植物と暮らす おうち時間 第14回 watari / 小林紀子さん
『植物と暮らすおうち時間』。
今回ご登場いただくのは、門前仲町にて世界各国の手仕事を扱う店〈watari〉を営む小林紀子さんです。
〈watari〉は伺うたびにいつも新鮮な “ものの見方” を感じることができる不思議なお店。
用途不明の小さなパーツでさえ、小林さんの眼を通してお店に置かれると素敵なオブジェに見えるんです。
植物との関わりも、独自の楽しみかたがあるそう。
小林さんの元に自然と集まってきた植物やモノとの暮らしについてお伺いしました。
部屋にあるのは、どのような植物なのでしょうか。
「鉢植えは近所で “ご自由にどうぞ” と置いてあるようなものをもらってくることが多いので、自分で選んだわけではなく何となく集まってきたものばかり。
夫婦で海外出張へ行き、長く家を空けることもあります。なので、たまたまオリヅルランや君子蘭など丈夫で育てやすいものと巡り合ったのは良かったですね。
目にかけたお気に入りを育てているというよりは、 “いつも一緒にいて観察しているうちに愛着が湧いてきた” という感じでしょうか。
切り花も気が向いたらたまに買う程度なんです。〈watari〉の品揃え同様、自宅のインテリアもいろいろな国のものが新旧混在していますね。
なので、スプレーマムやヒペリカムのような、主張し過ぎず、やや和風の花の方が馴染む気がしていて。
特にヒペリカムの赤は、染色家の柚木沙弥郎さんの作品で用いられている色に似ている気がして、好んで買っています」
古いものがお好きなイメージがあったので、マンションに住まわれているのが少し意外でした。
「数年前に新築のマンションに引っ越してきました。こちらで夫とふたり暮らしをしています。〈watari〉の什器も作ってもらった知人の工房にお願いして、部屋に合うように家具を作ってもらいました。
本棚が目一杯詰まっていると窮屈に感じるので、途中にアクセントとして小物や切り花を飾ることが多いですね」
植物の周りの道具はどのようにして集めたものですか。
「特にこだわりは無いんです。
植物は偶然手に入れたものがほとんどなので、お洒落な鉢も似合わない気がしますし、かしこまった特別感も出したくないので、ごく一般的なものを近所のホームセンターで購入しました。
水やりは、ヤカンかコーヒーのポットですし、切り花用の花瓶も昔の牛乳瓶などで代用しています。
鉢受け用の皿だけは、海外出張のついでに蚤の市などで見かけたら買うことが多いですね」
部屋にある植物は小林さんにとって、どのような存在ですか。
「無くても生活は成り立つけれど、そばにあって目に触れると気持ちが落ち着くもの。元気かなと観察することが楽しいです。
子どもがいないし犬や猫も飼っていないので唯一手がかかる生き物。逆に観察や水やりを怠っている時は自分に余裕が無いというサインなので、バロメーターにもなっています」
手入れする際に気をつけていることはありますか。
「よく観察して、あとは過保護にならないように適度に放っておく感じです。水をあげすぎないように、タイミングを見計らっています。
蔓が伸びるタイプのものは、時々絡まりをほどいてカットし、水を張ったグラスへ。根が出たら鉢に植えて増やしていきます」
家ではどのように過ごすのが好きですか。
「空いた時間には、編み物をしています。かぎ針編みは道具が大げさでないところがいいですね。
既製品にないサイズのマフラーを編んだり、穴あきソックスを繕ったり、そういった “ちょっとした工夫” みたいなことを考えるのが楽しいひと時です」
〈watari〉にある品物はもちろん、部屋に置かれた細々したものにも愛着が感じられます。小林さんが長らく手仕事に惹かれる理由はありますか。
「前職のビームスでアパレルの仕事をしていた時から、服のパターンよりも生地そのものに興味がありました。
また、旅先でさまざまな民族衣装や手仕事に触れるうちに、その美しさを多くの方と共有できたらと思うように。
途方も無い時間と手間をかけたものは尊く、力強さもあり、見飽きることがありません。
これからも店を通して古今東西、世界各地の美しい布やさまざまな手仕事の面白さを伝えられたらと思っています」
たまたま手にした植物やホームセンターの鉢を自分のいい塩梅に手懐ける、小林さんの “ものとの関わり方” は理想的かもしれません。
お話を伺い、日本の民藝の考えにある 『一々美など意識せずとも、自ずから持つものが美しくなるやうにならねばならぬ。』(ものの持ち方 / 柳宗悦)という教えを思い出したのでした。
うかがった人
小林紀子 / watari
門前仲町にて世界各国のpattern(模様)やneedle(針仕事)の
美しさを集めた店〈watari〉を営む。
〒135-0023
東京都江東区牡丹3-7-4 1F
12:00〜19:00 火休
03-5809-9586
watari-p-n.com
今回ご登場いただくのは、門前仲町にて世界各国の手仕事を扱う店〈watari〉を営む小林紀子さんです。
〈watari〉は伺うたびにいつも新鮮な “ものの見方” を感じることができる不思議なお店。
用途不明の小さなパーツでさえ、小林さんの眼を通してお店に置かれると素敵なオブジェに見えるんです。
植物との関わりも、独自の楽しみかたがあるそう。
小林さんの元に自然と集まってきた植物やモノとの暮らしについてお伺いしました。
気張らず、日々の “ちょっとした工夫” を楽しむ
部屋にあるのは、どのような植物なのでしょうか。
「鉢植えは近所で “ご自由にどうぞ” と置いてあるようなものをもらってくることが多いので、自分で選んだわけではなく何となく集まってきたものばかり。
夫婦で海外出張へ行き、長く家を空けることもあります。なので、たまたまオリヅルランや君子蘭など丈夫で育てやすいものと巡り合ったのは良かったですね。
目にかけたお気に入りを育てているというよりは、 “いつも一緒にいて観察しているうちに愛着が湧いてきた” という感じでしょうか。
切り花も気が向いたらたまに買う程度なんです。〈watari〉の品揃え同様、自宅のインテリアもいろいろな国のものが新旧混在していますね。
なので、スプレーマムやヒペリカムのような、主張し過ぎず、やや和風の花の方が馴染む気がしていて。
特にヒペリカムの赤は、染色家の柚木沙弥郎さんの作品で用いられている色に似ている気がして、好んで買っています」
古いものがお好きなイメージがあったので、マンションに住まわれているのが少し意外でした。
「数年前に新築のマンションに引っ越してきました。こちらで夫とふたり暮らしをしています。〈watari〉の什器も作ってもらった知人の工房にお願いして、部屋に合うように家具を作ってもらいました。
本棚が目一杯詰まっていると窮屈に感じるので、途中にアクセントとして小物や切り花を飾ることが多いですね」
植物の周りの道具はどのようにして集めたものですか。
「特にこだわりは無いんです。
植物は偶然手に入れたものがほとんどなので、お洒落な鉢も似合わない気がしますし、かしこまった特別感も出したくないので、ごく一般的なものを近所のホームセンターで購入しました。
水やりは、ヤカンかコーヒーのポットですし、切り花用の花瓶も昔の牛乳瓶などで代用しています。
鉢受け用の皿だけは、海外出張のついでに蚤の市などで見かけたら買うことが多いですね」
部屋にある植物は小林さんにとって、どのような存在ですか。
「無くても生活は成り立つけれど、そばにあって目に触れると気持ちが落ち着くもの。元気かなと観察することが楽しいです。
子どもがいないし犬や猫も飼っていないので唯一手がかかる生き物。逆に観察や水やりを怠っている時は自分に余裕が無いというサインなので、バロメーターにもなっています」
手入れする際に気をつけていることはありますか。
「よく観察して、あとは過保護にならないように適度に放っておく感じです。水をあげすぎないように、タイミングを見計らっています。
蔓が伸びるタイプのものは、時々絡まりをほどいてカットし、水を張ったグラスへ。根が出たら鉢に植えて増やしていきます」
家ではどのように過ごすのが好きですか。
「空いた時間には、編み物をしています。かぎ針編みは道具が大げさでないところがいいですね。
既製品にないサイズのマフラーを編んだり、穴あきソックスを繕ったり、そういった “ちょっとした工夫” みたいなことを考えるのが楽しいひと時です」
〈watari〉にある品物はもちろん、部屋に置かれた細々したものにも愛着が感じられます。小林さんが長らく手仕事に惹かれる理由はありますか。
「前職のビームスでアパレルの仕事をしていた時から、服のパターンよりも生地そのものに興味がありました。
また、旅先でさまざまな民族衣装や手仕事に触れるうちに、その美しさを多くの方と共有できたらと思うように。
途方も無い時間と手間をかけたものは尊く、力強さもあり、見飽きることがありません。
これからも店を通して古今東西、世界各地の美しい布やさまざまな手仕事の面白さを伝えられたらと思っています」
たまたま手にした植物やホームセンターの鉢を自分のいい塩梅に手懐ける、小林さんの “ものとの関わり方” は理想的かもしれません。
お話を伺い、日本の民藝の考えにある 『一々美など意識せずとも、自ずから持つものが美しくなるやうにならねばならぬ。』(ものの持ち方 / 柳宗悦)という教えを思い出したのでした。
うかがった人
小林紀子 / watari
門前仲町にて世界各国のpattern(模様)やneedle(針仕事)の
美しさを集めた店〈watari〉を営む。
〒135-0023
東京都江東区牡丹3-7-4 1F
12:00〜19:00 火休
03-5809-9586
watari-p-n.com
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この記事のライター
Yu
趣味は見ることと食べること。 アート/民藝/工芸/古いもの、食、ナチュラルケアやセラピーに興味があります。 美術大学卒業後、プロダクトの企画や暮らし周りの編集に携わってきました。