植物生活編集部 植物生活編集部 60ヶ月前

【短期集中連載】クリエイターのブランディング戦略 vol.02

こんにちは。
ブランドプロデューサーの古長谷莉花です。

植物生活をご覧の皆様のなかで、フローリストやデザイナーとして、すでに独立されている方や、これからそういったことを仕事にしていきたい!と、お考えの人へ。

自分の感性を武器に、クリエイター・アーティストとして成功していく。
そのために「必要なことは何か?」を全6回でお伝えするクリエイターのブランディング戦略についての連載の第2回目です。

第1回の記事はこちら
>>01: 自分をどう名乗るか?肩書きのブランディング


 

第2回
あなたのマーケットはどこですか? 
ペルソナ設定してますか?


マーケットとは市場のことで、自分の作品を、才能を、スキルを買ってくれる人はどこにいるのでしょうか。これをしっかり考えることが重要です。

重要になってくるのが、マーケティング用語でよく出てくる「ペルソナ設定」です。

ペルソナ設定に関しては諸説ありますが、私の場合のペルソナとは大きく2通りに作ります。

1. 実際にお金を払ってくださる顧客のこと。
2. 自分のサービスに興味を持ってくださる、いずれは顧客になる潜在顧客。

この二つことを指しています。


考えるべきは、いま、目の前に現れている顧客のことだけではありません。
あなた自身や作品に触れる「タッチポイント」がないため、いまは買うことがはできないけれども、出会うことさえできれば、お客さんになってくれる人々。
つまり「潜在顧客」のことを明確に考えておくことが売上拡大、人気上昇の秘訣といえます。


例えば、お店やウエディング会場を華やかに装飾するのが得意なフローリストと、ガーランドやドライフラワーのスワッグで商品を作り、個人のお客さまに人気のフローリストでは、お客様の層=ペルソナ設定が全然変わってきますよね。


そして、はじめに考えておきたいのはお客様は企業(いわゆる to B)なのか、一般消費者=個人(いわゆる to C)のお客様かどうか。
アプローチも、商品の単価もやりとりも全く異なります。


次に、ペルソナ設定は1つの人物像を作る人が多いのですが、これも気をつけたいところ。
ターゲットの絞り込みすぎは自分の可能性も狭めてしまいます。

私がコンサルティングする場合は、ペルソナを5種類くらい設定することをお勧めしています。

そんなに多く?と思われるかもしれませんが、そのくらい広げてみると必ず「ブレない層」という層が現れます。

私の場合は「企業」がメイン顧客であり、「 to Bビジネス」である、と認識しています。

百貨店や美容室や出版社、IT企業に教育団体、工芸メーカーなど幅広くいらっしゃるのですが、契約後も一緒にプロジェクトを推進する担当の方は、下記のペルソナに当てはまります。

1. 経営者もしくは新規事業責任者で決裁権を持つ人
2. 中長期的なビジネスにしたい人
3. 上品である
4. 薄利多売はしない
5. ライフスタイルや人生に関わる不変のものを取り扱う
6. 自身も日々の生活を大切にしていて、趣味やこだわりがあるタイプ



ものの価値が移り変わりやすい時代。
自分の所属している業界や、ビジネス相手としている業界が10年後、20年後も伸びている業界なのかどうかは不確かです。

業種を絞った方が、「プロフェッショナリズムを発揮しやすい」、「自分のバリュー(価値)を伝えやすい」という側面もありますが、コンサルティングやプロデュース業は、さまざまな枠組みを取り払った考え方で問題解決をすることにより、大きなジャンプができます。

そのため、工芸メーカーにITの知識を導入したり、百貨店に出版のコンテンツマーケティングの構想を取り入れたり、そのように既存の業界をつなげることで、他の人には出せないバリューを発揮することができます。


上記は私のケースとして、コンサルタントとしての業種としてのペルソナ設定などのお話をしましたが、ではさて、例えば、個人を相手にするフローリストならどうでしょう。

自身の強みが「ナチュラルスタイル」のガーランドやリースやクワッグという商品制作だったとして、店舗経営を中心に、販売ツールはインスタグラム、無料サービスのECサイトのみを使用しているお店だったとします。

ペルソナを「すでにいる顧客」と「潜在顧客」で仮定してみました。

ペルソナA:店舗に来てくれるお客様
年齢:30代~40代
性別:女性8割、男性2割
客単価:5,000円
趣味嗜好:雑誌なら「&premium」を読んでいそう。ブランドは「マーガレットハウエル」が好きそう。店舗のある東京・吉祥寺近辺の人。華やかなモチーフより、グリーンや枝物などシンプルなものを好む。

ペルソナB:インスタグラム経由の通販客
年齢:20代~30代
性別:女性10割
客単価:3,000円
趣味嗜好:インテリアに少しだけお金をかけたい。自分のために花や植物を買っている。単価は低めだが買ったものを必ずインスタグラムに投稿する、SNSが好き。

ペルソナC:友人、口コミ
年齢:30代~50代
性別:女性8割、男性2割
客単価:5,000円
趣味嗜好:他のペルソナより、SNSには興味がない。紹介がほとんどでプレゼント用にオーダーメイドやカスタマイズを好む。趣味の合う友達つながりでゆっくりなから広がっていく。共働きで、少し、趣味にお金をかけられる人が多い。

ペルソナD:企業広報、イベント担当者など(潜在顧客)
年齢:30代~40代
性別:性別問わずだが、企業側のエンドユーザー(消費者)は女性がマッチする
客単価:100,000円
趣味嗜好:これから取っていきたい企業担当者枠。小さなガーランドやドライフラワーを使った記念品のノベルティで、女性向けのコスメ、インテリアショップやオーガニックショップなどのオープニングイベントや周年パーティに活用したい。1つあたり100円~2,000円である程度のパターンからオーダーメイドできるようなパッケージを求めている。

難しく考えず、まずは、このくらいのボリュームやクオリティで考えることからスタートして良いのです。

このように設定した人たちに合う商品づくりはできていますでしょうか?
自分の店やECサイト、SNSは、これらのペルソナにグッとくる写真や文章になっているでしょうか?

このように考えることで、日々の業務に尺度が生まれ、また、同様のお客をターゲットにしている「ライバル」がだれなのかも見えてきますので、差別化を考えやすくなります。

このくらいの頭の整理ならば、2時間くらいでできるでしょう。

本来であれば、ペルソナを際立たせる文章とともに、インターネットを検索して、彼ら彼女らのイメージ写真を作り上げてみたあり、好みに合う商品写真、店のイメージなどを貼り合わせてイメージコラージュを作るとより一層、具体的に感じられます。

ぜひ、新年度のスタートにトライしてみてください!
 

次回は
03: 自分のプロフィールと作品写真のマッチングについてをお話しします。


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プロフィール
文/古長谷莉花 Rika konagaya

訪れたい場所株式会社 代表取締役社長
1986年静岡県出身。大学で建築を学び、株式会社乃村工藝社にデザイナーとして入社。ショールーム、商業施設、展示会ブース等の空間設計に従事。 広報部に異動、創業120周年プロジェクトを終え退社。
株式会社中川政七商店への転職と共に奈良へ移住。社長秘書と兼務しプラントハンター西畠清順氏との共同ブランド『花園樹斎』の立上げなどを行う。小売課管理職となり45店舗の店舗運用標準化、インバウンドPJを担当。2016年創業三百周年プロジェクトなどを実現させ退社。
現在ブランドプロデューサーとして東京を拠点に全国各地で活動。
目には見えない、言葉にできないものを形にすることを得意とし、百貨店・美容室・出版社やメーカーなど様々な企業の新規事業を支援している。
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