植物生活編集部 植物生活編集部 60ヶ月前

続・きょうの花活け  花と鎌倉とウーロンと、ときどき茶話。/vol.9 花束萌え

vol.9 花束萌え


こんにちは! CHAJINです。

こちらは、かつて月刊フローリストさんで連載させていただいていた
「花と鎌倉とウーロンと。」のエピソード2……?

はたまた、

その連載をまとめた本「きょうの花活け_花と鎌倉とウーロンと。」の続編……?
とでも言いましょうか~。

季節ごとに出逢う日々の花あしらいについて、
花活けを始めたばかりの植物好きなアラフォー女子のMちゃんに
わかり易~く(時に脱線しながら)お話ししてゆくWEB版の花教室……、みたいなコーナーです。

そして二人の花トークの後は、
アトリエのある鎌倉界隈についての茶話や、
愛猫ウーロンの親バカ話など……諸々な由なし事も綴っております。

そんな彼此と緩さ満載ではございますが、
皆さまの日々の花活けに、少しでもお役に立てればうれしいです。

それでは今回もよろしくおねがいします~!

 

偶然の妙、花束





CHAJINさん(以下C)「今回は花束って感じで端っこの方を細いワイヤーでくくってあるんですけど」

植物好きなアラフォー女子M(以下M)「花束大好きです!」

C「花を束ねるっていうのは一番プレーンでいてやっぱり王道というか。アレンジメントとか花を1本挿して、2本目3本目って段々活け重ねて整えていくっていうのもいいんだけど」

M「アレンジメントは形を作るって感じが強い気がします、個人的な感覚ですけど」

C「花束ってある程度青写真を思い描きながら組んでいっても、自分の頭の中とは違った花と花が重なり合って、それが連なる美しさみたいなものが自然発生的にできるところがあるんですよ。もちろんこの色の隣にこれがきたらいいなと思って花を挿し入れたりするんだけど、でも重ねるところまでは人為的にやっても、その重なり加減っていうのは結構“偶然の妙”みたいなところがあるので、そういうのは束ねるっていうことにしか生まれづらいと思うんだよね。アレンジだともうちょっと活け手が主導になるっていうか」

M「ですよね、だから花束って魅力的に見えるのかも」

C「これは花束を置いてますけど、束ねたものをそのまま自分の好きな器に入れても成立するし。8割りぐらい束ねて器に入れて、残りの2割りを1本ずつ調整しながら活けるとかでもいいですよね。要は、束ねて活けることで1本1本活けていったのでは作れないような、いい意味での重なり具合が生まれたりして。忙しい方は束ねたものをそのまま活けることで、時短料理ならぬ時短花活けになるっていうか」

M「おお、時短! 個人的には花束のいいなって思うところは、こう植物を持つじゃないですか」

C「うんうん」

M「その持ってる植物の感じが癒やしっていうか、気持ちいいなぁって。なかなか普通に暮らしていると花や植物をたくさん手に持つっていうことがあんまりないので。家に庭もないですし。活けるとかだと手にそんなに持たないで机に並べて活けたりすることが多いから、花束を作るときのこの手の感触っていうのが萌えっていうか……」

C「なるほどね~! そこって意外に僕は関わり過ぎてスルーしてたとこなんですけど、そうだよね~。ものを言わぬけれど花って生きものなので、こういう温かみとか優しさが手の上から感じられるみたいな。それってすごく大事なことかもしれませんね。今日思い出させていただいて、どうもありがとうございます!」

M「いえいえいえいえいえいえいえいえ!!! とんでもないです!(汗) でも共感してくださってうれしいです! ではお花について教えてください~!」

C「はい(笑)。このヒョロヒョロ出てるのが、見覚えのある人も多いかもしれませんけどいわゆるペンペン草ですよね。西洋ナズナとかそういう名前でオランダとか、昨年末にはイスラエルとかそのあたりから輸入されているのをよく見ました」

M「へぇ~~~~、イスラエルから! なんか意外!」

C「余談ですけど僕、この花の紹介するときよく思い出すことがあって。自分の通ってた小学校がキリスト教系で、クラスの名前が普通だと1年1組とかなんだけど、1年ベツレヘム組、1年ナザレト組、凶暴な女子が多い(冗談です!)クラスは1年パレスチナ組っていう名前で(笑)。イスラエルって聞くと僕的には小学校のイメージが強いんですよね」

M「なんというか……、一度聞くと忘れられない感じです(笑)」

C「でしょ(笑)。あと前回も使いましたけど花ウサギもちょっと使ってて。白いのはスイートピーなんですけど、宿根(しゅっこん)スイートピーっていって」

M「あ、花びらがちょっと分厚いやつですよね!」

C「そうそう、花びらが分厚くて立体感があって。ともすればコチョウランのちっちゃいのみたいな存在感のあるやつね。普通のスイートピーのシンプル加減も好きなんですけど、こういう宿根スイートピーのちょっと濃いめな感じもいいアクセントになるんでたまに買ったりするんです。あとはヤグルマギク」

M「あ~かわいいですよね~この鮮やかな青! 惚れ惚れします~」

C「青が入ることで色のアクセントにもなりますし、ヤグルマギクの小さな花びらが連なっている感じとか、非常にいい存在感。緑色のやつはフェチダスっていう原種のクリスマスローズで、早春のころにクリスマスローズがよく出てきますけど、ちょっと季節がズレて(時季の)後ろの方になってくるとこういう原種系が市場に並んだりするんです」

M「そうなんですね、原種系っていう名前だけで心引かれちゃいます」

C「フェチダスは原種ならではの肉厚感とか彩りとかが魅力的で。春先って緑の花もいろいろありますけど、葉っぱとも違う“花と葉っぱの間”みたいな、そういう色合いと質感が色のはっきりとした花とブレンドしたときに、葉っぱのペラッとした感じとは違うニュアンスが出るので重宝してます~。あと原種系のクリスマスローズは割と下がりにくいっていうか。僕の個人的な印象なんですけどね、普通のクリスマスローズより花保ちがいいような気がする」

M「なるほど~。あと、この白い模様が入った葉っぱは何ですか?」

C「ナルコランっていって、初夏にかけてよく出回る葉っぱです。こういうレモン型で斑(ふ)が入っているので少しだけ清涼感が出て、白グリーンな感じが緑一色よりニュアンスが出るのでよく使うんですけど」

M「正直斑入りの葉っぱってちょっと古いイメージがあったんですけど、こういう使い方だとカワイイです! 使い方によって全然印象が変わるんですね!」

C「ありがとうございます(笑)。いろんな花を束ねて根元をキュッと縛るとまとまりが出るので、花束って一周回ってやっぱりすごくいいなって思います」

M「花束にすると誰かにあげたくもなっちゃいますよね」

C「そうですよね、確かに! あげたくなるっていう心理的な条件反射みたいなものも花束ならではっていうか。普通に活けるだけだと自分に向けて楽しむっていう感じになるけど、束ねるだけで他者のほうに向くよね。それを自分にあげたり、大切な人にあげたりっていうのもいいんじゃないかなって思います~」


きれいな花束って見た目だけじゃなく、
手に持ったときの心地よさもすばらしいんですよね。
本当にじんわり植物の感じが伝わってきて
重くもなく、茎の束がすっぽり手に収まる感じっていうか……。
花束って作るのも、あげるのも、もらうのも、買うのもうれしくて
いろいろ最強だな~って思う次第であります!
さぁ、レッツ花束!(byM)

 

鎌倉と、




卒業の花束

先日、小学校時代の級友からの依頼で花束をいろいろと作らせていただく機会がありまして。
友人は、現在は母となり、同じく母校に通うお子さんを含めた卒業生の晴れの日にぜひ!ということでお話をいただいたのでした。
ちなみに、僕が通っていた小学校は、今から思えばちょっと特別な環境と言いますか……。
1学年は3クラスあったのですが、各クラスとも男女合わせて40数名の内、自分を含めた男子は10名そこそこといった配分で。
たまたま女子校(の附属)ということで、多感な時期をずっと女性に囲まれて育ったという訳なのです(笑)。
現在もどちらかと言えば、女性の輪の中にいた方が極めて自然体で居られる気がするのは、
そんな理由も少なからず関係しているのかも?しれません。
あれから40年~♪(どこかで聞いた台詞)、微力ながらこのような形で母校に恩返しができたのは大変有り難い限りでございました。
そして久々に” 清く正しく愛深く ”という校訓を思い出すことにもなり、
人生の折り返し地点を過ぎたところで、あらためて括り直された気分にもなったのでした~(拝)。

 

ときどき茶話、




新たな出会い

テーブルに飾る花を活けさせてもらっている友人のカフェに行ったら、ちょうど新作パフェお披露目の日でした。
それは、てっぺんにいきなりド~ンと蓋をしたようなインパクトのあるプリンが乗ったプリンパフェ!
少々硬めのプリンを少しづつ崩しながら食べ進め、徐々に下の層へ。。
ゆっくり味わいながら食べるつもりが、あまりの美味しさに一気に平らげてしまいました。。(食レポ下手っ!)
いつもは、店名(カフェディモンシュ)由来の
“パフェディモンシュ”というコーヒー味のパフェを好んで食している自分ですが、
この先は毎度、新たな定番メニューに加わるであろうこのニューフェイスとの選択に悩むことになりそうです。




プロフィール

CHAJIN/チャジン




フラワーアーティスト。
ORIGINAL FLOWER STYLE CHAJIN 主宰。

暮らしまわりの雑貨と季節の花を合わせ、個性的でありながらもカジュアルな花あしらい、存在感あるリースの作品が得意技。
雑誌や広告の花活け、店舗や温泉宿のディスプレイ、展示会の花活けの他、鎌倉のアトリエや、池袋コミュニティカレッジ、NHKカルチャー青山教室、NHKカルチャー横浜ランドマーク教室、二子玉川高島屋S.C教室ほか、都内各所で開催中の花教室も人気。
著書に『きょうの花活け』(誠文堂新光社刊)、『花活けのココロ』(主婦と生活社刊)、『小さな花あしらいと12ヶ月の花の話』、『季節の花でつくる12ヶ月のリース』(ともに芸文社刊)がある。
紅茶好きでプロレス好きで愛猫家。鎌倉在住。 

インスタグラム instagram.com/chajin_eye


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「植物生活」とは花や植物を中心とした情報をお届けするメディアです。 「NOTHING BUT FLOWERS」をコンセプトに専門的な花や植物の育てかた、飾り方、フラワーアート情報、園芸情報、アレンジメント、おすすめ花屋さん情報などを発信します。

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