水鳥るみ 水鳥るみ 2019/03/22

ウェディングストーリーズ〈vol.10〉花の豊かな表情を引き出す“影の立役者”/malta

春にぴったりのパステルカラー。東京・世田谷のフラワーショップmalta (まるた)のウェディングブーケ
ウェディングストーリーズ vol.10

新郎新婦の思いをカタチにした“世界にたったひとつ”のウェディングブーケ。それを束ねるフローリストは、どんな思いでブーケをデザインしているのでしょうか。インスピレーションの源やこだわりを取材しました。

◆◇◆

私がmalta(マルタ)のことを知ったのは、「葉山ホテル音羽ノ森」という海辺のホテルで挙式した花嫁さんに、インタビューしたことがきっかけでした。
ボヘミアンテイストを式のテーマに掲げていた彼女は、式場と提携するmaltaの装花とブーケに感動し、それが式場を選ぶ決め手にもなったのだそう。

一体どんなお花屋さんなんだろうと興味を惹かれ、ホームページInstagramを調べるうちに、私もまた素敵なアレンジの数々にすっかり魅了されてしまったのです。
詰んだばかりの花を束ねたような瑞々しさと、心がホッと和む絶妙な色使い…。一体どうすれば、こんなに素敵なアレンジが生まれるのでしょう。
ぜひ直接お話を伺いたいと取材をオファーしたところ、快諾してくださいました。

malta(マルタ)のウェディングブーケ。「ビビットだけど大人っぽく」がコンセプト。

花と花嫁を引き立たせる「黒子」としての誇り

前述のホテル以外にも、都内や鎌倉にある複数の結婚式場と提携しているmalta。2010年にフローリストの布山 瞳(ふやま ひとみ)さんが設立し、今では7名のフローリストと共に、年間300件以上のウェデイングに携わるまでになりました。

2017年には、新アトリエを東京・世田谷にオープン。花嫁さんたちからの人気は、ますます高まるばかりです。

「大きな野望があるわけではないんです。毎日が楽しければいいなと思って、ここまで続けてきました。今日一日を全力投球という感じです」と、布山さん。スタッフは全員お花が大好きで、店内は毎日のように「かわいい!きれい!」の声で溢れているといいます。

とはいえ、「いくら自分たちがきれいだと思っても、お客様に喜んでもらえなかったら正解ではない」というのがmaltaの信条。草花のありのままの美しさを讃え、そこに自分たちの主張を押し付けることは決してありません。

「お花がきれいと言われたら、それはとっても嬉しいです。でも褒められているのは、自分ではなくてお花。わざと自分の癖を出してやろう、みたいなことは思いません」

自らをフラワーアーティストではなく、ものづくりに精を出す「職人」や、舞台上で役者をサポートする「黒子」と位置づけるのもそのため。花と花嫁を引き立たせたいという謙虚な姿勢こそが、美しいブーケを生み出す秘訣なのかもしれませんね。

ラナンキュラスをメインに、冬らしいクリアな色合いでまとめたウェディングブーケ
自然の表情そのままに、旬の花を束ねる

魅力的なアレンジの秘訣をさらに深く探るべく、こんな質問をしてみました。
maltaのブーケを見ていると、どこかホッとして安らぐ感覚があります。それはなぜですか、と。

少しの間考えてから、布山さんは次のように話してくださいました。
「若い方だけでなく、お店に来てくださる年配の方も、お花やブーケを見てすごくいい反応をしてくださるんです。誰が見ても心地よいと感じていただけるのは、お花にとって気持ちのいい組み合わせにしているからかもしれません」

奇をてらわず色彩の調和を大切に、ブーケをアレンジするときは「このお花は、どんなふうに生えていたんだろう」と考え、その状態に少しでも近づくように向きやバランスを細かく調整することも。
些細な違いで、花はクタッとした印象にも、イキイキとした表情にもなるため、普段から植物に対する観察眼を磨くように心がけています。

malta(マルタ)の店内で美しく咲くミモザ
さらには、自然界のリズムに合わせ、季節の草花を積極的にアレンジするのだそう。
例えば2月、3月なら旬の「ミモザ」をあしらったり…

独特な花芯やフォルムが魅力の「ラナンキュラス モロッコシリーズ」
独特な花芯やフォルムが魅力の「ラナンキュラス モロッコシリーズ」などもおすすめ。
ブーケや装花の打ち合わせは、店内に並ぶ生花を見ながらじっくり行います。

「お花を見ながら打ち合わせをすると、花嫁さんの気持ちがいっきにほどけていくのが分かります。任せて大丈夫だ、と思っていただけると嬉しいですね」

シャクヤク、ジューンベリー、アザミなど旬の花をざっくり束ねたウェディングブーケ
ここ2〜3年のトレンドは「小花を散らし、無造作感がある大きめのブーケ」。
しかし、最近のトレンドには少しずつ変化の兆しが。
バラや芍薬といった豊かな表情を見せる花をポイントで使いつつ、クラシカルに寄せすぎない華やかなスタイルが注目を集めています。

布山さんの一押しは、大ぶりなものとグリーンや草花をミックスしたドラマティックな組み合わせ。例えば上の写真のブーケは、芍薬に野性味のあるアザミやベニバナ、ジューンベリーの実をミックスしています。花をメインに残りを葉で埋めるというのではなく、葉っぱや実もお花の一部として美しく見せるのがmalta流です。

ウェディングブーケのデザインは、みんな違ってみんないい

続いて、「今まで制作した中で印象に残っているウェディングブーケ」について尋ねてみたところ、ちょっぴり意外な回答が。

白のカーネーションだけを束ねたウェディングブーケ
一見すると、びっくりするほどシンプルなこちらのブーケ。
ある花嫁さんから、昔のあだ名にちなんで「カーネーション」だけを束ねたブーケを持ちたいと相談を受け、デザインしたものだそう。

「カーネーションは、あまり結婚式で使う花ではないのですが、それがこんなに素敵に!ドレスのシルエットともばっちり合っていました。花嫁さんのが強い思いが、ブーケを輝かせたんだと思います」

クラスペディア、エリンジウム、ケイトウなど強めの色味をミックスしたウェディングブーケ
流行を追いかけるのもいいけれど、「一生に一度の特別な日には、自分に合ったデザインのブーケを持ってほしい」と布山さん。

「ウェディングブーケの正解は、花嫁さんご本人の中にしかありません。ですから、私たちはみなさんの希望をできる限り汲み取って、プロとしてより可愛く見えるようにアドバイスしたいと考えています」

そうして生まれるブーケを手に、ふたりが幸せいっぱいの笑顔を見せてくれるとき、maltaのみんなもまた幸せな気持ちになるのだそう。

今回の記事でご紹介したウェディングブーケ以外にも、沢山の実例がホームページやInstagramで公開されています。記事の最後にURLを記載していますので、ぜひチェックしてみてください。

フラワーショップmalta (まるた)の代表、布山 瞳  (ふやま ひとみ)さん
■ショップ情報

・代表:布山 瞳  (ふやま ひとみ) 
・店舗名:malta (まるた)
・URL:http://maison-malta.com/
・Instagram:https://www.instagram.com/maisonmalta/
・住所:東京都世田谷区羽根木1-21-27 亀甲新♯ろ 59
・営業日時:10時〜18時 (不定休)
・ブーケの価格:35,000~
・対応地域:都内近郊、神奈川県(鎌倉)
※提携する式場以外のオーダーも受け付けています
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この記事のライター

水鳥るみ
水鳥るみ

都内在住のフリーランスライター。 現在は、ウェディング関係のお仕事をメインに、年間30組以上の新婚カップルをインタビューし、挙式当日のレポを執筆。 ウェディングシーンに欠かせないフラワーアレンジメントについて、そのトレンドやショップ情報を詳しくご紹介します。

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