植物生活編集部 植物生活編集部 2019/05/31

続・きょうの花活け  花と鎌倉とウーロンと、ときどき茶話。/vol.13 花弁模様

vol.13 花弁模様


こんにちは! CHAJINです。

こちらは、かつて月刊フローリストさんで連載させて頂いていた
「花と鎌倉とウーロンと。」の続編とでも言いましょうか。

季節ごとに出逢う日々の花あしらいについて、
花活けを始めたばかりの植物好きなアラフォー女子のMちゃんに
わかり易~く(時に脱線しながら)お話ししてゆく

WEB版の花教室みたいなコーナーです。
また、アトリエのある鎌倉界隈のことや
愛猫ウーロンについてなどの茶話も綴っております。

諸々緩さ満載ながら、
皆さまの日々の花活けに少しでもお役に立てればうれしいです。

それでは今回もよろしくおねがいします~!




花と




植物好きなアラフォー女子M(以下M)「今回はバラですか!」

CHAJINさん(以下C)「5月の2回目の更新ということで5月の花を考えたときに、やっぱり春バラのシーズンだなと」

M「春バラ!」

C「はい。バラって春と秋に最盛期があるので、その最初の盛り上がる季節ですね。まぁ、市場でもお花屋さんでもバラってもう通年あるので、あんまり季節感って意識することはなかなかないかもしれないですけど」

M「ふんふん」

C「でもやっぱり5月くらいっていうとバラがいったん盛り上がる時期なので、取り上げてみました~」

M「なんか、おっしゃる通りお花屋さんに行っても一年中バラがあるから、バラのシーズンってあんまり意識したことがないです。でも確かに道を歩いているとバラが咲いてる!っていう時季がありますね。それがいまなんですね!」

C「そうそうそう。で、鎌倉あたりだと鎌倉文学館っていう長谷の方に、長谷って大仏とか長谷観音があるあたりで。その鎌倉文学館……旧前田侯爵家の別邸だったところですが、その庭が開放されていて」

M「ほぉ~」

C「多少の入場料は必要だったと思いますけど」

M「はい」

C「そこのお家ももちろん立派なんですけれど、庭にもすごく見どころがあって」

M「へぇ~!」

C「とても気持ちがいいんですね。広い庭の芝生の丘をくだった突き当り辺りに、バラ園があって」

M「おぉ~」

C「鎌倉文学館の5月くらいっていうとバラを見に行く人がすごく多い」

M「そうなんですね!」

C「で、加えて文学館のバラ園を立ち上げるときにうちの祖父が、“鎌倉ばら会”っていうのに所属していて」

M「鎌倉ばら会!? かっこいいですね~」

C「おじいちゃん一人でやった訳じゃないんだけど、有志のみなさんと立ち上げたっていうのを僕がまだ小学校くらいだったか中学校ぐらいだったか子どもの時分に聞いて」

M「はい」

C「相当自慢してたのね」

M「いいですね~」

C「だけどそのときは僕まだ花の扉を開いていないので、なんにも……右から左みたいな感じだったんですよ(笑)」

M「(笑)」

C「そうなんだ~くらいの(笑)」

M「はい(笑)」

C「そしたら後々大人になってからこういう仕事に就いて」

M「ふんふん」

C「ほかの仕事でも文学館を訪ねていって、ちょうどバラのシーズンに見たときに、うちの庭にも小さな祖父のバラ畑、バラ園っていうとちょっとおこがましくてバラ畑。バラ畑があって」

M「バラ畑!」

C「そこの風景と鎌倉文学館で見た……そこはもう少し広いんですけど……その風景が、やっぱ似てたんですよ」

M「あぁ、やっぱりおじいさまが関わられたから」

C「バラ園はそうなっちゃうのかもしれないけど(苦笑)」

M「でも、あるんじゃないですか個性が」

C「ね。おじいちゃん一人で文学館のバラ園を立ち上げた訳じゃないからあれなんだけど、個人的にはなんか幼いころに見ていた庭のバラ畑の風景を思い出すような感じにも思えたの」

M「ふんふんふん」

C「そのときはもう祖父は亡くなっていたし、うちの庭にももうバラ畑っていうのは跡形もなくて」

M「そうなんですか……!」

C「祖父が生きていたときはきれいだったんですけど、亡くなってからはワイルドガーデンになっちゃって。でもこういうバラ畑を幼いころに見たなっていう記憶が、文学館のバラ園を見てよみがえって」

M「なるほど~」

C「おじいちゃんのことを思い出した、みたいな」

M「はい」

C「だからうちの庭ではもうバラ畑を見ることはできないけれど、そう昔のことを思い出して庭の風景を懐かしみたいなっていうときは5月の文学館に行く。そういう思い入れがバラにはあるんですね」

M「ほうほうほう」

C「よく取材を受けたときに、好きな花はなんですかって聞かれるんですが、好きな花をひとつには絞れない!っていう答えがだいたいなんだけど(笑)」

M「ですよね(笑)」

C「季節ごとに代表選手があるし、花に関しては浮気者なので(笑)」

M「おぉ(笑)」

C「なかなかひとつに決められないけれど、いちばん自分にとって距離の近いお花はなにかっていったら、それはバラかもしれない」

M「思い出深いですし」

C「祖父がバラを作っていたというのは、もしかしたら僕が花に関わることになったひとつのきっかけかも。身近に常にバラがあったので。だから非常に特別な花ではあるんですよね」

M「なるほどです~。今回の活け方でいうと、結構変わった飾り方というか」

C「そうですね~」

M「バラってやっぱり普通に活けるイメージがあるので。だからこうして花びらの輪にするっていうのは普通に接しているだけだと思いつかない気がします」

C「そうですねぇ。この飾り方に関してはあんまりおじいちゃんは関係ないかもしれないけれど(笑)、ただMさん←Mちゃんが言ったみたいに祖父が生きていたときは、たとえば家具調テレビの上に……昭和のあの木の家具調のテレビなんだけど……」

M「わかります、あの木のテレビですよね。私もガッツリ昭和なので(笑)」

C「(笑)。あの上に庭で切った大輪のバラがただ一輪、バンと飾ってあったり」7

M「かっこいい!!!」

C「そういうのはよく見てたんです。園芸品種のバラって市場にあるバラとは違って、本当にシャクヤクみたいにボッテリ大きいバラが多くて」

M「へぇ~」

C「だから一輪でもものすごい存在感があるんだけど」

M「はい」

C「このバラは切り花でアンリマチスっていうバラなんですけど」

M「アンリマチス」

C「はい。霜降り模様っていうか、絞りのバラなんです」

M「きれいですよね」

C「僕はこんな絞りの模様の花が、なぜか知らないけれどすごい好きで。でもこのごろアンリマチスって見ないんですよ」

M「え! そうなんですか!!!」

C「まったく見なくなってしまって。この作品自体はかれこれ12~13年くらい前のものなの実は」

M「へぇーーー!」

C「そのころはよく出ていたんです。当時はこのアンリマチスと、あとパープルタイガーってもう少し紫色が強いのがよくあって。そのふたつのバラはこのごろは見なくなってしまいました」

M「寂しいですね……」

C「そうなんですよ。バラにも年代ごとによく出会う品種っていうのがあるから」

M「面白いです」

C「だからまた出会えたらいいのになって。令和アンリマチスとか(笑)」

M「かわいいですもんね!」

C「で、そのアンリマチスの花びらがハラハラと落ちたのを見たときに、普通のバラでも花びらはそれなりに存在感があって素敵なんですけど、とくにこれは絞り模様でグラデーションがきれいだからリース状とかにしたらどうなるのかなって。そう思ってやったのがこれなんです」

M「どうやってリース状にしているのでしょうか?」

C「これはワイヤーみたいなので花びらを突き通してキュッとしているだけで」

M「はい」

C「このボリュームとかこの状況は、本当に数日間しか楽しめなくて、段々だんだん縮まっていくんだけど」

M「おお。気持ちよさそうですね。柔らかいバラの花びらをいっぱい触れて」

C「そうですね~。贅沢な花あそびですよね」

M「確かに贅沢、でも気持ちが潤いそう!」

C「こういうのも花のひとつの活かし方かもしれないので。まずはちゃんと飾って、くたびれてきたら、こういうことも嫌じゃなければやってみてもいいかもって」

M「いいですよね! 花を飾っていてくたびれてきたら別の楽しみ方をするっていうのは」

C「そのままドライっていう方向もあるけど、ちょっと形を崩してみると、そうしなくてはできない着地点もあるかなと」

M「新しいバラの表情が見られた気がします!」


バラを飾っていて
ちょっと元気がなくなってきたら
花びらと触れ合ってみる。
そうすることで
いつもと違う景色が見えたり
気づきがあったり。
バラ、まだまだ奥が深いです! (M)
 



鎌倉と、




祖父薔薇

先述した祖父の思い出の一枚です。
僕が幼い頃、わが家の庭には祖父のバラ畑
(バラ園というエレガントなニュアンスではない)がありまして、。
様々な品種のバラがなかなか立派に咲き乱れておりました。
その周りには、現在仕事で活けているような
枝モノや草花などもいろいろ植栽されていたり……。
そんな花々が、幼き頃の僕の遊び相手だったこともしばしばで。
今から思えば、現在のような花の道へ進むことになったのも
祖父の庭がきっかけになっているのかもしれないですね~。
居間から大音量でJAZZを流しながら庭でバラ弄りの日々。
そんな在りし日の祖父の姿は今も色褪せず、大切な思い出となっています。


 

ときどき茶話、




花兎庭園

静岡での花教室の帰り道、三島にある”クレマチスの丘”へ。
ちょうど、園名にもなっているクレマチスと、
春バラが花盛りということで楽しみに出かけました。
こちらへはこれまでも何回か足を運んでいますが、この季節はお初!
天候が少し曇り気味だったのと、平日の午後ということもあってか
園内はさほど混み合ってもおらず、とてものんびりと堪能することができました。
自分としては、この花々を観賞するだけでも十分満たされましたが、
カミさん的には園内で同時開催していた
ミッフィー展にも思入れがあったようで、そちらも合わせて観賞。
ミッフィーについては、最初はさほど気乗りしていなかった自分でしたが、
気がついたら、ミッフィーTシャツにマグカップ……など諸々買い込んで、
結果、カミさん以上に、大のミッフィー好き参上~!
みたいな、予想外の展開になってしまったのでした~(汗)。


プロフィール

CHAJIN/チャジン





フラワーアーティスト。
ORIGINAL FLOWER STYLE CHAJIN 主宰。

暮らしまわりの雑貨と季節の花を合わせ、個性的でありながらもカジュアルな花あしらい、存在感あるリースの作品が得意技。
雑誌や広告の花活け、店舗や温泉宿のディスプレイ、展示会の花活けの他、
鎌倉のアトリエや、池袋コミュニティカレッジ、NHKカルチャー青山教室、NHKカルチャー横浜ランドマーク教室、二子玉川高島屋S.C教室ほか、都内各所で開催中の花教室も人気。
著書に『きょうの花活け』(誠文堂新光社刊)、『花活けのココロ』(主婦と生活社刊)、
『小さな花あしらいと12ヶ月の花の話』、『季節の花でつくる12ヶ月のリース』(ともに芸文社刊)がある。
紅茶好きでプロレス好きで愛猫家。鎌倉在住。 

インスタグラム instagram.com/chajin_eye


これまでのお話はこちら


 
  • すてき 0
  • クリップ
  • 埋め込み

この記事をシェアするには埋め込みコードをコピーしてSNSやブログに貼り付けてください。

この記事のライター

植物生活編集部
植物生活編集部

「植物生活」とは花や植物を中心とした情報をお届けするメディアです。 「NOTHING BUT FLOWERS」をコンセプトに専門的な花や植物の育てかた、飾り方、フラワーアート情報、園芸情報、アレンジメント、おすすめ花屋さん情報などを発信します。

直近の記事

関連記事