植物生活編集部 植物生活編集部 2019/05/27

ドイツフロリストマイスターに学ぶ「花の造形」レッスン 02 グルーピングとは?



フロリストマイスターが教える 花の造形理論 第2回


花のプロフェッショナル=フロリストの仕事は、商品や作品の「造形材料」である植物をいかに魅力的に見せ、植物が持つ生命力やその表情を感じてもらえるようにするかにあります。

造形する側であるフロリストは、自分が扱う造形材料について熟知しているべきです。
それでも私たちと同じ、いえ、それ以前から存在する植物を知ることは、短期間でできるものではありません。

毎日の生活の中で、また仕事の最中にふと目をやった自然の風景から……。
私たちが生きている時間のすべてを使い、少しずつ知識を増やしていくものです。

フロリストは植物をどのように見て、何を感じ取るべきなのか。
お客さまの要望や自分のテーマにあった造形をするために、どのような知識が必要なのか。

今月から始まるこの連載では、まだ歴史の浅い花の造形の理論を、ドイツフロリストマイスターとして紹介する連載です。


レッスン 02

グルーピングについて

自然の中で見られるグルーピング

グルーピングとは、同じ種類の植物材料をグループにし、まとめて塊で見せながら、花束やアレンジメントを構成していくテクニックです。

グループとは、複数の造形要素の集まりです。
各要素は、なんとなくグループを構成するのではありません。

最低でも一つの共通性や関連性(種類や色など)を持って集団を形成します。
自然風景の一場面に、造形を構成するためのテクニックや規則を発見できることは多々あります。
グルーピングもその一つです。

大きな空間をとらえて自然を眺めてみてください。
大きな木の隣には違う種類の木々、その下には枝を横へ大きく張り出した木々があり、奥には太くまっすぐにそびえる木……。
木々は、それぞれの生活空間の中で群れを成して生長しています。
それがつまり、自然の中でのグルーピングです。

フラワーデザインの造形要素である植物は、どのようにそれぞれの居場所を見つけ、生長しているのか?
それを考えながら自然を観察することは、私たちフロリストにとって大切なイメージトレーニングです。


大きな空間で見た自然のグルーピング。自然の中の木々はグループを成し、それぞれの生活空間で生長していることがわかる。 


足元を見ても同じく、植物たちはそれぞれにふさわしい高さで集まり、グループを形成し、生長している。


近くに目をやると、私たちと同じ背丈か、少し低い植物が、生活するのに十分な距離を保ちながらグループを形成している。似たタイプの植物が隣り合わないことも、自然界の必然的な面白さとして映る。



グルーピングをしない配置

造形要素をどのように配置するかは、商品や作品のテーマや飾る場所、贈る相手やその目的などによって決まります。

グルーピングの場合は、「するか、しないか」によって、デザインの印象が変わります。
グルーピングをしないと、要素同士の距離が似通り、材料の色や形の配分が規則的で明確になり、どこを見ても同じイメージになります。

わかりやすく、安定感、静的な誠実さ、装飾的、人工的な印象になります。
人が自然の植物を支配し、自在にその形や華美な様子を操るというイメージもあります。


自然の中で見られるグルーピングしていない様子。同じ要素が等間隔で並ぶ規則的なイメージ。


同じくグルーピングしていない。まんべんなく散らばる葉の様子。
 

作例1

早春の表現1 グルーピングをしない配置 

冬から春へと移り変わる季節を、スイセンを主役にして見せる。自然的な材料を使いながらも、装飾的な印象に仕上げることが重要。材料は、花壇に花が規則正しく植わるイメージで配置しているが、正確に均等だと不自然で、花弁がぶつかるなどして現実的にも不可能。したがって多少間隔に変化をつけ、遊びの要素を入れる。冬の名残を表現するユーフォルビアを全体に均等に配置し、足元には枯れ葉を立体的に入れ装飾的に仕上げた。

{ Flower&Green }
ニホンズイセン、マルバヤナギ、ユーフォルビア・スピノーザ、チカラシバ、枯れ葉

制作のポイント

器は、温かみのあるグレーがかった色みのバスケットを使い季節感を表現。スイセンとマルバヤナギでアウトラインを作る。グルーピングはせずに、間隔をとりながら全体にまんべんなく材料を挿すが、均等配置にはしない。そうすることで植物の美しさが引き立つ。
 


グルーピングで見せる配置

グルーピングは大きく2つの手法に分けることができます。
自然的なグルーピングと、明確なグルーピングです。

自然的なグルーピングは、自然の雰囲気を想像できるように見せる配置です。
グループ間の間隔を生かし、植物の生長の動きを感じとれるようにする表現です。

明確なグルーピングは、装飾的なグルーピングで見せる配置のこと。
材料の種類や色、質感やキャラクター別に分けたグループを集め、各グループの大きさや高さの違いによるリズムの変化を見せます。

色や形の華やかさが目立つため、人工的な印象になります。
グルーピングをすると、グループ同士の間隔が不連続な配置になることで、緊張感や面白みが出ます。

また、それぞれのグループの大きさや華やかさの違いで、リズム感も生まれます。
グループの大きさや間隔が作為的になればなるほど、装飾的で人工的なイメージになります。

最近のフラワーデザインの多くは、グルーピングのテクニックで作られています。
アシンメトリーの構成がデザインに取り入れられてからは、グルーピングで見せるほうがモダンだと受け入れられるようになりました。

アシンメトリーは、自然の植物の生育環境の様子をイメージしています。
アシンメトリーの構成にはグルーピングの配置、というのは、自然の様子を見本としたフラワーデザインでは当然の選択です。
 

作例2

早春の表現2 グルーピングで見せる配置

新芽がようやく顔を出す春の目覚めのイメージを、自然的なグルーピングで表現。主役のアネモネは、左に上を向くグループ、横に振るグループ、2つのグループで構成。その他の材料もすべてグルーピングで配置しながら、向きはあらゆる方向を向くようにし、自然の生長の様子を見せている。

{ Flower&Green }
アネモネ、スカビオサ、セージ、ミント、ツゲ(2種)、アイビー、カレックス、ヒューケラ、ヤマゴケ

制作のポイント

フォーカルポイントとなるアネモネを最初に配置し、ツゲで高さを決めることからスタート。左側に重心を置き、構成はアシンメトリーに。

 

今回のまとめ

グルーピングとは?
・同じ種類の植物材料をグループにしてまとめ、塊で見せながら花束やアレンジメントを構成していく手法。
・グルーピングをするかしないかは、商品や作品のテーマや置く場所、贈る相手や目的で決まる。
・グルーピングをしないと、材料の色や形の配分が規則的で明確になり、わかりやすく人工的な印象に。
・グルーピングをすると、自然的でリズム感があり、緊張感がある雰囲気に。

写真/中島清一 月刊フローリスト


講師
橋口 学  Manabu Hashiguchi
ドイツ国家認定フロリストマイスター。1997年渡独。国立花き芸術専門学校ヴァイエンシュテファン卒業後にミュンヘンの花店に勤務し、およそ9年間のドイツ滞在を経て帰国。現在は神奈川県秦野市にて「花屋ハシグチアレンジメンツ」を主宰。 植物造形理論・実技レッスンを行っている。
http://www.h-arrangements.com


橋口さんのドイツフロリストマイスター理論がわかるリースの制作法
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