学ぼう、花のスペシャリストに。水揚げ&花のケア vol.2|水揚げの基本「湯揚げ」
花を長持ちさせるには、花それぞれの特性を知った水揚げや花のケアが必要です。
でも、どうやっていいかわからない。
プロになりたい人、いまさら聞けない人、もっともっと花を楽しみたい人まで、
基本から学んじゃいましょう。
花を長持ちさせるためのテクニックや知識を、実際のお花屋さんの業務の中で研究し、検証してきた
フルーロン花佳の薄木健友さんに学びます。
vol.2 正しい水揚げの基本その2 「湯揚げ」
湯揚げの効果
プロは湯揚げという処理をするのをご存知ですか?
切り花の茎をお湯で煮るのだと言うと、驚かれる方も多いのではないでしょうか。
しかしこの「湯揚げ」は、いろんな理由でとても効果のある水揚げ方法です。
まず、切り口の消毒効果。
熱したお湯で茎を煮るため、その部分のバクテリアを死滅させます。
そして、茎の中に入った空気を取り除く効果。
お湯の中に茎を入れると、中からブクブクと泡が出てきます。
これによって導管の空気が抜け、一気に水を吸い上げてくれます。
第一回目は水切りの基本をお伝えしました。
第二回目の今回は、この湯揚げの方法をお伝えします。
湯揚げの方法
1. まず水に浸かる部分の無駄な葉を取り除く。新聞紙などで葉と花を保護するように包む。
2. 湯につける直前に茎を切り戻す。
3. 沸騰したお湯に切り口を浸け、茎の中の空気を抜く。
お湯に浸ける時間は、茎の太さや長さによって多少異なりますが、湯揚げは湯を飲ませることが目的ではないので、長すぎるのは厳禁です。
茎が細く、やわらかい植物は数秒、そのほかの植物でも20秒から40秒くらいまでが目安です。
長く浸けすぎるとお湯による茎の変色エリアが広くなり、後から切り戻す部分が長くなってしまいます。
根元の茎を水の中に入れる。
引き上げてすぐ水に浸ける。茎先の色が変わった部分を切り戻す。
湯上げの際に使用する水は冷たいほど良いと勘違いしやすいのですが、水の温度はぬるいほうが良いです。
また、カラーなど茎に水分を多く含む植物には湯上げは逆効果。植物の植生や状態を考えて水揚げ方法を判断しましょう。
適する花材
キク、ストック、ナノハナPOINT
・熱湯によりバクテリアを死滅させる。・熱を加えることで茎の内部が膨張し、空気が薄くなる。
・すぐに水に浸けると、一気に水が上がる。そのタイミングが重要!
次回は
>>「正しい水揚げの基本3 / 割る・裂く」をご紹介します。
教えてくれたお花屋さん
薄木健友 Taketomo Usuki
札幌の生花店株式会社花佳代表取締役。NPO 法人日本切花装飾普及協会認定カットフラワーアドバイザー。 第1回花のMVP大賞受賞。1988 年札幌市内の生花店に勤務したのち、1993年にフルーロン花佳を開いて独立。JFTD学園講師、切り花の水揚げと鮮度管理に関する講演や雑誌連載など、活動は多岐に渡る。
フルーロン花佳
北海道札幌市西区西野6条3丁目 1 - 1
http://www.hanaka.tv
E-mail:hana@hanaka.tv
もっと詳しく知りたい!「花の扱いのプロになりたい」という人は薄木さんの著書『水揚げ&花のケア 切り花の鮮度保持マニュアル』をご覧ください。
薄木さんの言葉:
家電販売業界から花屋に転向した私は、バラとカーネーションの違 いすらわからない、まったくの素人でした。
先輩たちから花の名前を 教わり、アレンジや花束、葬儀スタンド、祭壇、ブライダルブーケな どひととおりの技術を教わったのですが、ひとつどうしても納得のい かない技術がありました。
それが水揚げです。
キクは湯揚げして!ススキは酢に浸けて!アジサイはミョウバンをすり込んで!どの作業にも驚きましたが、それ以上に「なぜ?」という疑問を持ちました。
先輩たちに質問しても、「水が上がるから」と言われるだけ。
納得できる解答は得られませんでした。
独立後、ほかの花屋さんと交流するようになり、お店によって水揚げ方法が違うことを知り、私の疑問はさらにふくらみました。
いったいどの方法が正解なのか?
そこから 私の水揚げと管理についての模索が始まったのです。
その模索から得たことを、2008年から2年間、雑誌『フローリスト』にて連載させていただきました。
本書はその内容をさらにわかりやすくまとめたものです。
花によって、適する温度や湿度、そして水も違います。
エチレンガスの影響を受けやすい花、バクテリアの影響を受けやすい花など、性質はさまざまです。
それらの管理方法についても具体的に説明しています。
水揚げにはいくつもの方法があり、しっかりと水が上がればその方法は正しかったと言えます。
本書でご紹介するやり方が必ずしもすべ てとは言えません。
あくまでも数ある方法のひとつとして参考にして いただければ幸いです。
こちらの「植物生活ショップ」からご購入できます。
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この記事のライター
「植物生活」とは花や植物を中心とした情報をお届けするメディアです。 「NOTHING BUT FLOWERS」をコンセプトに専門的な花や植物の育てかた、飾り方、フラワーアート情報、園芸情報、アレンジメント、おすすめ花屋さん情報などを発信します。