Yu Yu 2019/01/07

植物と暮らす おうち時間 第10回 写真家 / 原田教正さん



『植物と暮らす おうち時間』今回は写真家の原田教正さんにご登場いただきます。


原田さんは編集の仕事を手がける妻と東京での二人暮らし。
まだ20代でありながらも雑誌やwebの媒体でご活躍されています。

 “どうも淡泊なものに惹かれてしまう” という原田さんの日々の様子をお伺いしました。
 

なんでもないのが心地いい、妻と過ごすふつうの毎日。



どんな植物が好きですか。

「なんとなくですけれど、あまり強い主張のない植物に惹かれますね。
そっとあるような感覚が好きで、いつも決まって切り花は3種類、わりとあっさりとした色のものを。

植物もモノも素っ気ないくらいの方がずっと見ていられるんです。
派手なものを求めてみたこともあったのですが、やっぱり落ち着かなくて。

植物には私たちの活力があらわれるような気がしています。なので、育てるにあたっては日当たりや風通し、室温も多少は気にかけますが、自分自身がなるべく元気でいるように心掛けていますね」



原田さんはどうして素っ気ないようなものに魅力を感じるのだと思いますか。

「簡素で淡白であるほど、隠しごとができないというか。
そんな嘘がないものに触れていると、自分自身の未熟さや本質も表に出てくる気がして背筋が伸びます。

華やかなものにも惹かれることもあります。色は強くても形はシンプルなものなど最近は色々と織り交ぜています」




そぎ落とされた端正なものに襟を正してもらうような感覚もあるんですね。
花を入れるうつわはどのような物を使っていますか。


「瓶や徳利の他に深皿など、水が入ればなんでも花器として使っています。

あとはあえて冬に硝子、夏に陶器を使うのが結構好きですね。インテリアや小物は下北沢の〈ナンセンス〉というお店がお気に入り」




話は変わりますが、奥さまはどのような方ですか。

「夫婦になった今でも妻は少し変わったところがあるなと感じていて、日々新鮮です。親友みたいな感じですね。

彼女は基本的にはクールで、同じ歳にも関わらず、地に足がしっかり付いている姿に感心することもあります」




『淡白なものが好き』という言葉とは対照的に、住まいの空間には温かさを感じます。
この家に決めたきっかけはありますか。


「ここの部屋に決めたのは、『自分たちがうまく住めそうな気がしたから』というのが一番のポイントです。

時間帯を変えて何度か内見して、西日が入る感じも気に入って。
築40年くらいなので古さはあるのですが、それゆえの抑揚が残っている感じにも惹かれました。

例えば昔ながらの造りで天井が高く、リビングから続く部屋には元々カーペットが敷かれていたり、所々一段上がった構造になっていたり」



「あとはミモザと金木犀がすごく好きで。ここに越してきて、窓の下に金木犀が、近所にミモザの大木が植わっていると気がついた時は嬉しかったですね。

特に金木犀は小学生の頃、校庭の脇に一本だけ植わっていたんです。雨上がりの冷たい空気に混じって、いい香りを漂わせていたことを強く覚えています」




家具や小物も、一つ一つ思い入れがありそうですね。どんなところから集まってきたものですか。

「夫婦それぞれ仕事で地方に行くこともあるので、その先で気に入ったものを見つけてくることも多いですね。

高校生の頃に食器などの小さなものから少しずつ買い始めて、流行よりも自分が長く大切にできそうなものだけを身の回りに置きたいと思うようになりました。

国や時代はバラバラですし、オーダーしたものや人から譲り受けたものなどもあり、決まったスタイルはありませんが、それぞれの調和を楽しんでいます。

例えば、このオレンジの椅子はお世話になっていた料理家フルタヨウコさんの形見なんです。
以前お宅で僕が撮った、この椅子のある風景をとても気に入ってくださって。
プリントして差し上げたところ大切に飾ってくださっていました。

形見分けの際に『この椅子の写真を撮った人に是非』とご家族に言われ、頂きました。
ひとつひとつのモノにたくさんの思い出が詰まっています」





ご自宅ではどのように過ごしていますか。

「写真以外に特に趣味がないので、仕事をしているか部屋の模様替えを。模様替えは深夜に煮詰まった時や、特に何もなくても頻繁にしています。

妻や遊びに来た友人たちと料理をしたり美味しいものを楽しんだりする時間は、とても好きですね」




大学卒業後に短い出版社勤務を経て、早くからフリーランスになられた原田さん。今の働き方にシフトしたきっかけはありましたか。

「幼い頃から集団行動やルーティンワークが苦手で、随分と思い悩んできました。

大学卒業後に出版社に入る頃には、在学中から始めた写真の仕事などを通して随分と克服できたと思っていたのですが、やっぱり自分の性質とは合っていなかったようで。正直会社を辞めた時は、挫折感もありましたね。

それでも今は写真があって、お仕事をくださる方もいることに感謝しています。

写真を撮り続けていくことでしか見えない世界があると信じて、これからも続けていきたいです」





私と原田さんは割と近い世代で、お話を伺っていると自分のことのようでした。
大きな野望を持つよりも、身の丈に合うものごとを。
そして、どこかで未来や外の世界は何が起きるかわからないことを感じてきたからこそ、目の前にいる人とのささやかな暮らしに、何よりの安心感と親しみを持って過ごしているのです。


次回の更新もどうぞお楽しみに。



うかがった人

原田教正 / 写真家

1992年東京生まれ。武蔵野美術大学在学中にフリーランスとして活動を始める。短い出版社勤務を経て独立。
主な仕事に『東京のごちそう』(エイ出版社)『shu re』(車多酒造)『POPEYE別冊付録 2018東京 味な店』など。
kazumasaharada.com



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この記事のライター

Yu
Yu

趣味は見ることと食べること。 アート/民藝/工芸/古いもの、食、ナチュラルケアやセラピーに興味があります。 美術大学卒業後、プロダクトの企画や暮らし周りの編集に携わってきました。

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