vol.7
新郎新婦の思いをカタチにした“世界にたったひとつ”のウェディングブーケ。それを束ねるフローリストは、どんな思いでブーケをデザインしているのでしょうか。インスピレーションの源やこだわりを取材しました。◆◇◆
二子玉川駅から徒歩数分、一見なんの変哲もないアパートの一室に、こんなにも素敵な空間が広がっているとは!
アンティーク調の壁に飾られているのは、手作りのリースやスワッグたち。
今回私は、フラワーデコレーターの茂木さんが運営するアトリエ「Les favoris (レファボリ)」にお邪魔しました。
長年、(株)日比谷花壇のフローリストとして、パーティー装花やブライダルショーの企画・デザインに携わってきたという茂木さん。フリーランスとなり、使用する花材をアーティフィシャルフラワーやドライフラワー、プリザーブドフラワーに変えた今も、「なるべくその人だけのオンリーワンのブーケを作りたい」という思いは変わりません。
そのために、最近特に力を入れているのが「ブライズカラーワークショップ」。
一体どんなワークショップなのでしょう?
あなたは何タイプ?似合う色やブーケの形を診断!
「目や肌、髪の色など、人には生まれつき持っている色素があります。もともとパーソナルカラーの勉強をしていたこともあって、ワークショップでは専門の先生と一緒に、花嫁さんや花婿さんに似合うカラーを診断します」パーソナルカラーの診断方法にはいくつか種類があるそうですが、 ワークショップでは「春・夏・秋・冬」という4つのグループに分けて診断します。上の写真の通り、色付きのドレープを首元に当てて、顔映りの違いを比較していきます。
と、ここまではよくあるパーソナルカラー診断。
茂木さんはさらに一歩踏み込んで、似合うブーケの形や花材までも提案してくれます。
例えば「冬」タイプの方には、モダンなキャスケードブーケや、カラーなどの花材をシンプルにまとめたブーケを。「春」タイプの方には、繊細で可愛らしい花材を使ったラウンドブーケを。
「ドレス選びやブーケのデザインを迷っている方にとって、ヒントのひとつになれば」と茂木さん。
ワークショップ以外にも、ウェディングブーケの手作りレッスンなど多数開催しているとのこと、ご興味のある方はぜひ、ホームページからコンタクトしてみてください。
手間暇惜しまず、本物に近づける工夫を!
さて、こちらの華やかなウェディングブーケ。生花とアーティフィシャルフラワーのどちらが使われていると思いますか?正解は、いずれもアーティフィシャルフラワーなんです!
「生花はそのままでも十分きれいですし、生花本来の力強さでうまくまとまってくれることも多いんです。一方のアーティフィシャルフラワーには、“ゆらぎ”がありません。色も形も決まっています。だからこそより手をかけて準備をしないと、生花のような柔らかな雰囲気は出せないんです」
例えば、上の写真のとおり「芍薬」を使ったブーケなら、アーティフィシャルのグリーンや実を散らすことで、さらに動きのあるスタイルに。
生花を知り尽くしているからこそ、アーティフィシャルフラワーを買い付けるときは、生花を頭の中でイメージし、本物に近いものや、他の素材と組み合わせて自然な雰囲気が生まれるものを選ぶようにしています。
季節や場所の関係で手に入りづらい花材でも、アーティフィシャルフラワーなら簡単に取り入れられることも。
左の写真は「アネモネパンダ」と「ミモザ」、右の写真は「ラナンキュラス」「ライラック」「クリスマスローズ」を使ったクラッチブーケです。ブーケは、飛行機内に持ち込める特別なブーケボックスに入れてお届けしているとのこと、リゾートウェディングを希望される方にもおすすめですよ。
プリザーブドとドライ、それぞれの魅力とは?
続いてご紹介するのは、プリザーブドフラワー(左の写真)のブーケと、ドライフラワー(右の写真)のブーケ。元は生花だった花材を、前者は専用の薬品で脱水・着色・保存処理し、後者は乾燥させることで、一味違う魅力を引き出します。
例えばバラの花ひとつをとっても、質感や見え方の差は明らか。生花に近いエレガントな雰囲気のプリザーブドフラワーに対し、ドライフラワーはトーンが淡くマットな質感が特徴です。
花材は種類ごとに違いがあるからこそ、ミックスするときは慎重に。ちなみに、アーティフィシャルフラワーと、生花由来のドライフラワーやプリザーブドフラワーを混ぜることは、基本的にしていないといいます。
「アートと自然素材は質感が違うので、ミックスするとどうしても違和感を感じるんです。また、劣化の速度もアートはほぼ変わらないのに対して、ドライやプリザーブドは劣化していきますので、保存の観点からもおすすめしていません」
花材の特徴を活かして、幅広いデザインやアイテムを提案!
一方、ドライフラワーとプリザーブドフラワーに関しては、両者をミックスすることでデザインの幅がぐんと広がるそう。単体ではパキッとして目立ちすぎてしまうプリザーブドフラワーも、ナチュラルなドライ系の素材と組み合わせれば、オシャレなアクセントの役割を果たしてくれます。左のリースブーケでは、プリザーブドの深いブルーの「あじさい」をアクセントに。右のクラッチブーケでは、プリザーブドの「バラ」や「カスミソウ」を加えることで、清楚な印象が際立っています。
ウェディングブーケだけでなく、例えばヘッドパーツなど様々なアイテムで、プリザーブドやドライの素材が大活躍!写真にあるように、花婿さんの蝶ネクタイとセットでオーダーすることも可能です。
「こんなのできますか?という相談には、いつも全力で乗るようにしています。どんなものでも作ろうと思えばきっと作れると思っています。じゃあ、どうやったらきれいに仕上がるのかな、と考えるのが楽しいんです」
結婚式のアイテム選びに迷っているみなさんはぜひ、二子玉川にある茂木さんのアトリエを訪ねてみてください。
■フローリスト&ショップ情報
・フラワーデザイナー:茂木 寛子 (もぎ ひろこ)
・店舗名:Les favoris (レファボリ)
・URL:https://www.lesfavoris-wedding.com/
・Instagram:https://www.instagram.com/lesfavoris_wedding/
・アトリエ営業日時:不定休/基本13:00時〜19:00 (要予約)
・ウェディングブーケの価格:25,000~
・ウェディング対応地域:全国配送可能/ブーケのレッスンは、アトリエまたは都内近郊であればご自宅などにお伺いすることも可能
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この記事のライター
水鳥るみ
都内在住のフリーランスライター。 現在は、ウェディング関係のお仕事をメインに、年間30組以上の新婚カップルをインタビューし、挙式当日のレポを執筆。 ウェディングシーンに欠かせないフラワーアレンジメントについて、そのトレンドやショップ情報を詳しくご紹介します。