植物生活編集部 植物生活編集部 2019/02/16

片瀬那奈さんのフラワーノート File.01「ラナンキュラスの生産地」




種から芽が出て、茎が伸び、葉をつけ花開く。

植物の生長がそうであるように、花が人の手に届くまでの間にも
たくさんの過程を経て、その時々の育てられかた、扱われかたをされながら
花は季節の美しさを表してくれています。



花が大好きな人は、その過程すべてを見てみたくなってしまいます。

日々「美しさ」を求める人、人々に「楽しさ」をお伝えするプロが、
その花の流れを見てみたら。
どう感じてくれるのでしょうか。



そこで、この連載では、
花、植物の生産から人に届くまでの現場を、女優の片瀬那奈さんとともに巡ります。

数々のドラマやTV番組などマルチに活躍をする片瀬那奈さん。
興味を持ったことは、とことん調べる性格だそうです。
そんな片瀬さんは、6年ほど前から植物や花に興味を持ったと言います。



「ドラマなどに出演すると、クランクアップなどでお花をいただくことが多いのですが、最初はどうしていいかわからず……。とても綺麗なので、どうすれば日持ちするんだろうと専門書や植物図鑑などで調べ始めて、はまっていきました」

「毎日、きちんと水替えすると、花はいつまでもきれいでいてくれるし、それが楽しくて。植物は生き物だから、奥深いですよね。どんどん面白くなって、パンジーやビオラなどを使ったガーデニングや、切り花から観葉植物まで、あらゆる植物に興味を持つようになりましたし、今は食べ物をもらうよりも花をもらう方が嬉しいくらいです」

今ではプライベートでも、植物に特化した大型店に通ったり、切り花を卸会社で購入したりするほどだそうです。



「植物に触れるようになって、世話をするのが苦手だったのに、今では植物の世話をするのが好きで好きで。植物って人間的」


そんな植物生活を楽しんでいる片瀬さんに、これから、植物の魅力を伝えてもらいましょう。

 

ラナンキュラスの生産地へ


第一回目。冬から春になるこの季節、明るく色とりどりの花を探しに。
足を運んだのは、千葉県南房総市の生産者、青木園芸さん。変わり咲きのラナンキュラスを栽培しています。



片瀬さんはパンジーなどの花壇苗の生産地に行ったことはあるそうですが、切り花の生産地の訪問ははじめて。

「すごい!」

春のような温度で管理されているラナンキュラスのハウス内に足を踏み入れたときの片瀬さんの第一声。


青木園芸の代表である青木良平さんにハウス内を案内していただきます。
「ピンク色は‘ハーマイオニー’という品種、イタリアで作られた品種です」など、早速説明をうけます。


片瀬:「ラナンキュラスは花が大きく、万能な使い方のできる花。強くて日持ちがいいイメージですね」

青木:「うれしいですね。この品種は、イタリアの種苗会社が『ハリーポッター』の登場人物の名前を取ったみたいで、別の品種の‘シレンテ’もイタリア語でダンブルドア先生の意味だったり、悪役の名前の品種があったりします」

片瀬:「主役のハリーポッターはないのですか?」

青木:「なぜか、ハリーポッターという名前の品種はないです」

なごやかにハウス訪問は始まります。


片瀬:「いつからラナンキュラスの栽培をはじめているのですか?」

青木:「4年前からです。春から秋にかけてはアジサイやレースフラワーなどを栽培しています」

片瀬:「そうなのですね。何かきっかけがあって、ラナンキュラスを作ろうと思ったのですか?」

青木:「たまたま種苗会社で、このオレンジの‘フローラ’という品種を見て、ビビッと。花色のグラデーションが、うちで栽培しているアジサイの花色と似ているように感じて、直感的に栽培したいと思ったんです」




片瀬:「かなりハウスの中で咲いているように思いますが、こんなに咲いていて大丈夫ですか?」

青木:「このラナンキュラスについては、収穫するぎりぎりまで咲かせます。その方が見た目だけでなく、花の日持ちもよくなります」

片瀬:「咲かせた方が日持ちがいいって意外ですね。元気なラナンキュラスを育てる秘訣はなんですか?」

青木:「ラナンキュラスにとって、いい環境を作ることですね。ハウスの温度も暖かいだけじゃなくて、寒暖の差をきちんとつけてあげること。あとは、ストレスをちょっと与え続けるということだと思います」



片瀬:「ストレス?」

青木:「植物って、水が大好きですが、でも与えすぎると根が腐ったりしてうまく育ちません。だから、水を少なめに与えています。そうすると植物は水を求めて根をしっかり張るようになるんです」

片瀬:「ああ、甘い果物などを作るときと似ている感じですね」

青木:「そうです。そういう風にしてあげないと、肥満になってしまうんです。秘訣は甘やかせず、厳しく育てることです」

 

一輪一輪の表情の違いを観察


じっくりハウスのラナンキュラスを観察する片瀬さん。
花弁の大きさや品種の違いなどをじっくり観察しています。




片瀬:「同じ品種というけれど、色とかに微妙な違いがありますね?」

青木:「同じ品種でも色の幅はありますね。たとえば本来は緑色が差し色として入っているべき品種でも、グリーンがまったく出てこないこともあります」

片瀬:「でも、どの瞬間もきれいですね。それぞれグラデーションの違いもあって」

青木:「とても温度に敏感な植物で、色や花弁の雰囲気も季節で変わります」

片瀬:「収穫は毎日ですか?」

青木:「3月になると、一斉に咲いてくるので毎日収穫ですが、それ以前の寒い時期は2日に1回くらいです」

片瀬:「1株でどの位、切れるのですか?」

青木:「だいたい、10本くらいですね。ただ、花が大きい品種はあまり切れないことが多いです」



じっくりとラナンキュラスを観察しながら、次から次へと青木さんに質問するほど片瀬さんの興味は尽きませんでした。



生産地でのブーケレッスン

青木良平さんの奥様、とも子さんは、都内の花店で働いていたフローリスト。
せっかくの機会だからと、青木さんのところで収穫されたラナンキュラスやほかの植物を使って、ブーケを作ることになりました。

事前に収穫して、しっかり水があがったラナンキュラスの中から片瀬さんは白の品種をチョイス。
合わせるグリーンをセレクトします。
ブーケに合わせる葉や枝もすべて青木さんが栽培しているもの。
青木園芸で作られた植物だけでブーケができるのです。


青木園芸では、ハーブゼラニウムやミントなども栽培しています。ハーブゼラニウムは手で葉を触ると、いい香りがします。

「センティッドゼラニム」と呼ばれ、香水にも使用される植物です。


片瀬:「どれもいい香り!」


香りを比較しながら、ゼラニウムを選んでいると何やらユニークなグリーンが。




片瀬:「これ、ぺんぺん草ですよね?」

野道でみかけるぺんぺん草(ナズナ)、けれど野道に生えるものより大きなものが、グリーンの中にありました。

青木:「そうです。イスラエルの品種なので、外国産のぺんぺん草です」

片瀬:「でも、どの素材もとても新鮮ですね。すごいな。このユーカリとか紅葉していますね」

青木:「植物はやっぱり季節によって表情が変わります」

片瀬:「面白いですね」



にこやかな雰囲気で花材を選ぶといよいよ、レッスンスタート!
ラナンキュラスを握りながら、ブーケ作りのコツを教えてもらいます。

「色々な方法があって、お店によっても人によっても違うのですが、メインを決めたら、自由にするのが一番だと思います。色を限定した方が作りやすいですね。私に教えてくださった人は、素直に作るのが一番うまくなるよと教えてくれました」と、青木とも子さん。

片瀬:「私はいつも花瓶に生けて、いけばなのような感じに作っています」

とも子:「生ける場合は、花束のようにメインの花からではなく、ベースとなるグリーンなどを生けてから、メインを挿すほうがまとまりますよ」



片瀬:「ああ、なるほど!それでは、ブーケを作るのに難しいところはどの辺ですか」

とも子:「片手で握りながら作るので慣れるまでは難しいですよね。手で握る部分はほんの一部ですけど、握る部分の下についている葉を取ってから作りはじめましょう」

とも子さんの指導を受けながら、ラナンキュラスでブーケを作っていきます。
花の向きやフォルムを確認しながら、1本ずつ丁寧に花を加えていきます。


片瀬:「手で持って作るのって難しいですね。茎がくるんくるんと回ってしまいます」

とも子:「慣れるまでは、茎が動くので大変ですよね」

はじめてのブーケ作りですが、とも子さんの指導で、どんどん形になっていきます。
ブーケで高低差を出すように、花首を持ちながら調整する姿ははじめてとは思えません。



ブーケの完成までもうすぐ!というところで、ちょっと考え込む片瀬さん。
とも子さんがユーカリを1本持って、アドバイス。




とも子:「最後に立体感を出すために、枝物や葉を入れると、ぐっとよくなりますよ」

片瀬:「本当ですね。物足りないのがなくなった。わあ、新鮮!」




仕上がりのブーケは白のラナンキュラスと香るグリーンの春らしい爽やかなブーケ。




ブーケ作りの片瀬さんの感想を聞いてみましょう。

片瀬:「このブーケをすごく気に入りました。花は太陽の方を向かって育つから、表と背中があるとか、ブーケの中で高さを調整するとか、とても勉強になりました。最後のユーカリ1本加えただけで、仕上がりが違うのも素敵です」




ーー今回の訪問で、片瀬那奈さんのフラワーノートには、「ラナンキュラス」が描かれました。

「どの花、どの植物も新鮮で、ラナンキュラスも1本1本、表情が違って素晴らしかったです。だけど、私たちがいただいたりお花屋さんで買う美しい花も、こういった生産の難しさを経て手に入るということ。そういった生産の難しさの断片も知ることができました。作り手によって花が違うことも感じることができました」




青木園芸はアジサイの生産者としても有名です。
今回の探訪で青木さんの花に感銘を受けた片瀬さん。

「アジサイも大好きなので、今度はアジサイの時期に来たいです」




次回のフラワーノートもお楽しみに。

スタイリスト/kozue onuma(eleven.) 
ヘア&メイク/窪田健吾(aiutare)
撮影/岡本譲治 

衣装協力/ハリカエ ピンクプルオーバー ¥29,000  ピンクスカート ¥52,000
[ 問い合わせ先 ] ハリカエ(渋谷区笹塚3-58-5 #203)TEL:03-4296-7925



うかがった生産者
青木良平 Ryohei Aoki
1976年生まれ 東京農業大学卒業後、カスミソウやホワイトレースフラワーなどを手がけていた実家の青木園芸に入り、花づくりの道へ。2004年からはアジサイの切り花生産をスタート。現在は国産のアジサイシェアNO1産地に。4年前からラナンキュラスを導入し、現在はレースフラワー、カラー、ゼラニウムなども生産し全国へ出荷している。
※通常、見学は一切お受けしておりません。
http://aokiengei.jp

訪問した人
片瀬那奈 Nana Katase
1981年11月7日生まれ。東京都出身。
instagram@nana_katase

出演情報:
『シューイチ』( NTV系・日曜7:30 - 9:55 )、『音ボケPOPS』( TOKYO MX・土曜21:30 - 22:00 )ほか、ドラマ『絶対正義』( 東海テレビ、フジテレビ系・土曜23:40 - 24:35 )にて理穂ウィリアムズ役で出演中。



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